写真:陽月 よつか
地図を見る神戸・北野異人館の一つ『山手八番館』は旧サンセン邸とも呼ばれる、明治時代後期に建てられた西洋式住宅。英国テューダー様式のお邸は瀟洒で可愛らしく、まるでキャンディ・キャンディの世界のよう! けれどこのお邸が注目を集めているのは、その可愛さのためだけではありません。
このお邸が全国から人を集めている理由、それがこのお邸にある『サターンの椅子』。座ると願い事の叶う椅子と伝えられ、パワフル・パワースポットとして有名なのです。
特に数年前に日本テレビ系列『ザ!世界仰天ニュース』で取り上げられて以来大人気、一時期は椅子に座るためになんと2時間待ちの行列ができたほどでした。現在は賑わいも落ち着き、休日には列ができることもありますが、平日にはほとんど待たずに座ることができます。そしてもちろん、そのパワフルさは今も健在と言われています。
写真:陽月 よつか
地図を見るこちらが願いの叶う『サターンの椅子(サタンの椅子)』。2脚あり、向かって左側(青みのカーテン)が男性用、向かって右側(赤みのカーテン)が女性用です。
サターンって悪魔の椅子ってこと? いえいえ、こちらのサターンはローマ神話のサートゥルヌス神のこと。サターンは英語読みの名で、農耕の神で土星の守護神でもあり、ギリシャ神話のクロノスと同一視されている神様です。その豊穣をもたらす神の名にちなみ、「願いごとが実り叶う椅子」と伝えられています。
その願いの成就率は口コミで評判を呼んでおり、例えば希望の職につけた、恋人ができて結婚した、病気が治った、宝くじに当たった、試験に通ったなどなど。しかもそれが、一・二週間のうちになど早々に叶ったという人もいるらしい! 月1ペースでコンスタントに椅子に座るために館を訪れていた人もいるほどです。もちろん「必ず叶う!」という訳ではありませんが、その成就率の高さは単なるおまじないの域を超えていると人気なのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るこちらが女性用の椅子。猫脚や肘かけ下の少年像、背もたれにもぎっしりと精巧に彫刻が施されていて、美術館以外ではなかなか見かけないような豪華さです。座るとふんわりとして座り心地よく、背が低めの女性だとちょっと足が浮くほどの高さ。
なお椅子の隣の棚には、彫刻があるため荷物を置かないように注意書きがあります。膝の上か床に置くようにしてくださいね。
写真:陽月 よつか
地図を見るこちらが男性用です。女性用と比べると背もたれ両脇のバストアップ人物像などに少々の違いがありますが、大きさなどは同じ。全体的に女性用より、色味が少しだけ落ち着いていて厳かな雰囲気があります。
ちなみに女性用に比べて、男性用は待たずに座れる場合が殆どです。
写真:陽月 よつか
地図を見る椅子に叶えてもらいたい願いを伝えるには、座って祈るだけで良いと言われています。あとは何をどんな風にでもOK。椅子に長蛇の列ができていた頃にはお願いごとは3つまでと言われていましたが、現在ではお願いごとの数は無制限です。そして座る回数も、入館中なら何度でも! 心ゆくまでしっかりお願いしてくださいね。
写真:陽月 よつか
地図を見るサターンの椅子が有名な山手八番館ですが、その他にも見どころがあります。というより、全部ひっくるめてのパワースポットと言って良いかもしれません。サターンの椅子の部屋にはロダン・ルノアール・レンブラント・デューラー・ベルナールなど巨匠作品がゴロゴロ盛りだくさん、そしてその他の部屋もまたすごい!
写真はピカソも大いに影響を受けたと言われる東アフリカ『マコンデ族の彫刻』。聖なる意味を持つ木彫りの彫刻です。目が離せなくなるような力強さ、感情を生のまま形にしたような素晴らしいアートです。
しかし、これとサターンの椅子を同じ家に飾る人の趣味って一体? テイスト違いすぎなのでは…? とつい頭にハテナが浮かぶ人は少なくないかもしれません。
写真:陽月 よつか
地図を見るテイストは更に変わり、2階では優しいお姿の仏さま方がお出迎え下さいます。仏像は大きく分けてタイのものとガンダーラのもの。写真はタイの仏像で、ガラスに隔てられることもなく気軽に座っておいでですが、実はタイのアユタヤ王朝が東南アジア最大勢力だった時代の方々。美術的にも仏教史的にハイグレードな仏さまたちです。
写真:陽月 よつか
地図を見るステンドグラスの美しさも必見です。写真は入り口隣の窓のもの。また建物入り口の上部にも美しいステンドグラスが並びます。そこから太陽の光が差し込む時刻は季節にもよりますが、概ねは夕暮れ少し前の頃。溜息ものの光景が待っています。
もしやこの舘の持ち主は、美術品に対して「いかに訴えかけてくるものがあるか」を求めた人だったのかもしれません。一見系統がバラバラなこのお邸の美術品たちは、同じ空間に居れば居るほどクセになるような神秘的な強さを感じられるものばかり。それらに囲まれているからこそ、サターンの椅子もこれほどパワフルに願いが叶うと言われ続けているのかもしれませんね。
写真:陽月 よつか
地図を見るそしてお帰りの前には、受付でサターンの椅子キーホルダーをチェックするのをお忘れなく。山手八番館にはお土産売り場がないため、購入できるグッズはこちらだけとなります。(異人館全体でのお土産はうろこの家ミュージアムなどで購入できます)
ミニチュアとは言えキーホルダー自体には不思議な力があるわけではありませんが、細かく彫り込まれた金色のきれいな椅子はお土産にもおすすめ。そしてお願いごとを一つでも叶えてもらったら、きっと自分用にも欲しくなりますよ。
山手八番館の『サターンの椅子』、いかがでしたでしょうか?
行きたい!と思われた方へ一つご注意を。お邸は急な坂道の上にあるので、ぜひスニーカーや歩きやすい靴をおすすめします。車では近くまで行けないため、どうしても歩くことになるのです。その代わり坂の上から見下ろす神戸の港や街並みはとっても美しく、足を止めてつい見入ってしまうほどですよ。
どうぞあなたのお願いごとが叶いますように!
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この記事を書いたナビゲーター
陽月 よつか
奈良・神戸・沖縄を中心とした全国の旅情報を、ちょっとオタクなノリからご紹介しています。ご紹介場所は主に、神社仏閣、パワースポット、伝統文化や歴史スポット。それに温泉とご当地グルメ。鉄道や駅、ホテルや旅…
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