写真:万葉 りえ
地図を見る遥か昔、紀元前の時代にインドで生まれ、木綿に茜(あかね)で文様を付けた布。それが更紗です。じつは木綿が世界に広まったのはかなり後の時代になってからで、人類は長い間麻や絹を主として纏(まと)っていたのです。
シルクロードを経てローマなどにも伝わってはいましたが、大航海時代をむかえてから更紗は世界中へと広がっていきました。フランスの太陽王・ルイ14世は壁をすべて更紗でおおった寝室を作ったほどで、ヨーロッパでのブームはすさまじかったようです。
木綿というこれまでになかった素材もさることながら、色があせないインドの更紗染めの技術も人々の羨望の的だったのです。
早くからインドの文化が伝わり、さらに蝋(ろう)を使うという独自の染色方法を進めていったのがインドネシアのジャワ更紗です。
写真:万葉 りえ
地図を見る現在でも、工房では染めない部分を蝋で緻密に描いていくという手作業が行われています。
ろうけつ染めの手法ではあるものの、色がたくさん使われ、柄も細かいものは、蝋で描いたり染めたりする工程を何度も繰り返します。ですから、出来上がるまでの時間は気が遠くなるようなもの。こちらでは染めない部分を茶色で描いていますが、根気のいる作業は見ているだけでため息が出てしまいます。
写真:万葉 りえ
地図を見る染めない部分を蝋で描いて模様を染め上げていくという手法のほかに、ハンコのように型押しで染めていくというバティックもあります。ポンポンと押していくだけだから簡単だろうと想像したら大間違い。まず、この柄の緻密さをご覧ください。この柄のつながりがわからないように合わせていくのです。
写真:万葉 りえ
地図を見る写っているのはこちらの工房で所蔵している版木のごく一部で、様々な文様の版木がそろっています。一つの版木は約20センチ四方。これを広い布に柄を合わせながら全面に染め上げていくのです。
しかも、上下左右に合わせるだけではないのです。写真をよく見てください。版木は鏡合わせのように二枚一組になっています。つまり、表側だけでなく裏側からも寸分たがわぬように型押しするという超高度な染めを行っているのです。
写真:万葉 りえ
地図を見るこちらは、染めた布から熱湯で蝋を落とす作業をしているところです。
防染のために使われた蝋は落とされたこの湯の中から集められ、繰り返し使われます。ですから、蝋というと白いイメージがあると思いますが、初めに蝋で描く様子を見ていただいた写真のようにかなり濃い色になっているのです。
写真:万葉 りえ
地図を見る木綿の布から蝋を落とすには先ほどの熱湯を使うという方法がとられるのですが、こちらの写真に写っているようなシルクの布はそうはいきません。
こちらはシルクのバティックから別色で染める部分の蝋だけを落としているところです。ガソリン類で一つ一つ手作業で落としていくという地道な作業。こういう作業が繰り返されて作品が出来上がっていくのを見ると、本物のジャワ更紗の貴重さがわかりますよね。
写真:万葉 りえ
地図を見る様々なバティック商品がそろった展示コーナーで価格をパッと見た時に、どこかの土産品店ではもっと安かったと思うことがあるかもしれません。しかし、ジャワ更紗・バティックとして売っていたとしても、そのほとんどは柄を似せて大量生産されたプリント品で本物ではありません。
素材がシルクだったり柄が緻密で色もたくさん使われていたりすると工程も多くなり高価になりがち。しかし、素材が木綿だったり色使いがシンプルなら価格はお手ごろになります。そんな製品もバテック工房にはたくさんあるので、本物のジャワ更紗がもつにじみやちょっとしたゆがみ等、その作品だけが持つ味わいを楽しんでくださいね。
製品の展示のコーナーでは、模様や色合い、そして価格などの希望を伝えてたくさんの中から店員の方に探してもらうこともできます。少しの差だったら希望価格に近づけてもらうのも旅の楽しみの一つですよね。それに、日本で購入する価格に比べたらその差はかなりのもの!
街自体も古い雰囲気が残っているので、時間に余裕があるなら散策しながら近くの工房をいくつか周ってみるのもお勧めです。
またジョグジャカルタ市内には、あのジャコウネコのコーヒーを試飲出来て生産地価格で購入できる工房もあります。下記関連MEMOも参考に旅の思い出をたくさん作ってきてください。
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(2024/4/18更新)
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