磯部温泉は、群馬県安中市の、妙義山を望む碓氷川沿いに開けた温泉です。歴史は古く、江戸時代の万治四年(1661年)の絵図には、磯部温泉を記すおなじみの温泉記号が記載されていました。これが日本最古の温泉記号と認められ、この地が温泉記号発祥の地とされています。
かつては中山道を旅する人々も疲れを癒したと言われる温泉。首都圏からも程よい距離のこの静かな温泉地を訪れた文人も多く、碓氷川近くの詩碑公園には、萩原朔太郎や若山牧水らの15の詩碑があります。
写真:やた 香歩里
地図を見る温泉街へはJR信越本線磯部駅から徒歩約5分。駅から気軽に歩いていけるのもこの温泉の魅力です。大規模ホテルからアットホームな湯治の宿まで、9つの宿泊施設があるほか、足湯や日帰り温泉施設「恵みの湯」があります。
泉質は、「含銅・鉄(2)-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩強塩温泉」。塩分が強く温まるお湯で、浸かっていると肌がつるつるになり、美肌効果もあります。また、世界的に優れた胃腸泉であると、明治初期にドイツ人のベルツ博士からお墨付きを頂いたとの逸話があります。
県道220号線にかかる愛妻橋からは、碓氷川の清流とその川辺にたたずむ温泉街、そしてその背後の妙義山の雄大な姿を眺めることができます。
写真:やた 香歩里
地図を見る市営の日帰り温泉施設「恵みの湯」は、JR磯部駅から徒歩約7分、愛妻橋のたもとにあります。1階は大浴場・露天風呂・サウナなどのある温泉施設。また、個室や大広間、福祉浴室なども備え、さまざまな需要に応えられる施設となっています。
提供元:一般社団法人 安中市観光機構
http://www.annaka-city.com/#また、ここで注目したいのは、日帰り温泉施設には珍しい砂塩風呂があること。砂塩風呂は、オーストラリア産の白い砂と原塩をブレンドした温かい砂塩の中に身体を埋め、銀イオンや酵素・ミネラルの力により、血流を促し筋肉をほぐし、新陳代謝を高めるというものです。
まず、入浴前に、大きなカップに1杯の薬草茶をいただき、体調や普段の入浴についての簡単なカウンセリングを受けます。その後、専用の浴衣に着替えて、砂塩風呂へ。砂塩の上に横たわったら、あとはスタッフさんにお任せ。全身が温かい砂に包まれると、あっという間に芯から体が温まるのがわかります。入浴時間には個人差がありますが、10〜15分が理想です。
砂風呂を出て、シャワーで砂を落としたら、新しい浴衣を着て、休憩室へ。ヒーリング音楽が流れ、柔らかな照明の休憩室はまるでサロンのようで、リラックス効果抜群です。リクライニングチェアで身体を休めながら、4種類の薬草茶でたっぷり水分を補給して、ここでもしっかり汗を流します。たっぷり汗をかいても肌はべたべたせず、びっくりするほどさらさらに!
たくさんの汗と、ゆったり過ごす時間で、心身ともにすっきりデトックスできる砂塩風呂。リピートしたくなる心地よさです。
磯部温泉のお土産には、名物「磯部せんべい」をぜひ。なんと130年もの歴史があるというお菓子です。小麦粉と砂糖と温泉水だけで作られたせんべいは、ベーキングパウダーや重曹を使わなくてもさくさくと軽い口当たり。つい何枚も手が伸びる、素朴な美味しさです。
写真:やた 香歩里
地図を見る足湯のすぐそばの「名月堂」は、国産原料と手焼き製法にこだわった磯部せんべいが自慢です。また、スタンダードな磯部せんべいだけでなく、みそ味せんべい、ごまやピーナッツ、抹茶のせんべい、冬限定のチョコレートコーティングされたせんべいなど、バラエティーに富んだせんべいが並びます。
ちなみに、磯部駅前にはお土産屋や売店はありません。JRを利用する場合は、お土産は温泉街や宿泊施設で購入しておきましょう。「恵みの湯」にもお土産物のコーナーがあります。
400年ほども前の文書にその存在を見ることができる磯部温泉。往時から旅人を癒し続けた名湯を楽しむこともできれば、最新の砂塩風呂でサロン気分を味わうこともできます。
東京から、車なら約2時間、JRなら新幹線利用で約90分、妙義山に見守られた静かな温泉で、ぜひ穏やかな癒しの時を楽しんでください。
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