写真:もんT
地図を見る伯備線は、岡山県の倉敷駅から鳥取県の伯耆大山駅との間、138.4kmを結ぶ路線。かつては蒸気機関車D51が三重連で貨物列車を牽引するほどの険しい山岳路線でした。
路線の改良や電化を経て、今では山陽と山陰を結ぶ大動脈に。特急列車「やくも」号が、およそ1時間に1本運行され、岡山・米子間は2時間10分ほどで結ばれています。
この「やくも」号の車両は、1973年に登場した日本初の振り子式電車381系。エアコンなど重量のある機器類がすべて床下に収められ、その重心が振り子となって車体を傾けることで、曲線の多い区間でも高速走行します。
381系は長らく、中央本線や紀勢本線などのカーブの多い路線で活躍しましたが、新型車両の登場などにより、今や活躍の場はここ伯備線だけ…。日本の鉄道史上に残る名車の活躍をじっくり味わいましょう!
写真:もんT
地図を見る伯備線の線路は倉敷駅から山陽本線と分岐し、高梁川に沿って岡山県内を北上します。倉敷からの車窓ならば、進行方向左側がおススメ。高梁川と山里の風景がドラマチックに展開します。
高梁川が線路に迫ってくるのは、倉敷駅を出て程なく…。東京からの下りの寝台特急「サンライズ出雲」に乗車中であれば、ちょうど7時少し前の目覚める時間。美しい風景がさわやかな朝を演出します。高梁川の風景…、きっと忘れられない旅の一コマになるでしょう。
なお、「やくも」も「サンライズ出雲」も、車内販売のワゴンサービスがありません。お弁当などは、乗車前に買っておきましょう。
写真:もんT
地図を見る伯備線で随一の町歩きスポットは備中高梁(びっちゅうたかはし)。駅から歩ける範囲で、見どころ・名所がたくさんあります。岡山や倉敷からこの駅までは列車の本数も多く、特急もすべて停車することから、ふらっと途中下車するのにとても便利…。特急なら、岡山駅から約35分で到着です。
市内には美観地区を中心に、昔の町並みや佇まいが保存…。駅から徒歩15分ほどで行けるエリアなので、ちょっとの時間でも町歩きを楽しめます。高梁市観光協会のウェブサイトや、備中高梁駅で観光マップを入手して、町へ繰り出しましょう。
写真:もんT
地図を見る美観地区へ行く途中には、B級ご当地グルメ「インディアントマト焼きそば」が食べられるお店も!地元の食材も味わえます。
写真:もんT
地図を見るもちろん半日ほど、じっくりと時間をかけて、歴史・文化遺産を観光するのもおススメ。中でも注目したいのが映画や映像作品のロケ地。駅から歩ける範囲に、「男はつらいよ」「バッテリー」「県庁の星」といった映画作品のロケ地が点在します。また市街を見下ろす山上には、最近人気急上昇中の備中松山城が、ひっそりと威風を放っています。(写真中の山のてっぺんにあります。)
このお城、全国で現存する12の天守の一つ。戦国時代の山城の雰囲気を今にとどめているということで、注目の城です。2016年のNHKの大河ドラマ「真田丸」のオープニングの映像に出てきたのも、実は真田氏の本拠上田城ではなく、この備中松山城なんです!
備中松山城までは駅から徒歩だと1時間半ほど。8合目のふいご峠までは、タクシーやバスも利用できますが、天守閣まではそこから20分ほど歩きます。のんびりと戦国ロマンに浸っていきましょう。
写真:もんT
地図を見る伯備線らしい鉄道風景を撮りたい方は、備中高梁から先の備中川面(びっちゅうかわも)駅周辺がおススメ。備中高梁駅からは、普通列車で10分ほどです。
特に、駅の南東(倉敷寄り)にかかる鉄橋(第2高梁川橋梁)周辺が、沿線随一の撮影スポット。駅から歩いて15分ほどです。駅を出て左(東)へ進み、踏切のところで右折し、まっすぐ進みましょう。高梁川を渡る橋の上に出ると、山里ののどかな風景がよく見渡せます。道路の橋の上から、あるいは、河原から、お好みのアングルで写真が撮れるでしょう。
写真:もんT
地図を見るもう少し伯備線の鉄橋に近づいて、山を背景にアップで撮ることもできます。線路には近づきすぎないようにくれぐれもご注意を…。
写真:もんT
地図を見る備中川面の次、方谷(ほうこく)駅を過ぎると、高梁川の流れは右に左に…と移り、いっそう山深く…。伯備線のほぼ中間地点の新見駅から北は、さらに狭隘な区間を列車は走ります。
山間を走る鉄道風景をのんびりと撮りたいのであれば、新見駅から普通列車で約8分の備中神代(びっちゅうこうじろ)駅でぜひ途中下車!駅を出て左(北)へ進み10分ほど、中国自動車道の高架をくぐったあたりで、写真のような風景が撮れます。
写真:もんT
地図を見るさらにその先15分ほど、国道から県道が分岐する信号あたりからは、写真のように、山間の箱庭のような鉄道風景が撮れるでしょう。
線路は、上石見(かみいわみ)駅の手前で県境を越え、鳥取県へ…。そこからは石見川、そして日野川の流れに沿って米子へと下っていきます。自然の地形に逆らわず、川の流れに沿っての伯備線の旅、特急「やくも」でも各駅停車でも、思い思いに楽しめます。
車窓からの風景も、列車が走りゆく風景も…、どちらもすばらしいです。
陰陽連絡の大動脈である伯備線。1928年に全通した当時の線路に改良を加えて、山越え路線でも高速化を達成…。日本が世界に誇る鉄道技術の粋がここに結集しているとも言えるでしょう。
それでも、沿線には昔と変わらぬ美しい風景が、まだまだたくさん残存…。ちょっと懐かしいノスタルジックな気分にも浸れます。通り過ぎるだけではもったいない…。ぜひ、途中下車もしながら、伯備線の鉄道の旅を楽しんでください。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2025/2/7更新)
- 広告 -