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地図を見る世界遺産・下鴨神社は京都三大祭の一つ、葵祭が行われることでも知られています。その起源は古墳時代にまでさかのぼるという葵祭は由緒正しき勅祭(天皇の使者・勅使が派遣されて執行される神社の祭祀)なのです。
毎年5月15日には総勢500名を超える大行列が京都御所を出発し、下鴨神社を経由して上賀茂神社へと向かう壮大な平安絵巻が繰り広げられます。
そんな葵祭には今は途絶えてしまった、名物とされる和菓子があったとされています。明治になり神社の祭礼が法令で制度化。その反面庶民に伝わってきた習慣は廃止される運命となり、その名物も姿を消してしまったのです。
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地図を見る2011年5月15日、つまり葵祭の祭礼がおこなわれる日、下鴨神社の楼門手前に「さるや」という名の小さな茶店がオープンしました。広大な境内を誇る下鴨神社にとってはありそうでなかった初の茶店でもあったのです。この「さるや」こそ、葵祭の名物を復活させた茶店でもあるのです。
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地図を見る「さるや」はその名の通り「申餅(さるもち)」が名物!実はこの「申餅」が140年という時を超えて復活したという葵祭の名物なのです。
葵祭の申の日に食べ、無事息災を願ったことからその名がついたという「申餅」は江戸時代まで下鴨神社の名物として広く庶民に知られていたもの。これを復活させたのは氏子でもある近所の和菓子店「宝泉堂」です。下鴨神社の宮司代々に口伝で継承されてきた「申餅」の味と製法。それを頼りに見事に申餅を再現したのです。
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地図を見る丹波産の小豆と餅米を使い、小豆のゆで汁でついたという申餅は由緒ある伝統色である「はねず色」と呼ばれる色をしています。明け方の一瞬、空が薄あかね色に染まる際の色を「はねず色」と呼び、命の生まれる瞬間を表すという色なのです。
餅の中身には小豆の粒が形を残し、上品な甘さを醸し出しています。そして優しさを感じる程の柔らかさは老若男女問わず食べやすく、素朴ながらも名物の名に恥じない一品です。そして一緒に出される京都らしいほうじ茶が「申餅」を上手く引き立てています。
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地図を見る今でいうなら旅行雑誌かグルメ雑誌的な存在でありましょうか、江戸時代の文献「出来斎京土産」に当時の下鴨神社の様子が描かれています。
申餅を頼むと付いてくる説明書きにもその絵が描かれていますので目を凝らして見てみましょう。そこには確かに「さるや」と書かれた暖簾の店主が申餅であろう餅をこねている姿が。その横にはみたらし団子を売る様子も描かれています。そう、発祥の地でもあり、下鴨神社の名物でもあるみたらし団子と同じ並びで「申餅」が紹介されていたのです。
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地図を見るそんな「さるや」にかかっているのれんにはお猿さんが。このお猿さんも、あえて新しさを抑えた、古びたようなデザインにされています。
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地図を見る京都御所から鬼門の方角に並ぶ神社には猿が魔除けとして置かれている所がいくつかあります。店内をよく見てみると、鬼門の方角にお猿さんの人形が置かれています。こんな小さな演出もちょっと注目してみてください。
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地図を見る「さるや」では「申餅」以外の甘味も充実しています。季節限定のメニューも用意されており、どれにしようか迷ってしまうほど!
そんな中おすすめしたいのは、縁結びのパワースポットとしても名高い下鴨神社・相生社にちなんだ甘味「良縁ぜんざい」です。最高級の丹波大納言小豆を炊き上げたぜんざいには、縁起のいい紅白餅が入っています。
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地図を見るそして、嬉しいのは相生社でご祈祷済みという縁結びの鈴がオマケでついていること。ぜひ、相生社の参拝後にいただきたい「良縁ぜんざい」ですね。
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地図を見る「申餅」にはお持ち帰り用のお土産も用意されています。お気に召したのならば、ぜひご自宅でもご賞味を。ただし、賞味期間が2日しかないので人に渡すのにはちょっと不向き。お取り寄せもできませんのでレア度も高い「申餅」なのです。
伝統を伝えるということも大事ですが、途絶えてしまったものを甦らせるということもまた大事。京都では近年、祇園祭で50年ぶりに後祭が復活したり、150年ぶりに大船鉾が復活するなど、過去に途絶えてしまったものを再現に意欲的。それもまた、歴史と伝統を重んじる京都ならではの取り組みの一つなのです。
そして下鴨神社が並々ならぬ思いで140年という長い歴史から復活させた名物の「申餅」。下鴨神社参拝の際には立ち寄って食してみてはいかがでしょうか?営業時間は10:00〜16:30で年中無休です。
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(2024/4/19更新)
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