その姿はまるで炎の神殿!栃木・野木町煉瓦窯〜迫力の大窯と赤煉瓦の建物めぐり

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その姿はまるで炎の神殿!栃木・野木町煉瓦窯〜迫力の大窯と赤煉瓦の建物めぐり

その姿はまるで炎の神殿!栃木・野木町煉瓦窯〜迫力の大窯と赤煉瓦の建物めぐり

更新日:2016/12/21 17:47

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、中級登山者、ブロガー

栃木県から近代化遺産の建物、野木町煉瓦窯をご紹介。明治期に建造された煉瓦製造の巨大な窯で、外観は円形に赤煉瓦で積まれた、異国情緒ある不思議な姿です。稼働時に近い保存状態の内部は見学が可能。複数の窯が連なった回廊と、その中央に聳え立つ大煙突。炎の神殿のような迫力あるその姿には大興奮。野木町煉瓦窯の魅力と、周辺に現存する赤煉瓦を使った建物を合せてご紹介します。

野木町煉瓦窯〜異国情緒溢れる赤煉瓦の大窯

野木町煉瓦窯〜異国情緒溢れる赤煉瓦の大窯

写真:大木 幹郎

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野木町煉瓦窯は、栃木県の最南端に位置する野木町にあります。明治23年(1890)に下野煉化製造会社により建造された、直径33mの巨大な煉瓦製造の窯。煉瓦製造は昭和46年(1971)まで続けられました。稼働時の状態に近い貴重な建物は、国の重要文化財にして近代化遺産。窯の内部や2階を見学することが可能です。

煉瓦窯の外観は特徴的。赤煉瓦の円形の壁にドーム状の屋根。異国情緒あるその姿は、まるで古代の神殿や劇場のよう。この構造は、ホフマン式の窯に特有のもの。複数の窯を環状に連ねて火を循環させ、半永久的に煉瓦製造を続けられました。全体は16の窯で構成された16角形。全ての窯に火が1周すると、約22万個もの煉瓦が製造できたそうです。

野木町煉瓦窯〜異国情緒溢れる赤煉瓦の大窯

写真:大木 幹郎

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野木町煉瓦窯は、国内に現存するホフマン窯のうち、最も保存状態が優れたもの。稼働時の臨場感がたっぷりの、窯の内部や2階を見学できます。写真は第11号窯への入口。100年以上が経過した重厚で風格ある外壁に、内部への期待は高まります。

なお、煉瓦窯の内部では、安全のため貸し出されるヘルメットを着用します。受付所でもある野木町ホフマン館では、定時になるとガイドの方が待機していますので、解説を受けながら見学することも可能です。

野木町煉瓦窯〜環状の窯は炎が巡った灼熱の回廊

野木町煉瓦窯〜環状の窯は炎が巡った灼熱の回廊

写真:大木 幹郎

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写真は第13号窯から第15号窯の様子。第11〜15号窯は、往時の景観を重視した補修が施された区画です。地下遺跡のような空間は、1000度もの炎が駆け巡った灼熱の回廊。独特の雰囲気と稼働時の臨場感に興奮します。

天井に見える複数の穴は、焼成の際に2階から粉炭が落とされた投炭孔。内側(右)の低い位置にある穴は、煙突に通じる煙道。外側にある窯の出入口は、煉瓦が搬入されると塞がれ、搬出するときには崩されました。窯の間は壁で遮られず、紙で簡単に仕切られたそうです。

野木町煉瓦窯〜環状の窯は炎が巡った灼熱の回廊

写真:大木 幹郎

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写真は第4号窯に再現された点火釜の様子。点火窯は、稼働開始時に焚口が作られた窯で、焚口は点火が終わると壊され普通の窯に戻ります。第1〜10・16号窯は保存を重視のため、鉄骨で補強された区画ですが、この無骨さも中々に見物です。

環状の窯を火が流れる仕組み。それは、焼成中の窯の前後に、空気の入口と出口となる窯を置くことでした。空気の入口となる窯は、煉瓦を搬入・搬出中で、窯の出入口が空いたもの。煙の出口となる窯は、煙道と煙突との接続が開かれたものでした。

野木町煉瓦窯〜大煙突が聳える2階は炎の制御室

野木町煉瓦窯〜大煙突が聳える2階は炎の制御室

写真:大木 幹郎

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煉瓦窯の見学ルートは、やがて広いドーム状の2階へと至り、興奮はクライマックスに。環状に連なった窯の中心には、心臓部となる大きな煙突。煙突を御神体とした、宗教的な遺跡のようにも見える景観です。2階は窯の焼成の制御室。窯への燃料の投入と、煙突と繋げて排煙させる窯を選択していました。

野木町煉瓦窯〜大煙突が聳える2階は炎の制御室

写真:大木 幹郎

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煙突を囲む窯の上に続く不思議な突起。これは投炭孔の列で、その両脇にレールが敷かれています。投炭孔は、焼成中の窯に粉炭を投入する穴で、1つの窯に25箇所。粉炭は、レールの上を進むトロッコで運ばれました。

野木町煉瓦窯〜大煙突が聳える2階は炎の制御室

写真:大木 幹郎

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煉瓦窯の心臓部となる迫力の大煙突。炎の流れの出口となる、排煙を制御する場所です。煙突の基部にある台座のような設備が集煙道。ここに各窯の煙道が繋がっており、その接続はダンパーと呼ばれる装置で開閉(並んだ円い蓋)。そして集煙道の内部は、煙が時計回りに煙突へ流れる仕切りの構造。この集煙道によって排煙の流れが制御されました。

谷中村排水施設〜渡良瀬遊水地に残る赤煉瓦の遺構

谷中村排水施設〜渡良瀬遊水地に残る赤煉瓦の遺構

写真:大木 幹郎

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谷中村排水施設は、野木町煉瓦窯の赤煉瓦で造られた遺構で、野木町の西に接する渡良瀬遊水地にあります。広大な遊水地の中に埋もれた煉瓦の壁は、古代遺跡のように不思議な佇まい。知る人ぞ知るマニアックな土木遺産です。

この谷中村の排水施設は明治27年(1894)に設置。村民たちが、村を洪水から守り、耕作地を広げる目的で導入。排水路は当時、近くを流れていた思川と繋がっていました。

渡良瀬遊水地の詳細は、文末の関連MEMOのリンクをご参照ください。

谷中村排水施設〜渡良瀬遊水地に残る赤煉瓦の遺構

写真:大木 幹郎

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排水施設へのアクセスについて。水路沿いの舗装道から先、写真のようなヨシ原の踏み跡を歩いて東へ。訪問時期は3月下旬から5月上旬がお勧め。それ以外の時期は、伸びたヨシで排水施設や道が埋もれます(写真はヨシ焼きの後日に撮影)。

野木町煉瓦窯に併設された野木町ホフマン館では、レンタサイクルが利用できます。広大で気持ちが良い風景の渡良瀬遊水地。折角なのでサイクリングも楽しまれては如何でしょうか。

西堀酒造〜老舗に残る赤煉瓦の煙突

西堀酒造〜老舗に残る赤煉瓦の煙突

写真:大木 幹郎

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最後にご紹介するのは、栃木県の小山市にある西堀酒造。明治5年に創業された老舗の酒造です。敷地内にある大正年代に建てられた4棟が、国登録有形文化財の貴重なもの。その1つが敷地の中央に建つ煙突で、野木町煉瓦窯の赤煉瓦が使われています。

煙突の形状は、四角筒形で、高さは約17m。老舗の銘酒造りを長年支えてきた風格ある佇まい。仕込みに入る前の米を蒸す、釜場の排煙に使われていました。煙突を囲む現役の酒蔵へは、事前の予約で見学することができます。

西堀酒造〜老舗に残る赤煉瓦の煙突

写真:大木 幹郎

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写真は西堀酒造の正面に建つ、国登録有形文化財の仕込蔵。内部はお洒落な前蔵アンテナショップという店舗に改装され、お酒の試飲や購入ができます。地元への出荷比率90%以上と地産地消にこだわり、各種品評会にて金賞を受賞している酒蔵。そのブランドは「若盛」「奥座敷」「門外不出」の3種。旨みのある個性豊かな味わいの日本酒です。

西堀酒造は野木町煉瓦窯から車で約15分と近い位置。赤煉瓦の煙突を含め、国登録有形文化財の建物がある酒蔵へ、見学と栃木県の銘酒を味わいに訪れてみませんか。

野木町煉瓦窯を起点として栃木県南部の観光を堪能!

以上、野木町煉瓦窯と現存する赤煉瓦の建物めぐりでした。国内で最も保存状態の良いホフマン式の貴重な大釜は、国の重要文化財であり近代化遺産。外観は赤煉瓦で造られた古代の神殿や劇場ように、立派でエキゾチック。そして、灼熱の炎の回廊となった窯の内部と、炎を制御した大煙突が聳える2階が見学可能となれば、興奮せざるを得ないでしょう。

野木町煉瓦窯の周辺には、そこで製造された赤煉瓦が使われた建物が、今も点在しています。谷中村排水施設は、渡良瀬遊水地の中にある、知る人ぞ知るマニアックな土木遺産。小山市にある西堀酒造では、貴重な建物や酒蔵の中を見学(予約)し、栃木県の銘酒を堪能。3つ巡って五感を刺激し、栃木県南部での観光を楽しみましょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/13 訪問

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