ご紹介する「わさび田」は、天城山の北側に位置する伊豆市筏場にあります。修善寺方面から天城湯ヶ島方面へ向かった県道59号沿いの狩野川の支流「大見川」の源流の山間部で見られます。
ここは、標高350mの冷涼な気候で、年間の水温が13度〜16度とほぼ一定。清涼な水と豊かな自然環境が整い、古くからわさびの生産が盛んな場所です。筏場をはじめ、天城湯ヶ島地域などの市内のわさび農家は350軒あり、栽培面積・生産量とも全国一を誇る一大生産地。ここには、14.7ヘクタールに1500枚ものわさび田が広がり「日本一のわさび田」と呼ばれています。
ここは、地元出身の文豪「井上靖」の自伝的小説を映画化した「わが母の記」のロケ地になるなど、伊豆を代表する見事な景観が広がっています。森に囲まれたわさび田は、清流の音がこだまし、辺り一面せせらぎがBGMの様に聴こえて、すがすがしい気持ちにしてくれ、空気も新鮮で美味しいですよ。
わさび田は、段々式に続く棚田状に作られ、ここでは地盤を掘り、大きな石・小さな石・砂の順番で敷き詰めた「畳石式」と言われる栽培方法で作られています。「畳石式」は、明治25年に伊豆で開発され「伊豆式」とも呼ばれ、わさびの根に新鮮な水が一定に流れるため、美味しいわさびが育つのだそう。
筏場では、苗を一本ずつ塩化ビニールの筒で包む栽培方法も取り入れているため、より品質の良いわさびに成長します。わさびは、温度変化に弱く、直射日光を嫌うため、夏は遮光カーテンをするほど繊細な植物。毎日、育成状況を見守るなどして、手しおにかけたわさびが栽培されています。
わさびは、常緑多年生。常に葉っぱが青々としているのですが、1月から3月に限っては、わさびにつける貴重な花を見ることができるのです。
一面に咲き誇るこちらの花が、わさびの花です。気候によって多少変動しますが、毎年1月から3月にかけて花を咲かせます。いち早く春の到来を里山に告げる花で、白く可憐な花を咲かせます。
わさびは、日本原産の植物なので、こんな光景が見られるのは日本ならでは。貴重な花畑が期間限定で現れ、最大規模を誇るわさび田で見る花は、凄味があります。
わさびの花をよく見てみると、何かの花に似ていると思いませんか? 勘が鋭い方は、閃いたかもしれませんが、わさびは、アブラナ科の植物。菜の花と同じ仲間の植物なので、そのため菜の花に似た花を咲かせます。近くで見ると、小さな花をけなげに咲かせていて、可愛いですよね。
わさびの花は、醤油漬けなどで食べられるそうで、同じ中伊豆地区にある「大見の郷 季多楽」では、わさびの花を売っているので、興味のある方は、お土産に如何でしょうか? わさびの花が見られるのは、この時期ならではのレアな景色なので、一見の価値あり!
如何でしたか? わさび田を見学する際は、私有地なのでむやみに入らない。作業をしている人の邪魔をしない、騒がない。美しい自然を保つために、ごみを散らかさないなどのマナーを守って、静かに見学して下さいね。わさび田へ続く県道59号線は、対向車とすれ違えないくらい道幅が狭い箇所もあるので、運転にはくれぐれもご注意を。
ご紹介した「大見の郷 季多楽」では、わさびの三杯酢・わさび漬・わさびみど・わさびかりんとうなど、色々なわさび商品を販売しているので、立ち寄ってみても面白いかも。同じ中伊豆地区の、わさびの大見屋「石庭わさび園」では、わさび漬けの手作り体験加工や、季節によってわさびの収穫体験をすることもできますよ。詳しくは下記のMEMO【わさびの大見屋】よりご覧ください。
わさびは、日本固有の植物。日本に居ながら、美しく咲くわさびの花は見逃せません。日本一のわさび田は、美しい自然環境の中で、希少なわさびの花が見られるお花見スポット。自然を満喫しながら、今年は珍しいわさびの花を見てみませんか?
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/19更新)
- 広告 -