冬に咲く貴婦人!「上野東照宮ぼたん苑」で見る富貴な冬牡丹

冬に咲く貴婦人!「上野東照宮ぼたん苑」で見る富貴な冬牡丹

更新日:2016/12/27 15:57

Naoyuki 金井のプロフィール写真 Naoyuki 金井 神社・グルメナビゲーター
季節を知る一つの方法が“花”。四季折々に咲く花々を愛でれば、その美しさと共に季節の訪れを感じさせてくれます。そんな季節の中で冬の花は比較的地味なのですが、春に咲く華麗な牡丹とは一味違った風情が味わえるのが「冬牡丹」で、東京都心にあって江戸情緒漂う冬牡丹が見られるのが、台東区上野の「上野東照宮ぼたん苑」です。
毎年元旦から開催され、冬でも壮麗な“冬牡丹”の魅力を紹介いたします。

上野東照宮とは

上野東照宮とは

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

危篤の家康の病床に招かれた大名藤堂高虎と天海僧正は、三人が一か所に末永く鎮まるところを作ってほしいとの遺言を受けます。そこで高虎は当時藤堂家の屋敷地であった現在の上野に1627年に「上野東照宮」を造営しました。

その上野東照宮の国指定重要文化財である《大石鳥居》大石鳥居を潜ると、参道脇には200基以上の石灯籠が並んでいます。これらは、創建時に全国の諸大名から寄進されたもので、当時の家康の絶大なる権力を思い知ることができます。

これらの寄進された灯籠の中でも一際目を引くのが、大石鳥居の前の広場にある《お化け灯籠》です。上野東照宮が完成し石灯籠などが僅かしか奉納されていなかった頃、常陸北条藩主佐久間勝之が、他に先駆けて寄進したもので、6.06mもの大きさを誇っています。
因みに、京都南禅寺、名古屋熱田神宮の大灯籠も勝之が奉納したもので、併せて“日本三大灯籠”と呼ばれています。

上野東照宮とは

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

上野東照宮ぼたん苑

上野東照宮ぼたん苑

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

参道脇に並ぶ200基以上の石灯籠の途中にあるのが「上野東照宮ぼたん苑」。ちょっと料亭にでも入るような情緒ある入苑口です、

このぼたん苑は昭和55年日中友好を記念して開園された回遊式庭園です。日中友好の証となったのは、牡丹が奈良時代に中国から薬用植物として伝えられたことに由来しており、中国文学では8世紀以降、詩歌に盛んに詠われ、日本でも季語として俳句で使用されるなど、日中で親しまれてきた花だからです。

上野東照宮ぼたん苑

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

平成27年にリニューアルされた苑内の見所は「お休み処」から眺める光景で、五重の塔を背景に、枯山水の庭園に霜除けのワラボッチに包まれた牡丹は、“富貴”の象徴として「富貴花」「百花の王」と呼ばれるに相応しい気品が溢れています。
そして「お休み処」では、温かい甘酒やお茶などを楽しむことができるので、寒い冬の日、美しい牡丹と温かい飲み物で癒されること間違いありません。

“冬牡丹”と“寒牡丹”

“冬牡丹”と“寒牡丹”

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

このぼたん苑には、中国、アメリカ、フランス品種を含めて500株以上の牡丹が華麗に咲き誇っています。それらは毎年、4月中旬から5月上旬にかけて東照宮春のぼたん祭りで見ることができます。。
その初夏の花である牡丹を寒い冬に咲かせたものが《冬牡丹》で、別名《寒牡丹》とも云われていますが、実は全く違うものです。

“冬牡丹”と“寒牡丹”

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

《寒牡丹》とは、早春と初冬の二期咲きの性質をもつ品種があり、冬に咲くものを寒牡丹と呼んでいます。この花は自然の環境に左右されやすく、着花率が二割以下という貴重な牡丹になっています。そこで冬に咲く牡丹を人工的に創りだしたのが《冬牡丹》で、春夏に寒冷地で開花を抑制し、秋に温度調整して冬に備えるという手間隙をかけているのです。
ズバリ、その違いは“葉”で、寒牡丹は葉がほとんどなく、冬牡丹は青々とした葉を持っていることです。極わずかですが、ここでも寒牡丹を育てているので探してみてくだい。

春の訪れを感じる苑内

春の訪れを感じる苑内

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

見どころは牡丹だけではありません。
苑内には、既に春の訪れを伝えるかのように咲く草花があります。黄色い花を咲かせる可憐なフクジュソウや白と黄色のコントラストが美しいスイセン。更に満作や香り漂う蝋梅、早咲きの寒紅梅など、もうすぐやって来る春を楽しむかのようです。

道案内を兼ねた粋な牡丹の暖簾をくぐってぼたん苑を出るまで、約40品種200株の冬牡丹をじっくり堪能してください。
運が良ければ雪景色の中の冬牡丹が見られるかもしれません。

春の訪れを感じる苑内

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

家康と牡丹のご利益

家康と牡丹のご利益

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

冬牡丹を堪能したら、折角ですので東照宮にもお参りしましょう。
参道を進んだ突き当りにあるのが「唐門」で、日光東照宮の三猿を彫った左甚五郎の龍の彫刻は是非、見て頂きたい芸術品です。

唐門からは別途拝観料が必要ですが、是非、境内に入り重要文化財である「透塀」や、金箔11万枚を使用した「金色殿」を見学して頂きたいです。家康と藤堂高虎、そして天海僧正の祀られた煌びやかな社殿に驚きを隠すことはできないでしょう。

参拝が済んだらここだけしかないご利益を頂きましょう。
一つは「他抜絵馬」と「他抜守」。徳川家康の“タヌキ爺”に由来した絵馬とお守りで、“他人を抜く”意味から必勝、出世、受験のご利益があると云われています。
もう一つは「ぼたん守」で、ぼた苑が開園しているときにしか授与されない季節限定のお守りです。

家康と牡丹のご利益

写真:Naoyuki 金井

地図を見る

新しい年を綺麗な牡丹で迎えましょう

上野東照宮冬ぼたんは、毎年1月1日から開催されます。
初詣を兼ねて見学するのも良し、日にちをずらしてジックリ見学するのも良いでしょう。そして冬牡丹の癒しと家康のご利益で、新しい年を迎えてください。

【上野東照宮冬ぼたん2017】
日程:2017年1月1日(日・祝)〜2月26日(日)
時間:9:30〜16:30
場所:上野東照宮ぼたん苑
入苑料:大人(中学生以上)700円、小学生以下無料。
※「上野東照宮 冬ぼたん」開苑期間中は無休。
▼交通アクセス・最寄り駅
・JR「上野駅」徒歩5分
・京成線「京成上野駅」徒歩5分
・東京メトロ千代田線「根津駅」徒歩10分

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/16 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -