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写真:いずみ ゆか
地図を見る奈良県大和郡山市は豊臣秀吉の異父弟で名参謀として豊臣政権の片腕を担った「豊臣秀長」が郡山城主として発展させた城下町です。
なんと秀長は大和・紀伊・和泉の3ケ国を治める100万石の太守であり、その中心地として郡山城を拡大させました。
100万石と言えば加賀100万石が有名ですが、実はそれ以前に奈良県に100万石の城下町が存在していたのです!!この郡山の城下町は金魚の町としても有名ですが、実は他にも様々な魅力を持った町なので、その魅力をお伝えします!
近鉄郡山駅を降りると目の前に昭和初期の雰囲気をそのまま残したレトロで可愛い商店街があります。その商店街を歩くこと約10分。
『源九郎稲荷神社』の門前町であり、「奈良三大遊郭」の一つでもある「洞泉寺町」に辿り着きます。(あとの二つは奈良市木辻町、大和郡山市東岡町です)
この「洞泉寺町」は、昭和33年の売春防止法施行まで実際に花街として賑わっていました。
現在では『源九郎稲荷神社』の参道横や周辺に建つ古い木造3階建ての遊郭建築が当時の面影を残しており、艶っぽい風情があります。
この古い遊郭建築の2階と3階部分で実際に遊女達が色を売っていたそうで、特に3階はご常連やお金持ちなどの上顧客用に使われていた様です。2階から3階へ通じる階段は上顧客用にわざわざ他の階段より幅が広くなっているそうです。
現在、「城下町再発見プロジェクト」という大和郡山市のボランティア団体によって旧川本邸という洞泉寺町の遊郭建築が保存活用されており、注目されています!
ただ残念な事にこの旧川本邸はイベント開催期間以外は一般の見学は出来ません。但し6名以上の団体に限り、事前の申し込みで見学出来ます。
(条件として見学後、旧川本家の今後の活用を考えて、必ずアンケートの記入をしなければならないそうです。 詳しくは、大和郡山市地域振興課「tel:0743-53-1151(代表)」にお問い合わせ下さい。)
写真:いずみ ゆか
地図を見る遊郭建築の残る参道を抜けると小さく可愛らしい雰囲気のお稲荷さんが現れます。小さい神社ですが古くは「日本三大稲荷」の一つとも言われていたそうです。(現在日本三大稲荷と言えば伏見稲荷大社 ・豊川稲荷神社 ・最上稲荷神社が一般的ですが他にも笠間稲荷神社や祐徳稲荷神社など諸説あります)
『源九郎稲荷神社』の社名は牛若丸でお馴染みの源九郎判官義経(みなもとくろうはんがんよしつね)に関係しています。義経が兄の源頼朝に追われ、吉野山まで逃げた際、愛妾静御前が吉野に居る義経の元へ訪れようとします。その静御前を義経の忠臣と名高い佐藤忠信(実在の人物で佐藤兄弟の弟)に化けた白狐(忠信狐)が、吉野への道中を守り通しました。実は義経が静御前に与えた「初音の鼓」がその昔、白狐の親の皮で出来たものだったので、皮になっても親を恋い慕っていたため静御前に付き従い守ったのです。その親を恋しく思う心を知った義経は、白狐の忠義に感服し、鼓と自分の名を与えて『源九郎狐』と名乗ることを許したそうです。(忠臣狐伝説)
歌舞伎や浄瑠璃の『義経千本桜』は江戸期の延享4年(1747年)に初演され、全部で5段構成になっています。内容は源平合戦後の源義経の都落ちと、実は生き延びていた平家の武将達と巻き込まれた者達の悲劇を描いており、上記の「忠臣狐伝説」の話は4段の中の「川連法眼館の段」の内容とほぼ同じです。(※歌舞伎では全段を通して上演される機会は少なく、人気のある場面が独立して上演される事が多いため、四段目の切「河連法眼館の段」だけを上演する際は『四ノ切』と呼びます。)
源義経から名前を頂いた白狐の『源九郎狐』がお使いとして御祭神の稲荷神(「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」「保食神(うけもちのかみ)」)を護っているのでこのお稲荷さんは地元の人々から『源九郎さん』と呼ばれ親しまれています。
実際にお参りすると、ご神体の横に白い陶器製の美しい白狐を見る事が出来ますよ!
また社務所では白狐の目に目玉を書き入れて裏に願い事を書く「白狐絵馬」や一つ一つ手作りの縁起物「源九郎白狐人形」などが販売されており、至る所に白狐がいっぱいでとても可愛い雰囲気です!!(各500円)
実は『義経千本桜』は源義経が実際の主人公ではありません。実際は「平知盛」「いがみの権太」「源九郎狐(=佐藤忠信)」の3人が中心に物語進行します。この中心人物の一人である白狐『源九郎狐』が使いのお稲荷さんである由縁から『源九郎稲荷神社』に時折、歌舞伎関係者の方々が参拝に来られるそうです。
三代目市川猿之助さん(九代目市川中車である香川照之さんの父で二代目 市川猿翁さん)や六代目中村勘九郎さんが過去に参拝されています。
(二代目市川猿翁さんは1968年(昭和43年)に『義経千本桜』の「四ノ切」で「源九郎狐」を演じ、歌舞伎で初めて「宙乗り」を披露したというご縁があります。)
境内には春になると六代目中村勘九郎さんご本人が植樹された枝垂れ桜や襲名記念に植樹した枝垂れ梅の美しい姿を見る事が出来ます。
写真:いずみ ゆか
地図を見る実は大和郡山市は源義経とは何も所縁が無い・・・のだそうです。全国には義経が奥州へ逃げる際に立ち寄った場所が多くありますが、大和郡山市は立ち寄った場所でもありません。
なぜここに『源九郎稲荷神社』があるのでしょうか?
元々『源九郎稲荷神社』は郡山城内にありました。白い翁の姿をした「源九郎狐」が、長安寺村の僧の宝譽上人の夢枕に立ち、郡山城に自分を祀ってくれたら城の守護神になろうと告げました。その夢を宝譽上人は城主の豊臣秀長に伝え、元々、吉野にあった(源九郎狐が使いの)稲荷神社を郡山城内の竜雲郭に移したという伝承があるそうです。現在の「洞泉寺町」には江戸時代(享保4年)に遷座されました。
江戸時代、稲荷信仰は庶民の間で爆発的な人気を誇りました。特に遊女が梅毒などの予防・治癒を願って(当時は死に至る病でした)信仰したので、遊郭や廓の近くにお稲荷さんは多いのです。現在『源九郎稲荷神社』がある「洞泉寺町」も花街なのでその関係があるのかもしれません。
また狐は古代「来つ寝」とも書かれ「浮かれ女」=「遊女」を意味していたという説があります。稲荷は「鋳成り」(=鋳物の意味)とも言い、古代の産鉄・製鉄に関係していると言われています。稲荷信仰は山を御神体(=稲荷山)として信仰した事が発祥らしいのですが、その山が産鉄や製鉄に関係しており、一説では製鉄に関係した一部の民は大和政権にその地を奪われ、女性は「浮かれ女=遊女」となって生計を立てた・・そうです。
そんな豆知識を持って、花街「洞泉寺町」と『源九郎稲荷神社』見てみると遊女の悲哀を感じ、違った目線で観光出来ます!
豊臣氏は稲荷神社を信仰していた様です。豊臣秀吉自身が身分の低い出だったので庶民に人気のあったお稲荷さんに親しみがあったのかもしれません。
郡山城主の豊臣秀長が治めた和泉・紀伊の地には鉄砲で有名な堺と根来があります。秀吉が最初に城持ち大名になった滋賀県長浜市には同じく鉄砲の産地で有名な国友があります。鉄砲は製鉄技術が必要です。稲荷が『鋳成り』で製鉄に関係するなら、豊臣氏と稲荷信仰、そして鉄砲(製鉄)の関係は何を意味しているのだろう?などと考えながら、郡山の城下町と『源九郎稲荷神社』を散策してみてはいかがでしょう?あなただけの新しい発見があるかも!?
写真:いずみ ゆか
地図を見る『源九郎稲荷神社』を訪れたら、一番のお勧めは社務所を訪ねる事です!そこには神社を守る素敵な語り部がいらっしゃいます。(注・・ご不在の場合もあります)
実はこの神社は度重なる御不幸があり、3年前から宮司さんが居ません。そのため一時、神社を管理される方が不在でかなり荒廃してしまったのだそうです。それを見かねた洞泉寺町の「白狐おどり保存会」会長である中川さんと奥様や地元の方々が力を合わせ、見事美しい神社に再興しました!
そうです。社務所の素敵な語り部とは中川さんの事なのです!
中川さんは神社に参拝に来られる方々に『源九郎稲荷神社』の歴史や歌舞伎俳優の方々との繋がり、源九郎狐の事、郡山の城下町のお話などを深い見識でお話して下さいます。このお話がまたとっても面白い!是非、訪れたら中川さんのお話を聞いてみて下さい。
訪れると分かりますが、『源九郎稲荷神社』は他の神社と違い、季節によって異なる美しい花々が溢れています。そして何と言っても本当に綺麗に手入れが行き届いており、美しい境内です。色々な神社を訪れましたが、経歴も境内も他とは一味違います!
『源九郎稲荷神社』と中川さんはBS朝日のピエール瀧さんでお馴染み『城下町へ行こう』で取り上げられました。
中川さんご夫妻や地元の方々の熱い思いが神社を守っています!
文化財は地元の愛が無いと保存出来ないのだと分かりますよ。個性的な神社を是非、見てみて下さい。ポイントは社務所です!
写真:いずみ ゆか
地図を見る洞泉寺町の街並みや『源九郎稲荷神社』を散策した後は、ほっこり可愛い豆パン屋さんで一息つくのがお勧めです。源九郎稲荷神社の参道入口から徒歩5分くらい更に商店街を進むと、左手に『豆パン屋アポロ』というパン屋さんがあります。
本当に小さく可愛いらしいパン屋さんなので見過ごさないように気を付けて下さいね!
その名の通り様々な種類の豆を使い、手軽に豆を食べられるようにしたパンが沢山あります。また地元奈良の野菜や果物・国産小麦を使用した安全・安心の手造りパンです。
店内は店主のご夫婦の穏やかな雰囲気も相まって、本当にの〜んびりゆったり。小さなお庭と小ぢんまりとした「豆パン喫茶」というイートインスペースもあり、ランチやカフェが楽しめますよ!
ちょっと嬉しいのは、お客様が小さなお子様連れの方が多いのです。「豆パン喫茶」のドリンクメニューにもお子様用ドリンクメニューがあり、店内の本棚には色々な国の旅の本と一緒に絵本も置いてあります。
小さなお子様が一緒だとなかなかカフェでまったりは難しいっとお悩みのママさん!是非、『豆パン屋アポロ』で美味しいパンと紅茶やチャイを頂いて(お子様はカルピスやジュースで)お子様と日常を忘れての〜んびりしてみませんか?
ちなみに個人的なお勧めは「あんぱん」と「ひよこ豆のカレーパン」です。どちらもビックリするくらい具がたっぷり詰まっていて美味しいです!
お土産には1回に12個しか焼けないというココアとプレーン生地のクッキー、その名も愉快な『土偶焼』なんていかがでしょうか?(1個105円です)貰った人もクスッと笑えてほっこり気分になりますよ!
100万石の城下町、大和郡山市の艶っぽい花街と地元の愛が溢れた個性的なお稲荷さん、そして子供も一緒にランチ出来る可愛い豆パン屋さんはいかがでしたでしょうか?郡山の城下町は古き良き時代のレトロなお店が一杯で町全体がゆったりとした雰囲気があり、ゆっくり時間を掛けて散策を楽しめる町です。
『源九郎稲荷神社』は初詣に訪れても良し!
また4月の第一日曜日に白狐面をつけた子供行列が練り歩く『源九郎稲荷春季大祭』が行われるので、境内の美しい花々や六代目中村勘九郎さん縁の枝垂れ梅・桜も見ごろになる春に訪ねるのもお勧めです!
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