沖縄最北の聖地・安須杜を体感!やんばる国立公園「大石林山」

沖縄最北の聖地・安須杜を体感!やんばる国立公園「大石林山」

更新日:2017/03/03 17:46

国頭村、大宜味村、東村、3つの村にまたがる「やんばる国立公園」は、沖縄本島最北部の観光スポットです。やんばるとは、「山々が連なり森の広がる地域」という意味。その意味の通り豊かで沖縄らしい自然を堪能できるエリアです。中でも「大石林山」は、沖縄の聖地と伝えられてきた安須杜(アシムイ)のパワースポットを散策するコースが整備されています。聖地&巨岩・奇石や亜熱帯の大自然のパワーを体感してみませんか?

辺戸岬から望む安須杜の四峰〜安須杜とは?

辺戸岬から望む安須杜の四峰〜安須杜とは?
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沖縄本島の最北エリア「やんばる」へのアクセスは、那覇市内から車で沖縄自動車道を通り終点の許田インターチェンジから、国道58号線を北上し、約2時間かかります。

やんばるの森には、天然記念物の飛べない鳥、ヤンバルクイナの他、オキナワトゲネズミ、ノグチゲラ、オキナワイシカワガエル、ヤンバルテナガコガネなど、地球上でこの森や琉球列島にのみ生息する固有種が多く見られます。

「やんばる国立公園」は、平成28年9月15日に33番目の国立公園に指定されました。ちなみに9月15日は、昭和58年にヤンバルテナガコガネが発見された日でもあります。

辺戸岬から望む安須杜の四峰〜安須杜とは?
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沖縄本島最北端の辺戸(へど)岬から、山側を仰ぎ見ると、安須杜の四峰を見渡すことができます。左からシノクセ・アフリ・シジャラ・イヘヤ。2億年前の石灰岩層が隆起してできた険しい安須杜の峰々は、お釈迦様が入滅する涅槃像や観音様の横顔に見えるといわれています。右が額で、鼻、口、顎と並んでいるように見えるでしょう。

安須杜に足を踏み入れる大石林山(だいせきりんざん)では、鼻に見えるイハヤと、その左にあるシジャラの杜を散策することになります。

琉球最初の歴史書「中山世鑑」によると、安須杜は、島建ての祖神アマミキヨが最初に降り立った地とされ、琉球王国時代には、王家の繁栄、五穀豊穣、航海安全を祈ったと伝えられます。今でも、40箇所以上の御願所(拝所)で神々への祈りが捧げられています。

辺戸岬から望む安須杜の四峰〜安須杜とは?
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安須杜の四峰を見渡すことができる辺戸岬。断崖絶壁から海側を望めば、荒々しく波打つ紺碧の海が見渡せ、晴れた日には、沖に与論島や沖永良部島を眺めることができます。また、冬から春にかけてはホエールウォッチングのポイントでもあります。

遊歩道を歩いていると、この辺戸岬が本土復帰闘争の地であった歴史を物語る石碑が残っています。1972年に沖縄がアメリカから返還された時に建立された「祖国復帰闘争碑」と、復帰前は国境だった与論島に向けてのろしを上げたり、与論島との間の海上で交流集会を開いた友好の証である白い鳥型の「ヨロン島・国頭村友好記念碑」です。

沖縄の聖地である安須杜に踏み入れる「大石林山」

沖縄の聖地である安須杜に踏み入れる「大石林山」
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やんばる国立公園にある自然テーマパークとも言える「大石林山」に立ち入るには、駐車場の受付で入山料(大人820円、4歳〜中学生の小人520円)を払いましょう。その後シャトルバスに乗り換え、無断立ち入り禁止の案内のある荒れた道を約5分進みます。閉園時間は18時(10〜3月は17時半)までですが、17時で受付が終了してしまうので注意しましょう。(10〜3月は16時)

沖縄の聖地である安須杜に踏み入れる「大石林山」
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シャトルバスを降りると、すぐに散策コースの起点となる精気小屋とアシムイカフェの建物があります。その奥には、巨大な岩が荒々しく盛り上がっている姿が望めます。

アシムイカフェでは、アシムイ薬草ピザや、長命草カレー、風化サンゴで焙煎した35コーヒー、月桃ジュースなどをいただくことができ、散策の休憩に最適です。

沖縄の聖地である安須杜に踏み入れる「大石林山」
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散策コースは4つ整備され、4色の色分けされた案内板に従って進みます。黄色は「巨岩・石林感動コース」。赤は「美ら海展望台コース」。青が「バリアフリーコース」。緑が「亜熱帯自然林コース」。車椅子や足腰がやや不自由な年配の方でも、整備された木道で安心な「バリアフリーコース」以外の3コースは、約30分間、段差のある岩の間の道や亜熱帯の森を歩きますので、歩きやすい履物が好ましいです。

巨岩奇石群とパワースポット

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黄色の「巨岩・石林感動コース」と赤の「美ら海展望台コース」は、それぞれ徒歩約30分程度で散策できます。スタート地点は異なりますが、途中で合流しているため、時間と体力に余裕があれば、「巨岩・石林感動コース」を先に進んで、合流する悟空岩(写真)から、「美ら海展望台コース」を進むという、良いとこどりの散策を楽しめます。約1時間で一周できます。

「巨岩・石林感動コース」は、シャトルバスで来た道を少し戻り、脇道を進んでいきます。時おり迫力あるガジュマルが生える森を抜け、ダルマ岩やヒミコ岩、イグアナ岩など形からネーミングされた奇岩が点在。また2つの岩が寄り添ように立つ縁結びの岩、さらに、2億年前の石灰岩層が隆起してできた石林など不思議な巨岩で飽きずに歩けます。

石灰岩が浸蝕し先がとがって隆起したピナクルや、石灰岩をバクテリアや酸性雨が浸蝕し穴が開くソリュウジョンバンのできかたの解説なども掲示してあります。

そして、森を抜け、視界が開けた先にそびえたつタワーカルストの悟空岩を見上げます。

巨岩奇石群とパワースポット
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「美ら海展望台コース」の悟空岩から先は、「安須杜」の聖なるパワーに満ち溢れた場所です。神々や精霊が行き交う石林の壁や、触ると運気がアップするというパワーストーンや、岩の間にある石中の御願所(拝所)などが現れます。

さらに、女性ならではの病気にご利益があると言われる「骨盤石」や3回通ると生まれ変わると伝えられる「輪廻生まれ変わりの石」(写真)なども人気の場所です。

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崖の上の視界が開けた「美ら海展望台ステージ」からは、バスの出発地点の駐車場や辺戸岬、さらに海上の水平線に与論島や沖永良部島が望めます。また、右側に視界を移すと、安須杜四峰のうち「イヘヤ」と「シジャラ」の峰を確認できます。

この先「美ら海展望台コース」は聖地囲いと考えられる石積みや木の階段を下り、青の「バリアフリーコース」に合流します。ウッドデッキの歩きやすいコースからは、石灰岩が塔のようにせり出している「烏帽子岩」がすぐ目の前に見えます。また、あちこちにパパイヤの花や黄色いツワブキ、紫の大紫式部、月橘の実など沖縄特有の植物も発見できます。

散策が終わったら、アシムイカフェに戻って森を眺めながらのんびり休憩するのもいいでしょう。

亜熱帯自然林コースを巡ってガジュマル・ソテツの森へ

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行きに乗ったシャトルバスで、駐車場まで変えることもできます。しかし、体力に余裕がある方には、緑の「亜熱帯自然林コース」を歩いて駐車場へ戻るコース(徒歩約30分)がお薦めです。バスに乗って、途中下車してコース中で必見の巨大なガジュマルを近道して巡ることも可能です。

注目のガジュマルは、枝から気根を垂らし、地面に着地すると、そこに根を張り、どんどん太くなって樹冠(茎、葉、花等を含む 地上にある植物の部分)を広げていきます。

こちらの写真のムカデガジュマルは、映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い唄』で登場したもので、樹齢200年と推定されます。他にも次から次へ、7本のガジュマルの巨木が出迎えてくれます。

亜熱帯自然林コースを巡ってガジュマル・ソテツの森へ
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亜熱帯の森でガジュマルとともに存在感あるのが、6万本ものソテツの群生です。

亜熱帯自然林コースを巡ってガジュマル・ソテツの森へ
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巨大ガジュマル群の中で最後に登場し、樹冠回りが一番広いといわれるのが、写真の「御願(うがん)ガジュマル」です。発見当初、記念撮影をしようとしたカメラが相次いで壊れ、後日浄めのお祈りをして撮影ができたことからその名があります。御願とは、沖縄の言葉で願いや祈りを表し、精霊(キジムナー)が宿ると言われています。

この先は、昔の生活の痕跡である、屋敷跡や畑跡と思われる石積みなどがあり、やがて駐車場に戻ります。

巨岩奇石の成り立ちや亜熱帯の自然林についてもっと堪能したい方には、前日17時まで事前予約に限り、ガイドさんと不思議なパワーを体感し巡る120分のスピリチュアルガイドツアーも開催しています。ツアー料金は大人3000円、小人(4歳〜中学生)2200円です。

おわりに

沖縄本島最北エリアは、遠くてすぐ簡単に到着できる場所ではありません。だからこそ、手つかずの自然を体感できるお薦めスポットでもあります。聖地・安須杜の祈りや亜熱帯自然林など、やんばるのパワーを感じてませんか?運が良ければ、ヤンバルクイナに遭遇できるかもしれません。

また、北部観光おすすめの立ち寄りスポットとして「道の駅ゆいゆい国頭」があります。国道58号線沿い、辺戸岬まで車で約25分という立地のよさ。やんばる3村観光案内所で観光情報をゲットしたり、名物のイノブタ料理も味わえます。
さらに、クニガミドーナツやみんなでクイナクッキー等のお土産販売や地元産のシークヮーサーやバナナ等の果物の直売所もあります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/09 訪問

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