写真:木村 岳人
地図を見る日光の杉並木は、家康の家臣である松平正綱(まつだいらまさつな)という人物によって植えられました。正綱が植樹を開始したのは寛永2年(1625年)、杉並木が完成したのは慶安元年(1648年)ですから、23年もの年月を費やしたという事になります。
杉並木が植えられたのは、日光へと至る三本の参詣道「日光街道」「日光例幣使街道」「会津西街道」のうち、東照宮の神領であった範囲です。かつては日光杉並木が存在するその全域が東照宮の領土だったというから驚きですね。
なお、その三本の参詣道は、かつての宿場町である今市で合流し、日光へと続いていきます。特に「日光街道」と「日光例幣使街道」の合流地点には、「追分地蔵尊」という大きなお地蔵さんが鎮座するお堂が建っており、非常に印象的。江戸時代から街道を行く人々を見守ってきた、由緒のあるお地蔵さんです。
写真:木村 岳人
地図を見るさて、その日光杉並木ですが、さすがに全区間を歩くにはちょっとムリがあります。現在は国道として使われている部分も多く、歩道が狭くて歩くには危険な箇所も存在するのです。
では、どこを歩くのが良いのでしょう。それはズバリ、今市から東照宮までの約8kmです。この区間は国道から外れている部分が多くて歩きやすく、また並木の保存状態もすこぶる良いので、歴史ある風情にどっぷり浸る事ができるのです。
JR日光線であれば「今市駅」、東武日光線ならば「下今市駅」で下車。国道119号線を日光方面に向かって歩いて行くと、すぐに並木が見えてきます。そこからスタート。
写真:木村 岳人
地図を見る今市から東照宮までの道のりのうち、前半は特に雰囲気の良い道が続きます。中でも野口と呼ばれる辺りは巨木が多い上に並木の密度も濃く、また地面に散らばる杉葉が歴史ある古道の雰囲気を演出してくれます。
まさに江戸時代の頃と同じ風景を共有できる、貴重な古道と言えるでしょう。いえ、むしろ現在の方が、杉の木が成長している分、より景観が良くなっているかもしれません。
いずれにせよ、江戸時代の人々もこの道を歩いて日光東照宮を目指したのだなぁと考えながら歩くと、なかなか感慨深いものがあります。
写真:木村 岳人
地図を見る日光杉並木街道には、様々ないわれのある名所や名木が存在します。
幕末の戊辰戦争において、大鳥圭介率いる旧幕府軍が日光に立て籠もった際、官軍が撃った砲弾が杉に当たった「砲弾打ち込み杉」や、杉並木で最も高いとされる「並木太郎」、明治天皇が東北巡幸の際に休まれた「明治天皇七里御小休所跡」など、今市から東照宮にかけての範囲に限定しても見どころは盛り沢山です。飽きずに東照宮まで歩く事ができるでしょう。
ただし、後半は歩道が狭い国道を歩く箇所もありますので、行き交う車にだけはご注意を。
写真:木村 岳人
地図を見る今市から休憩を取りながらゆっくり歩いて約3時間。延々続いていた杉並木は東武日光駅の辺りで途切れ、そこから東照宮までは門前町が続きます。大勢の観光客と共に門前町を歩き、そしてようやく日光杉並木街道の終着地である日光東照宮に到着です。
境内の入口に架かっている神橋の横には、「並木寄進碑」がありますので忘れずにチェックしましょう。これは日光杉並木の完成を記念して慶安元年(1648年)に立てられた記念碑で、杉並木の始点三ヶ所と終点の計四ヶ所に置かれています。
これらの並木寄進碑を含め、日光の杉並木は「日光杉並木街道 附 並木寄進碑」として国の特別史跡、および特別天然記念物に指定されています。このダブル指定は全国唯一の例でして、日光杉並木はまさにベストワンにしてオンリーワンの存在と言えるでしょう。
今回は今市から日光東照宮までのルートをご紹介しました。この場合、午前10時頃に今市駅を出れば、午後1時には日光に到着できます。門前町で昼食を取って休憩した後、日光山内をじっくり見学するのがオススメです。
もちろん、先に東照宮を見学した後、帰りに今市まで歩く逆のコースもアリでしょう。ただし、その場合はスケジュールと体力に十分な余裕を持っておきましょう。
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(2023/12/10更新)
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