写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル彫刻美術館があるのは、三重県津市。特急電車も停まる近鉄・榊原温泉駅のすぐ近くですが、山に囲まれた田舎町と言って差し支えない場所です。そこに突然現れるのが、パリのルーブル美術館を代表する作品であるミロのヴィーナスとサモトラケのニケの巨大なオブジェ。さらに、なぜか自由の女神まで立っています。温泉、入浴、ニューヨーク…?
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル彫刻美術館の入口側でも、ミロのヴィーナスとサモトラケのニケ、自由の女神が出迎えてくれます。
そして、美術館の建物はルーブル・ピラミッドの形。ルーブル・ピラミッドはパリ・ルーブル美術館の中庭にあり、美術館のメイン・エントランスでもあります。古典的な宮殿の前の近代的なピラミッドは賛否両論ですが、映画化もされた小説「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台にもなりました。
と、ここで気になるのがルーブル彫刻美術館が1987年にオープンしていること。ルーブル・ピラミッドの完成は1989年なのです。1989年以降にわざわざ改築したと考えるのが自然ですが、実は開館当初からこの形。
・ルーブル・ピラミッドの建設決定
・ルーブル彫刻美術館の建設決定
・ルーブル彫刻美術館の完成
・ルーブル・ピラミッドの完成
という順序になったため、なんと本家よりも先にルーブル・ピラミッドができてしまったというわけなのです。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル彫刻美術館に向かって右側には、スフィンクスと古代エジプト女性の彫像。その後方には、隣接する宝珠山大観音寺のカエルたちのオーケストラが!大観音寺には33mの純金観音像やカラオケ観音像などがあり、ルーブル彫刻美術館と同じくらい興味深いスポットです。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル彫刻美術館には1,300点もの彫刻作品が展示されていますが、なんと実物から直接型を取ってつくられた復刻作品。現館長・竹川規清氏の父である竹川勇次郎氏が、日本人にもルーブル美術館の雰囲気を味わってもらいたいと尽力して実現した美術館です。
そして、ルーブル彫刻美術館に一歩入ると、まず目に飛び込んでくるのはツタンカーメンの黄金のマスク。非常に有名な美術品ですが、ルーブル美術館のイメージはありませんね。それもそのはず、ツタンカーメンの黄金のマスクはエジプトのカイロ美術館所蔵。
実はこのルーブル彫刻美術館、フランス博物館協会を通じてルーブル美術館だけでなくカイロ博物館、大英博物館、メトロポリタン美術館など世界の名だたる美術館の作品を複製、展示しているのです。
※ツタンカーメンのみ国内での制作、その他の復刻作品は海外で制作されています。
ちなみに、真後ろにある千手千眼観音はオリジナル。本当に1,000本の手を持つ千手千眼観音は、日本ではわずか3体しかありません。左後方に見えるのは富山県にある「絵筆塔」の復刻作品で、藤子・F・不二雄氏をはじめ、漫画家154名が描いたカッパの絵のレリーフが貼り付けられた貴重な塔です。そして気になる自由の女神は、ニューヨークではなくパリ・リュクサンブール公園にある自由の女神。ニューヨークの自由の女神は、フランスから贈られたものなので、オリジナルの復刻作品とも言えます。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル美術館以外の有名美術館の作品も展示されているので、「いろんな美術館の聖母像を一気に鑑賞できる」というような不思議な体験もできてしまいます。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るいろんな美術館の作品が展示されているとは言え、やはりルーブル美術館の作品が中心。美術館前に巨大オブジェのあるサモトラケのニケはエントランス付近で、ミロのヴィーナスはその右奥に実物大で展示されています。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るあのハムラビ法典も、もちろん実物大。復刻作品とは言え、その精巧さは見応えがあります。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るモノクロの彫刻だけでなく、「ペルシャ王親衛隊の射手」のようなカラー作品もあります。その前に、ロダン美術館の「考える人」があるところがルーブル彫刻美術館ならではですね。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るルーブル彫刻美術館には、大英博物館所蔵のロゼッタストーンの復刻作品もあります。大英博物館に行ったことがある方はわかるかもしれませんが、本物はケースに入って展示されているので至近距離で見ることはできません。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見るしかしこちらでは、傷のひとつひとつまで正確に再現された復刻作品を至近距離で鑑賞することができます。大英博物館で「もっと近くで見たい!」と感じた方は、かなり嬉しいはずです。
写真:一番ヶ瀬 絵梨子
地図を見る三重県の温泉郷にある、世界各国の有名作品の復刻作品と千手観音や絵筆塔が一緒に展示されている美術館。入口の巨大オブジェやカエルのオーケストラ。ルーブル彫刻美術館には、いわゆる「B級スポット」の臭いが濃く漂っていますし、実際にそれを否定することはできません。
でもここは、それだけの場所ではありません。
創立者・竹川勇次郎氏の「日本人にもルーブル作品に触れてもらいたい」(※)という想いについては先述しましたが、本物に傷をつけるリスクのある方法での復刻作品作成、しかも美術館開設が簡単に許可されるはずがありません。
勇次郎氏は姉妹館開設のために繰り返し渡仏。「日本の宗教家が非営利目的で建てるのであれば」と、ついに17回目にして許可を得ることになるのです。
美術館(建物)の建設費は10億円とのことですが、作品の制作にあたってのライセンス料や製作費は非公開。想像を絶する額であることが推定されますが、私財を投じて設立されました。
ルーブル彫刻美術館は、そんな超A級の理想と理念を持つ美術館でもあるのです。
※勇次郎氏が初めてルーブル美術館を訪れたときのは1ドル360円の固定相場制で、一般庶民が海外旅行できる時代ではありませんでした。
崇高なB級スポット、ルーブル彫刻美術館。「なぜ大阪や名古屋でなくここに?」と思われるかもしれませんが、それは都会に建てると混雑して慌ただしくなってしまうからなのだそう。
また、あの巨大オブジェも、近鉄電車に乗っている方に目を留めてもらうためにあえて強行したのだとか。田舎町に三角屋根の建物があるだけでは、パチンコ屋さんかなにかだと思って見逃されてしまうと判断されてのことです。
なぜか三重県にある、あのルーブル美術館の姉妹館。フランス・ランスに分館はありますが、姉妹館は世界唯一です。意外と本気で楽しめるルーブル彫刻美術館へ、ぜひ一度!
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(2024/12/14更新)
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