ドイツ・フランクフルトの教会めぐりを楽しもう!

ドイツ・フランクフルトの教会めぐりを楽しもう!

更新日:2018/07/25 12:43

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
ドイツ・フランクフルトの旧市街には、レーマー広場を中心として九つの教会がまとまって建っています。それぞれに距離が近く、徒歩で回っても半日もあれば見学できるのは魅力的。

テーマを持った街歩きに最適で、季節を問わず訪問できますので、フランクフルトの教会めぐり散策してみませんか。

聖バルトロメウス大聖堂は荘厳!

聖バルトロメウス大聖堂は荘厳!

写真:菊池 模糊

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まず最初は旧市街のランドマークである大聖堂。レーマー広場から東へ4分ほどにある聖バルトロメウス大聖堂は、旧市街では最も印象的で巨大な建物です。神聖ローマ皇帝の選挙や戴冠式が行われた場所であることからカイザードーム(皇帝の大聖堂)とも呼ばれており、特に夜の大聖堂は美しく荘厳な雰囲気を醸し出しています。

13世紀に小礼拝堂があったこの土地に、聖バルトロメウス大聖堂は建てられました。しかし第二次世界大戦で全焼。したがって今建てられている大聖堂は、戦後に再建されたものです。

内部を飾る祭壇や絵画などは戦災を避けて保護されていた古いもので、パイプオルガンはドイツ最大級。

ここにある美術品のうち最も重要なものは、奥の祭壇に向かって左側の翼廊にあるヴァン・ダイクの絵画「キリストへの哀悼」です。これはキリストが息絶えた後、十字架から降ろされ、家族と弟子たちが取り囲んでいるところを描いた名作ですので、見逃さないようにしましょう。

なお、入り口横に有料の博物館も併設されており、大聖堂の歴史展示や、ミサの祭服・冠など貴重なコレクションが見られますので、余裕のある方は見学してください。

ドミニコ会修道院は重厚で、パウルス教会は近代的!

ドミニコ会修道院は重厚で、パウルス教会は近代的!

写真:菊池 模糊

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大聖堂を見た後は、2番目として、北東に少し歩きドミニコ会修道院を見てみましょう。ここは13世紀の創建以来、多くの学者や聖職者を輩出し、修道院運動の中で大きな役割を果たしました。現在は福音地域教会の本部として使用されており、内部には入れませんが、とても重厚な存在感のある建物です。

ドミニコ会修道院は重厚で、パウルス教会は近代的!

写真:菊池 模糊

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3番目は、ドミニコ会修道院から西に歩いて7分ほどのところにあるパウルス教会です。円柱形の主屋が珍しいネオクラシック様式の建物で、近代的な雰囲気が目をひきます。ここは19世紀初に建てられたプロテスタント教会で、1848年にドイツの民主化と統一を図ろうとした憲法制定ドイツ国民議会(フランクフルト国民議会)が開かれた場所。この自由主義的な運動はプロイセンとオーストリア帝国の反対で失敗しましたが、歴史的に非常に重要な出来事です。

その後、第二次世界大戦で焼失し、公募デザインにより再建され、1948年、国民会議の100周年記念日にオープンしました。現在は、教会ではなくドイツの自由と民主主義のシンボルとして、展示会やイベント会場に使われ、ゲーテ賞やドイツ出版平和賞の授与式も行われます。

内部に入ると、1階は円形状の回廊になっており、ドイツの民主主義の歴史の写真やパネルが展示。2階に登ると、非常に広い教会風ホールがあり、その圧倒的な空間の大きさに驚かされます。

聖母マリア教会は綺麗で、カタリーネン教会はスマート!

聖母マリア教会は綺麗で、カタリーネン教会はスマート!

写真:菊池 模糊

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4番目は、パウルス教会から北へ5分ほど歩いたところにある聖母マリア教会(リープフラウエン教会)。中型の綺麗で穏やかさのある佇まいのカトリック教会です。この教会は、1334年創建のゴシック様式教会を基礎とし、18世紀後半にバロック様式の塔屋が建てられロココ様式の装飾が施されました。その後、第二次大戦で被災したため、1948年に再建されたものです。

聖母マリア教会の内部は、ステンドグラスがたくさんあり、聖人の像に飾られた柱が並ぶ、いかにもカトリックらしい雰囲気。ここでは、日に何度も礼拝式が行われ、現在も多くの信者が通いつめています。

聖母マリア教会は綺麗で、カタリーネン教会はスマート!

写真:菊池 模糊

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5番目は、聖母マリア教会から西へ3分ほど歩いたところにあるカタリーネン教会です。このあたりはハウプトヴァッヘと呼ばれるバロック様式の建物を中心とした賑やかな広場。その一角にあるこの教会は、1681年に建てられたバロック様式のプロテスタント教会で、第二次世界大戦で倒壊し、1954年に再建されたものです。フランクフルトで生まれ育った文豪ゲーテは、ここで洗礼を受けました。

カタリーネン教会はすっきりと立っておりスマートな印象です。いっぽう内部は、チャールズ・クローデルの制作による見事なステンドグラスに囲まれ、比較的明るい雰囲気です。なお、この教会は午後2時から5時までの内部公開ですので注意してください。

ニコライ教会はチャーミングで、聖レオンハルト教会は幽玄!

ニコライ教会はチャーミングで、聖レオンハルト教会は幽玄!

写真:菊池 模糊

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カタリーネン教会から5分ほど南へ歩きレーマ―広場へ戻ってくると、南正面にチャーミングな教会が見えます。これが6番目の目的地であるニコライ教会です。ここは13世紀初期に創建された教会で、15世紀に後期ゴシック様式の教会として完成。その後、第二次世界大戦で被災したものの倒壊せず修復により蘇った貴重な教会です。戦後はプロテスタント教会となりました。

この教会は、ツートンカラーに見える白い壁と赤いレンガの組み合わせが見事で、内部も同じトーンです。戦前の美術や彫像も残されているため、プロテスタント教会としては装飾的ですが、教会が経てきた歴史の重みを感じさせるものです。日に三回奏でられる教会の鐘音楽カリヨンも有名で、レーマ―広場の風物詩となっています。

ニコライ教会はチャーミングで、聖レオンハルト教会は幽玄!

写真:菊池 模糊

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ニコライ教会からさらに南へ3分ほど歩き、マイン川河畔に出ると、西側に小さな教会があります。これが7番目の目的地である聖レオンハルト教会。この教会は1219年にロマネスク様式で建てられ、15世紀に一部ゴシック様式に改装されました。最初は聖ゲオルギウス教会でしたが、1323年、聖人レオンハルトの聖遺物を獲得。以後、聖レオンハルト教会と呼ばれるようになりました。また、ここは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かうドイツ人巡礼が旅の平安を祈る場所でもあります。

聖レオンハルト教会は、外観は元ロマネスク様式ということで、小さいながらもどっしりとして、幽玄な古い教会という感じです。内部にはホルバインによる貴重な絵画「最後の晩餐」がありますが、2016年現在、長期補修工事のため、内部拝観はできません。

ドライケーニヒ教会は美しく、ドイツ騎士団教会は正教的!

ドライケーニヒ教会は美しく、ドイツ騎士団教会は正教的!

写真:菊池 模糊

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聖レオンハルト教会の南側に、マイン川を渡る歩行者専用の鉄の橋(アイゼルナー小橋)が架かっています。欄干に鍵がたくさん掛けられていることで有名ですが、この橋から前方左側に見える教会はとても美しく一幅の絵のよう。これぞ8番目の目的地であるドライケーニヒ教会です。ドライケーニヒとはキリストの生誕時に祝福に来たとされる東方の三博士のことです。この教会は、ネオゴシック様式のプロテスタント教会で、1881年に建造されました。

教会内部はシンプルですがある程度の装飾もあります。特に、ステンドグラスは華美さを抑えた上品なもの。祭壇付近から振り返って見ると、天井のヴォールト模様が見事で、その奥にパイプオルガンが収まっている光景はとても美しいです。

ドライケーニヒ教会は美しく、ドイツ騎士団教会は正教的!

写真:菊池 模糊

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ドライケーニヒ教会から、マイン川沿いに東へ歩き、大きな交差点を渡るとイコン博物館の横に中型の教会が建っています。これが、最後9番目の目的地であるドイツ騎士団教会です。この教会は1309年創建の聖堂を起源とし、第二次世界大戦で被災したため戦後再建されたもの。本体はゴシック様式で、ファサードはバロック様式です。

ドイツ騎士団とはカトリックの公認した騎士修道会ですが、ここの教会内部の祭壇などの雰囲気は東方正教会に似ており驚かされます。これは、ドイツ騎士団は、主に現在のルーマニアなど東欧方面に植民したことから、正教の影響を受けたと推察されます。隣接するイコン博物館も、そうした騎士団が現地のイコンを買い集めたコレクションが基になっています。

まとめ

フランクフルトにはドイツ最大の空港があり、日本からの直行便が就航しています。またヨーロッパの中心部にあることから、ここを経由してドイツをはじめとする各国の観光地に行かれる方は非常に多いです。また、鉄道網も完備しており、フランクフルト中央駅にはヨーロッパ各地からアクセスが容易です。とはいえ、経由地として考えられがちで、フランクフルトの街をじっくりと歩いて回られる方は少ないようです。

せっかくですので、フランクフルトに立ち寄られたら、ぜひ時間をとって、上記の教会めぐりで、街中を歩き回ってください。いずれもレーマー広場から徒歩圏内なので、できれば近辺に宿をとって、ゆっくりと楽しむことをおすすめします。なお、注意点は、あくまで宗教施設ですので教会内部では節度を守って静かに見学することです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/05 訪問

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