ロンドンのヴィクトリア駅から、約1時間で南部のイースト・グリンステッド駅へ。そこからは駅前から出ているメトロバスかタクシーに乗り、およそ30分。『クマのプーさん』の舞台への入り口となる、ハートフィールド村へ到着します。
教会やいくつかの店、郵便局、民家がぽつぽつと点在するだけの、本当に小さな村です。しかし、店先や家の玄関など、さりげないところに細やかな心づかいの数々が感じられて、村の人たちが丁寧に日々の生活を送っていることが伝わってきます。
都会の喧騒を離れ、ゆったりとした時間感覚が実に魅力的。
ハートフィールド村のはずれには、「プー・コーナー」という小さな土産物屋があります。1970年代からは世界中のプー・グッズを集めた、聖地的な存在のショップになっています。日本人の観光客もよく来るため、館内には日本語のリーフレットも。
実は、『プーさん』の作者であるA.A.ミルンの実の息子であり、物語の主人公のモデルでもあるクリストファー・ロビンも、幼いころ乳母に連れられて週に一度はここにあめ玉を買いに来ていたとのことです。
現実と物語の境界線が曖昧になったかのような、不思議な感覚を覚えます。
「プー・コーナー」から少し離れた国道脇から、「フットパス」という標識を目印にして、「プーの棒投げ橋」まで向かいます。物語の中で、プーたちが川に棒きれを落として、流れていく速さを競うゲームをした橋です。
天気が良い日には、静かな森や牧場を抜ける小道を通って橋までの散歩を楽しめます。片道約3q。30〜40分ほどの道のりです。
休日にはたくさんの子どもたちが集まって、プーを真似て棒投げ遊びをする様子が見られるとのこと。川の流れはさほど速くなく、落とした棒きれもゆっくりと流れていきます。プーたち百町森の住人の世界観を表しているかのようです。
『クマのプーさん』の作者であるA.A.ミルンと、挿絵を担当したシェパードの偉業を記念する「メモリアル・プレート」は、「棒投げ橋」からさらに先へ進んだ小高い丘の上にあります。見晴らしのいいこの場所からは、プーたち百町森の住人の暮らす魔法の森も一望することができます。
アニメ版のほうが世界的に有名になってしまったからでしょうか。実は『クマのプーさん』は、クリストファー・ロビンが大人へと成長するため、百町森の住人たちに別れを告げるというシーンで終わるということは、あまり知られていません。
作者のミルンが『クマのプーさん』を通して描きたかったのは、「子どもが大人になるとはどういうことか」、「大人になるにつれて失われていくものは何か」という根源的な問いかけなのではないか。小高い丘の上から魔法の森を見渡すと、そんな考えが頭をよぎることでしょう。
イギリス発の児童文学の舞台は数多くありますが、その中でも比較的行きやすい場所にあるハートフィールド村周辺。
挿し絵と同じような風景が広がっているのを目の当たりにすると、自分も物語の登場人物になったかのような感覚を味わえ、またさまざまな思索に耽ることもできることと思います。
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(2024/4/20更新)
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