古代史の謎に迫る!奈良県・藤ノ木古墳と斑鳩文化財センター

古代史の謎に迫る!奈良県・藤ノ木古墳と斑鳩文化財センター

更新日:2019/11/01 12:42

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳といえば、現在、国宝に指定されている数々の埋葬品が出土した古墳として、その名を知る人も多いでしょう。しかし、その藤ノ木古墳が、どのような形で現存しているかをご存知の方は少ないはず。今回は古代史ブームの一翼を担った藤ノ木古墳とその関連施設である斑鳩文化財センターを紹介し、古代史の謎に迫ってみましょう。

世界遺産・法隆寺から徒歩10分!その西方に位置する藤ノ木古墳

世界遺産・法隆寺から徒歩10分!その西方に位置する藤ノ木古墳

写真:乾口 達司

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金銅製の馬具や装身具類、刀剣類など、現在は国宝に指定されているきらびやかな副葬品が多数出土したことで全国的に知られる藤ノ木古墳(ふじのきこふん)は、奈良県斑鳩町にある古墳。現在は所在地の字名をとって「藤ノ木古墳」と呼ばれていますが、古文書類では「ミササキ」あるいは「陵山」と呼ばれており、藤ノ木古墳が天皇あるいは皇族クラスの人物を埋葬した陵墓であると見なされていたことがうかがえます。事実、研究者のあいだでは石室内に置かれていた石棺のなかに眠っている2人の被葬者として、蘇我馬子に暗殺された穴穂部皇子(あなほべのみこ)や宣化天皇の皇子とされる宅部皇子(やかべのみこ)、崇峻天皇といった人物が推定されています。

藤ノ木古墳の魅力は、その所在地が、世界遺産・法隆寺から徒歩圏内にあるという点が挙げられます。法隆寺から西方へ徒歩約10分。西里と呼ばれる昔ながらの集落を歩いていくと、やがて写真の看板に突き当たります。ここが藤ノ木古墳の入り口。法隆寺を訪れたら、藤ノ木古墳もあわせて訪れましょう。

知ってました?石室内の様子

知ってました?石室内の様子

写真:乾口 達司

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発掘調査の結果、藤ノ木古墳は直径50メートルを超える大型の円墳で、その築造年代はまもなく7世紀に入ろうかとする6世紀後半から末期にかけてと考えられています。以前は墳丘に樹木も生い茂っていましたが、近年の整備により、ご覧のように、古墳の形がはっきりわかるようになりました。

知ってました?石室内の様子

写真:乾口 達司

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かつて石室へつながる道(羨道)があった部分は舗装され、ガラス窓越しに石室の内部を覗くことが出来ます。未盗掘の石室が発見され、その内部からおびただしい副葬品が出土したことで知られる藤ノ木古墳。窓越しではありますが、その内部をうかがえるとは、古墳好きにはたまらないですね。

ちなみに、年に数回、石室内の特別公開もおこなわれているため、そのときであれば、内部まで立ち入ることが出来ますよ。

知ってました?石室内の様子

写真:乾口 達司

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写真は窓越しに石室内を撮影した一枚。奥に2体の被葬者が眠っていた石棺の一部もご覧いただけます。藤ノ木古墳を訪れたら、是非、石室内も覗いてみてください。

藤ノ木古墳について学ぼう!古墳の周辺に設置された複数の案内板

藤ノ木古墳について学ぼう!古墳の周辺に設置された複数の案内板

写真:乾口 達司

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藤ノ木古墳の周辺には、藤ノ木古墳をめぐる発掘調査の経緯などを紹介した案内板が設置されています。それらを読むと、藤ノ木古墳の規模や発掘調査の内容がわかるため、こちらにも目を通しておきましょう。

藤ノ木古墳について学ぼう!古墳の周辺に設置された複数の案内板

写真:乾口 達司

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なかでも、興味深いのは、藤ノ木古墳に隣接するようにして、寺院が建っていたこと。その寺の名は宝積寺(ほうしゃくじ)といい、平安時代にはすでに存在したと考えられています。そのお寺があったからこそ、藤ノ木古墳は盗掘をまぬかれたともいえるでしょう。一般にはほとんど知られていない歴史的な事実を知る意味でも、案内板の存在はありがたいですよね。

藤ノ木古墳についてより深く学ぼう!藤ノ木古墳について紹介した斑鳩文化財センター

藤ノ木古墳についてより深く学ぼう!藤ノ木古墳について紹介した斑鳩文化財センター

写真:乾口 達司

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藤ノ木古墳から南に数百メートルのところに、藤ノ木古墳についてのガイダンス施設というべき斑鳩文化財センター(いかるがぶんかざいせんたー)が建っています。館内に入ると、ご覧のような通路を経て展示室へと入りますが、壁に描かれた巨石のデザインが藤ノ木古墳の内部の羨道を表しており、さながら石室内に足を踏み入れるかのような錯覚にとらわれます。藤ノ木古墳についてより詳しく学びたい方は、斑鳩文化財センターも訪れてみましょう。

藤ノ木古墳についてより深く学ぼう!藤ノ木古墳について紹介した斑鳩文化財センター

写真:乾口 達司

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館内では、開封当時の石棺の内部の写真も展示されています。さらに、内部に葬られていた被葬者がどのような姿勢で埋葬されていたかも指し示されており、なぜ、2人の被葬者を一つの石棺に埋葬しなければならなかったのか、謎が謎を呼びます。彼らはいったい何者なのか。その写真や推定復元図をもとに、ご自身で藤ノ木古墳の謎に挑んでみてください。

豪華そのもの!藤ノ木古墳の出土の副葬品のレプリカ

豪華そのもの!藤ノ木古墳の出土の副葬品のレプリカ

写真:乾口 達司

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館内には、藤ノ木古墳ら出土した副葬品のレプリカも多数展示されています。写真は金銅製の鞍金具ですが、レプリカといえど、侮るなかれ。きわめて精巧に復元されており、素人目には本物かレプリカかの見分けがつかないほど。こんな素晴らしいものが埋葬されていたのかと驚かれるのではないでしょうか。

豪華そのもの!藤ノ木古墳の出土の副葬品のレプリカ

写真:乾口 達司

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こちらは金銅製の靴。その飾りの多さに圧倒されますね。

豪華そのもの!藤ノ木古墳の出土の副葬品のレプリカ

写真:乾口 達司

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藤ノ木古墳出土の副葬品といえば、豪華な金銅製の製品ばかりに目が向けられますが、ご覧の須恵器なども多数出土しています。そのあたりにも注目してみてください。

おわりに

藤ノ木古墳の魅力、おわかりいただけたでしょうか。上でも紹介したように、法隆寺からのアクセスも快適。藤ノ木古墳を見学し、古代史の謎に迫ってみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/04 訪問

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