大正当時最先端の学校!池袋「自由学園明日館」に流れる特別な時間

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大正当時最先端の学校!池袋「自由学園明日館」に流れる特別な時間

大正当時最先端の学校!池袋「自由学園明日館」に流れる特別な時間

更新日:2016/12/21 09:14

織笠 なゆきのプロフィール写真 織笠 なゆき トラベルライター、御朱印収集家、狛犬愛好家

「近代建築の巨匠」の一人とされるアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトをご存知でしょうか。代表作はニューヨーク市のグッゲンハイム美術館や、ペンシルバニア州のカウフマン邸(落水荘)など。日本では旧帝国ホテルの設計者として知られています。池袋にある「自由学園明日館」も、そんなライトの作品の一つ。自由学園の創立者である羽仁夫妻の理念や、建物の美しさ、動態保存という取り組みについてご紹介します。

自由学園創立者、羽仁もと子・吉一夫妻の想い

自由学園創立者、羽仁もと子・吉一夫妻の想い

写真:織笠 なゆき

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JR池袋駅メトロポリタン口から徒歩約5分という近さにありながら、驚くほど開放的で落ち着いた雰囲気が漂う自由学園明日館(みょうにちかん)。自由学園誕生の校舎であるこの建物は、1934年(昭和9年)に学校機能が東京都東久留米市に移転した後は、卒業生のさまざまな活動の場として使われてきました。現在では見学者の受け入れとともに、一般への貸し出しも行われています。

構造は、大きな窓を有する中央棟の左右に教室棟を配した、厳密なシンメトリー。フランク・ロイド・ライトが確立した、高さを抑えた建築様式「プレイリースタイル(草原様式)」の特徴をよく表しており、また、シカゴ万国博覧会において日本館として建てられた「鳳凰殿」をモチーフにしたとも言われています。

自由学園創立者、羽仁もと子・吉一夫妻の想い

提供元:自由学園明日館

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自由学園を創立したのは、日本初の女性ジャーナリストであった羽仁もと子と、その夫、羽仁吉一の二人です。新聞社勤めで知り合った二人は結婚後、現在も発行が続く雑誌『婦人之友』の前身、『家庭之友』を創刊。古いしきたりにとらわれない新しい家庭の在り方や、家を切り盛りする知恵などを女性たちに伝えてきました。

やがて、「知識の詰め込みだけではない、生活と結びついた教育を行う学校を創ろう」と思い至った羽仁夫妻は、自由学園の開校を決意。友人であった建築家の遠藤新に設計を依頼し、帝国ホテル設計のために来日中だったフランク・ロイド・ライトを紹介されます。

フランク・ロイド・ライトと遠藤新、2人の建築家による共同設計

フランク・ロイド・ライトと遠藤新、2人の建築家による共同設計

提供元:自由学園明日館

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羽仁夫妻の目指す教育理念に深く共感したフランク・ロイド・ライトは、遠藤新とともに、「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充たしめたい」という夫妻の願いを基調とした校舎の設計に取り組みました。

遠藤は当時、旧帝国ホテルの建設にライトのチーフアシスタントとして従事していました。元々ライトの建築哲学に感銘を受けていた遠藤は、その思想を受け継ぐ弟子として、のちに旧甲子園ホテル(現・武庫川女子大学 甲子園会館)などの名作を日本各地に残しています。

多作で知られるライトですが、共同設計を行ったことはほとんどない中で、自由学園明日館については遠藤を共同設計者として認めたということからも、格別な信頼を寄せていたということがうかがえます。

フランク・ロイド・ライトと遠藤新、2人の建築家による共同設計

写真:織笠 なゆき

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写真の部屋の名前は「Rm.1921」。1921年(大正10年)4月、まだ建築途中だったこの教室で最初の入学式が行われ、26人の少女が生徒となりました。現在の自由学園は東久留米市において、幼稚園の子供から大学部の学生までが学ぶ一貫教育の学校として、『生活即教育』という羽仁夫妻の理念を受け継いでいます。

動態保存という取り組み

動態保存という取り組み

提供元:自由学園明日館

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戦争の空襲や関東大震災による被害を免れた自由学園明日館は、その歴史的、芸術的価値が評価され、1997年(平成9年)5月、国の重要文化財に指定されました。

これを機に、約3年にわたる大規模な保存修理工事が行われていますが、そのうち約1年は、解体しながらの入念な調査に費やされています。建設当時の構造や、長い年月の中で施された改造などを詳しく知ることで、建物の姿を後世に伝えるあり方が模索されたのです。

元々の古材をできる限り使用しオリジナルの形に近づけるということを基本としたうえで、建物の恒久性を高めるとともに、今後建物を活用していくための設備面での改善も施されました。

この写真は中央棟のホール。光を取り込む幾何学模様の大きな窓が美しく、結婚式などのイベントに利用されています。

公開講座の開催など、開かれた空間へ

公開講座の開催など、開かれた空間へ

提供元:自由学園明日館

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披露宴会場として使われることもあるこちらは、食堂として利用されていた場所です。吊り下げられた照明器具は、工事着工後に現場を訪れたフランク・ロイド・ライトが、「天井までに間が抜けた空間ができてしまう」とその日のうちに設計したものなのだとか。当初は部屋の四隅に照明をつける予定でしたが、現場で生徒たちが食事をする様子を思い浮かべて手を加えていくところに、ライトの心が込められているのを感じます。

この食堂を含め、ホールやいくつかの会議室と教室は一時間単位で借りることができ、様々なイベントや公開講座などが催されています。また、趣のある佇まいは映像的にも魅力があり、TVドラマやミュージックビデオなどの撮影にも使われているようです。

このように、現在の自由学園明日館では、建物を使いながら文化財としての価値を維持していく「動態保存」という取り組みが行われています。催し物のスケジュールは、ページ下部の【この記事の関連MEMO】より、公式サイトをご確認ください。

喫茶付き見学やガイドツアーも

喫茶付き見学やガイドツアーも

写真:織笠 なゆき

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自由学園明日館の中には、「婦人之友社」のあゆみを展示した部屋や、フランク・ロイド・ライトについての資料や明日館の模型などを展示した「ミニミュージアム」など、見どころが多数あります。開館日の14:00から行われる、職員によるガイドツアーは、より深く明日館のことを知ることができておすすめです。

喫茶付き見学やガイドツアーも

写真:織笠 なゆき

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見学料は400円(中学生以下無料)、喫茶付き見学は600円です。喫茶付き見学は、ホールにてコーヒーまたは紅茶と、クッキーまたはケーキをいただくことができます。

※施設の利用状況により、見学が部分的になる日や全面的に不可能な日、ガイドツアーが行われない日もありますので、公式サイトでご確認ください。

自由学園明日館で、ゆったりとしたひとときを

世界的巨匠フランク・ロイド・ライトの設計した近代建築としても、大正期の自由教育運動の舞台としても、史料的価値の高い「自由学園明日館」。その一方で、のびやかな枝ぶりの桜の木や、季節の花のあしらい、丁寧に磨かれた各室、おいしいコーヒーや紅茶、わかりやすい説明文の掲示やガイドツアーなど、ここに携わる人々の思いが、とても居心地のいい空間を作り出しています。

素敵なイベントもいろいろありますが、何もない日にも訪れて、ゆったりとしたひとときを過ごすのもいいのではないでしょうか。

敷地内にあるミュージアムショップ「JMショップ」では、センスの良い雑貨や、ぬくもりを感じる子供用のおもちゃなどを取り扱っています。そちらもぜひのぞいてみてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/02 訪問

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