写真:菊池 模糊
地図を見る16世紀から17世紀にかけて、世界貿易で財をなしたオランダは黄金時代を迎え、文化・芸術に関しても最先端。特に17世紀にはレンブラントやフェルメールをはじめ多くの名匠を輩出しました。アムステルダム国立美術館はそうしたオランダ画家を中心に、5000点を超える多くのコレクションを有し、一日たっぷりと美の世界を楽しめます。
この美術館は、アムステルダム中央駅と同じP.J.H.カイペルスの設計になり、2013年には本格的改修を終えた、とても風格のある建物です。
写真:菊池 模糊
地図を見る入場すると、0階のグランドホールがあり、そこで入場券を買い、必要であればクロークにコートなどを預けます。グランドホール東側上部にはカフェがあり軽食メニューも用意されていますので、疲れたら休憩を取り、一日じっくりと美術館に滞在することができます。
写真:菊池 模糊
地図を見る見学コースとしては、有名作品は、すべて2階にまとめて展示されていますので、まず0階から中央階段を一気に2階まで登ります。階段の途中の踊り場にも重厚なステンドグラスがたくさんあります。2階の作品を満喫したら、その後ゆっくり1階、0階へと降りて、お好みの作品を鑑賞されるのが良いでしょう。
最後に0階グランドホール東側下部にあるミュージアムショップで、買い物をして良い思い出を作ってください。
写真:菊池 模糊
地図を見るまず0階から、中央階段を一気に2階まで登り、中央の名誉の間を見学します。ここにはフェルメールを中心とした17世紀のオランダ風俗画が多く展示されています。
フェルメールの作品としては『牛乳を注ぐ女』『手紙を読む青衣の女』『恋文』『デルフトの小路』があります。寡作だったフェルメールの有名作品を一挙に4つも見られるのです。存分にフェルメールの世界を満喫してください。
なんといっても必見は、フェルメールの最高傑作『牛乳を注ぐ女』です。勤勉に働く誠実そうな召使い女性が、完璧な構図と精緻な描写で描かれています。ありきたりな日常生活の描写でありながら圧倒的な存在感。絵画の教科書に登場する有名作品の実物を、間近で心ゆくまで鑑賞しましょう。
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地図を見るフェルメールの『デルフトの小路』は、たった2枚しかないフェルメールの風景画のひとつ。フェルメールの町デルフトは、1654年、火薬庫の大爆発により半分近くが壊滅しました。このためフェルメールは、古い街並みを残そうとこの絵を描いたようです。二分された画面はとても印象的です。
写真:菊池 模糊
地図を見るフェルメール以外にも、風俗画家の作品がたくさんあります。デ・ホーホ『配膳室にいる女と子供』、フランス・ハルス『陽気な酒飲み』、フランス・ファン・ミーリス 『手紙を書く女』そしてヤン・ステーン『楽しい家族』(写真参照)など。いずれも当時のオランダの家庭や酒場などの情景が生き生きと描かれています。またそれぞれの絵に隠された寓意を探るのも一興です。
当時のオランダは、世界に雄飛した商人たちが経済を主導し、その商人たちが家庭に飾ることのできる比較的小さな風俗画が流行したのです。
写真:菊池 模糊
地図を見るオランダ絵画を代表する巨匠レンブラントの作品は、オランダ絵画の黄金期を体現するものとして、数多く展示されています。中でも、名誉の間の突き当たりにある巨大な作品『夜警』は、アムステルダム国立美術館の華といえる傑作です。
この作品は、市民自警団が出動する様子を描いたもので、明暗法により主要な人物を浮き上がらせ、さらに集団肖像画でありながら動きの要素を取り入れることで肖像画にドラマチックな趣を加えました。実物を近くでじっくりみると非常に緻密に描かれていることが分かります。
写真:菊池 模糊
地図を見るレンブラント自画像作品の傑作のひとつ『聖パウロに扮した自画像』。懐へ差される短刀と神聖な書物という伝統的なアトリビュートで、パウロに扮していることが分かります。やや粗いタッチで描かれ、内向的な表情は画家の深い精神性を表現しています。
写真:菊池 模糊
地図を見る数あるレンブラント作品の中で特に魅力的なのは『ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)』です。これは作家晩年の代表作で、厳粛でありながら温かい詩情性を感じさせます。謎めいた雰囲気も漂わせることから『ユダヤの花嫁』と呼ばれてきた作品ですが、イサクと妻リベカを描いたもので、旧約聖書に題材をとっています。
その他、レンブラントの絵がずらり。『アムステルダム織物商組合の見本監察官たち』『エルサレムの崩壊を嘆くエレミア』『石橋のある風景』『マリア・トリップの肖像』など、ファン必見の作品が並んでいます。
写真:菊池 模糊
地図を見る2階には上記外にも多くの名画があります。例えばヴァン・ダイクの『王子ウィレム2世とメアリー・スチュアート』も有名な作品です。オランダ総督オラニエ家の王子と英国王女との結婚を記念して描かれたもの。盛装した少年と少女のカップルの姿が印象的です。ヴァン・ダイクは華麗な肖像画で定評あるフランドル出身の画家で、卓越した技法が見て取れます。
写真:菊池 模糊
地図を見る1階に降りると、18世紀から19世紀の美術品が展示されています。その中で最も注目すべきは、オランダ出身の天才画家ゴッホの絵です。
まず、『自画像』があり見逃せません。苦悩する自己の表情が見事に描出されています。さらに『カラフェとフルーツの盛られた皿』や『下生え』といったゴッホ作品があります。
写真:菊池 模糊
地図を見る1階には、ゴッホだけでなく、18世紀から19世紀の多くの美術品が展示されています。ロマン主義や歴史主義の絵画、オランダの海外進出の模様の展示があり、日本の出島の復元模型もあります。さらには、美術史本の蔵書を誇る図書室もありますので、興味のある方は、ゆっくり見学してください。
写真:菊池 模糊
地図を見る0階に降りると、16世紀以前のヨーロッパ絵画や東洋美術、陶磁器などスペシャルコレクションが展示されています。西南隅からは有名な『金剛力士像』のあるアジア館にも行けます。この階で特に貴重なのは、西北隅の一角に集められた宗教美術品です(写真参照)。
写真:菊池 模糊
地図を見る中でもフラ・アンジェリコの『聖母子』は小品ですが見事な逸品です。フラ・アンジェリコは、15世紀前半に活躍したの初期ルネサンス期を代表するイタリア人画家。その優れた筆から生み出された優しく穏やかな聖母子像は、素朴な雰囲気を漂わせ、見るものを幸せにしてくれます。
写真:菊池 模糊
地図を見る0階で最も印象的な絵は、クリヴェッリの『マグダラのマリア』です。クリヴェッリ(兄)は15世紀後半のイタリアで人気のあった画家で、日本ではあまり知られていませんが、この作品を見ると非常に驚かされます。ビザンティン美術風の流れを汲む精緻な豪華さと、まるでアールヌーヴォーと見紛う装飾的な画風は、華麗で品格もあり、とても美しいもの。その等身大の絵の前に立つと、時を忘れてしまいます。アムステルダム国立美術館で最後に見る美術作品としてふさわしいと言えるでしょう。
10年もの期間を費やしてリニューアルされたアムステルダム国立美術館は、市民のミュージアムでありその改装の経過は『みんなのアムステルダム国立美術館へ』というドキュメンタリー映画にまでなりました。この映画を見てから美術館に行くという手もあります。
この美術館は収蔵品が素晴らしく、カヴァーする美術の分野も幅広く見飽きることがありません。改装後はスッキリした構成になり、とても鑑賞しやすい展示となっています。さらに、年中無休で旅程が組みやすいのも利点で、アムステルダム観光の中心といえるでしょう。ゴッホ美術館やアムステルダム市立美術館もすぐ近くにありますので、徒歩圏内のホテルに泊まって、ゆっくりと美術三昧で過ごされてはいかがでしょうか?
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(2024/12/2更新)
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