写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る武雄温泉駅から佐世保駅へ向って順に説明しましょう。
「楼門」で名高い武雄温泉最寄駅の武雄温泉駅は旧長崎本線の駅として1895(明治28)年5月5日に開業以来1975(昭和50)年6月19日に名称が変更になるまで「武雄駅」と称していました。この武雄駅から早岐駅まで開通したのが1897年で、この間にはレンガ製の隧道や橋梁が作られ、現在も使用されています。
武雄温泉駅から次の永尾駅へ向かうと最初に登場するのが写真の松原湯第一橋梁です。円を直径の部分で二分した「半円アーチ」と呼ばれるタイプです。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見るJR佐世保線の特急電車佐世保駅行き「みどり13号&ハウステンボス13号」です。JR佐世保線には特急「みどり&ハウステンボス」が上下あわせて1時間に2本程度走っていますので、予め時間を時刻表(列車ダイヤがあればさらに正確ですが、少し待つ余裕があれば時刻表で十分でしょう)で調べておけば、写真のような列車通過のシーンも撮影できます。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る第一橋梁からさらに永尾側に架かる大規模なレンガ製アーチ橋です。「第二橋梁」という名は正式な名称ではなく(記録が取れていません)、第一の次という意味ですので御了承下さい。
道路と用水の両方を通す幅の広い橋で、第一橋梁同様に「半円アーチ」に分類されます。自動車の通行も少なく、幅も広く夏季は涼しいうえに安全なので、写真のように用水の上で地元の方がバーベキューを楽しんでいることも。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る武雄温泉駅から永尾駅に至る区間には「西谷峠」という難所があり、蒸気機関車が活躍した時代、列車は本務機に補機を付けて牽引していました。その中間にある巨大なアーチ橋がこの踊瀬国道橋梁で、長さ約7mあります。垂直にたつ橋脚の上に半円形のアーチが組み合わさった「半円アーチ」が特徴です。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る橋梁北側から橋梁に迫り、武雄温泉駅側の橋台をアップして撮影しました。レンガ造りのアーチ橋の美しさを間近で堪能できますよ。これまでの「半円アーチ」とは異なり、この橋梁は「欠円アーチ」と呼ばれるもので、半円の一部を切り欠き、高さの割に断面を広くとることができますので、幅の広い国道を跨ぐ本橋梁に向いた形状といえます。
自動車を利用する場合は、武雄側に向って橋梁を潜るとすぐ左に駐車スペースがあり短時間駐車することが可能です。ただし、ここも交通量が激しくしかもカーブになっているため見通しが利きにくいので撮影には十分注意する必要があります。美しいレンガ橋に見とれてばかりいると危険です。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る次は永尾駅からさらに西へ向かい長崎県へ。小森橋梁は三河内(みかわち)駅と早岐(はいき)駅との間にある小型の半円アーチ橋で、佐世保線の北側を走る国道35号線と南側を走る一般道とをつなぐ跨道をまたいでいます。自家用車で訪れる場合は国道の駐車スペースから徒歩で向かうのが便利ですが、国道は交通量が多いので横断には十分注意しましょう。写真は南側から撮影したものです。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見るこの写真は隧道内に入り、中から北方の国道35号線側を撮影したものです。御覧のように道幅も狭いうえに自動車の通行もなく高さも低いので肉眼でじっくりとその造形を観察することができます。
焼き物の里として有田、波佐見とともによく知られた三河内が近いので、ちょっと立ち寄るのもよろしいかと思います。
写真:飛騨屋 勘左衛門
地図を見る最後におまけとして美しいレンガ製アーチ形隧道を御紹介しましょう。
大村線の南風崎(はえのさき)駅とハウステンボス駅との間にある「南風崎隧道」。佐世保線の橋梁はすべて開通時の1897(明治30)年竣工ですが、この隧道は旧長崎本線として大村線が開通した翌1898(明治31)年に竣工したものです。
長さは183.6mで、西方へ抜けるとすぐにハウステンボス駅に到達します。写真にはハウステンボス駅に停車するキハ66系気動車(勿論佐世保行きです)が見えています。ハウステンボスは長崎県のパワースポットとして知られており、毎年多くの観光客が訪れています。来訪の折には、ついでにこの隧道を見学してみることをお勧めします。
なお、この写真は小島郷第1踏切から撮影したものです(線路内には入らないように御願い致します)。
今回は佐賀県武雄市の武雄温泉駅から長崎県佐世保市三河内町まで、JR佐世保線のレンガ製のアーチ橋を、さらにJR大村線のハウステンボス駅手前にあるレンガ製の南風崎隧道も最後に御紹介しました(ここだけは長崎県)。
武雄温泉・焼き物の街三河内・ハウステンボスという有名な観光スポットに近く、アプローチが容易な場所を選択しましたので皆様の御旅行のスケジュールの中に入れていただければ、より充実したものとなると思いますし、このような建造物に興味がある方は旅の主目的としても十分かなうでしょう。今回御紹介したのはほんの「氷山の一角」に過ぎません。佐世保線や大村線、長崎本線等には多くのレンガ橋や隧道がありますので、御自分で探索するのも面白いでしょう。
なおレンガ橋や隧道等の鉄道構造物については、講談社から刊行されている小野田滋氏(鉄道総合技術研究所)の「鉄道構造物を探る」が入門書としておすすめできます。関心のある方は是非御一読下さい。
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(2024/3/29更新)
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