ガイドブックに載らないディープな香港!「九龍城」が蘇る怪しい雑居ビルの世界

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ガイドブックに載らないディープな香港!「九龍城」が蘇る怪しい雑居ビルの世界

ガイドブックに載らないディープな香港!「九龍城」が蘇る怪しい雑居ビルの世界

更新日:2018/07/23 14:45

藤井 麻未のプロフィール写真 藤井 麻未 元秘境系海外旅行添乗員、トラベルライター

香港というと、林立する摩天楼、国際的金融ハブ都市、香港グルメに高級ホテルのアフタヌーンティー…など煌びやかなイメージを思い浮かべる方が多いだろう。しかし、こうしたキラキラしたイメージ通りの街並を歩いていても、時にその背後に怪しげな雑居ビルが黒々と聳えていることに気付く方もいるはずだ。今回は、通常の観光ルートには無い香港の生きた雑居ビル、その驚くべき姿をご紹介しよう。

太古にある生きた雑居ビル

太古にある生きた雑居ビル

写真:藤井 麻未

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映画「トランスフォーマー」シリーズの最新作、「トランスフォーマー〜ロストエイジ〜」の映像中に香港の街並のシーンとして映り込んでいた雑居ビル。その驚くべき姿に少なからずインパクトを受けた方はいるだろう。実は、このビルは香港島側の「太古」という場所に実在する。映画をご覧になっていない方も、ありきたりな観光ではない香港の生の姿を見てみたいなら興味深いスポットだといえる。

地下鉄「太古駅」からほど近く、英皇道が大きくカーブする付近に突如として姿を現すのがこの雑居ビルだ。ガイドブックなどには載っていないのでGoogleマップで確認してから行こう。周囲の建物と比べても並外れて巨大なそのビルは明らかに異質で、圧倒的な視覚的インパクトを放っている。

一階部分には飲食店や雑貨店などテナントが入り、上の階は住居になっていて構造としては普通の雑居ビルなのだが、驚くべきはその住居部分の密度だ。まるで何かが蠢くように夥しい数の窓からは生活感が漂い、古びたビル全体が生きているように感じられる。

伝説の魔窟、九龍城

伝説の魔窟、九龍城

提供元:Forgemind ArchiMedia

https://www.flickr.com/photos/eager/7243382346/in/…

香港の雑居ビルといえば、かつて「伝説の魔窟」と恐れられた九龍城が思い浮かぶ。当時イギリス領であった香港に中国の飛び地としてできたこの区画は、イギリス、中国、どちらの法律も適用されない無法スラム街としてあらゆる犯罪、悪事がはびこった。

外観は古びた雑居ビルの様相だが、内部は次々と建て増しされて蟻の巣のように複雑怪奇な構造をしている。ここへ一度足を踏み入れた者は二度と生きては戻れないとさえ言われた。そんな九龍城も1945年に取り壊され現在は平和な公園として生まれ変わっているが、その伝説は今もマニアの間で語り継がれている。

さて、例の雑居ビルはそんな伝説の九龍城が現代に蘇ったかのような姿をしている。よく尖沙咀にある「重慶マンション」が九龍城の再来だと言われるが、今回はその上を行くディープさだ。ただし実質は九龍城と違って中流階級の通常の住民が住まうビルであるため、訪れるにしても身の危険を感じたり治安の心配をする必要はない。不気味な雰囲気ではあるのだが、昼間であれば女性一人で行っても問題は無いスポットだといえよう。

内部に潜入してみよう

内部に潜入してみよう

写真:藤井 麻未

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さて、ビルの外観だけでも十分なインパクトなのだが、内部に潜入してみるとよりディープな世界を味わえる。上述のようにビルの一階はテナントが入っているのだが、その間に内部への入口がいくつか存在する。英皇道に面した店の間にも奥へ続く出入り口があるので、躊躇せずに入ってみよう。

テナント部分からビルの内部に潜入すると、そこは外界の喧騒とは隔絶された別世界のような中庭が広がっている。中庭は三方をビルの壁で囲まれ、上部から僅かに日の光が届くのみで薄暗い。そして、圧倒されるのがその壁にビッシリと張り付いた各戸の窓だ。この僅かなスペースにいったいどれだけの住民が詰め込まれているのだろうか。ここは映画のシーンにも登場するが、その風景は圧巻で一瞬にして目が釘付けになってしまう。

日の当たらない生活

日の当たらない生活

写真:藤井 麻未

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更に興味がある方は、ビル本体の内部へも入ってみると面白い。三方を取り囲む壁には、住居部分へと続く扉が何か所かあり鍵が閉まっていたりするが、一つくらいは空いているものもある。運よく空いている扉を見つけたら勇気を持って入ってみよう。

中は薄暗い階段が上層階へと続いている。各フロアは更に薄暗く、驚くほどに狭い。切れかけた電灯が時おりパチパチと点滅していたりする。まるでバイオハザードのゲームにでも迷い込んでしまったかのような感覚に襲われ、ゾンビが現れてもおかしく無い不気味さだ。住民はごく普通の人々だが、狭くて真っ暗な廊下の向こうに物憂げな住民が歩く姿などを見かけると背筋がゾッとしてしまう。

香港の住宅事情

香港の住宅事情

写真:藤井 麻未

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香港の住宅事情は非常に深刻だ。家賃は高騰の一途を辿り、人口密度は世界一と言われる。だから香港を訪れた際には、まるで本当の鉛筆のように細く気の遠くなるほど高い高層ビルをよく見かける。いかに少ないスペースに人を詰め込むかという工夫がなされている。

上述の九龍城にいたっては、わずか一畳に平均3人が暮らしていたのだとか。この雑居ビルに潜入してみると、その様子がなるほどよく分かる。廊下部分は人一人がやっと通れるくらいの幅しかなく、扉を開けるともう人は通れない。窓は一切なく、あったとしてもその先はまた得体のしれない暗がりで、爽やかな太陽の光などとは無縁の世界である。

おわりに

さて香港の生きた雑居ビルの姿はいかがだっただろうか。煌びやかにライトアップされたハーバー沿いの摩天楼、高級ホテルや香港グルメなどツーリスティックな世界が広がる裏に、実はこのような不気味な雑居ビルが無数に聳えている。

香港に暮らすごく普通の人々にとってそれは珍しいことではないのかもしれない。しかし、日の届かない場所で生まれ、まるで海の奥深くにいるかのように暗く湿った環境で一生暮らしてゆくと思うと底知れぬ恐怖を感じてしまう。

通常の観光では訪れることのない、大都市に眠るディープな部分を見てみるのもその場所や人々を知るひとつの方法なのではないか。香港を訪れるならば、ぜひ一度雑居ビルを探訪してみることをおススメする。

掲載内容は執筆時点のものです。

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