旅散歩! 金沢・旧鶴来街道で「願う・食べる・買う」

旅散歩! 金沢・旧鶴来街道で「願う・食べる・買う」

更新日:2017/12/27 12:45

なおぢ はるみのプロフィール写真 なおぢ はるみ 旅するデザイナー
加賀百万石・前田家所縁の建造物やその周辺のしっとりとした街並みが人気の金沢。中でも、約70カ寺が集まり寺町寺院群を構成する寺町と隣接し、歴史を存分に味わえると金沢旅通に好まれているのが野町です。
今回は、その野町にあって更に裏エリアとも言える旧鶴来街道沿いの厳選スポットをご紹介! 歴史を感じながら「願う・食べる・買う」を楽しむ旧鶴来街道・旅散歩のご提案です。

香林寺の幸せの道で「願う」

香林寺の幸せの道で「願う」

写真:なおぢ はるみ

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繁華街・片町を抜け、犀川大橋を渡って蛤坂を登るところから始まる旧鶴来街道。一歩、また一歩と歩を重ねるほどに、金沢の歴史を色濃く映し出すその風景へと引き込まれていきます。しっとりと落ち着いた街並みを眺めながらしばらく歩くと、六斗の広見に着く少し手前右手に、願掛け寺香林寺の看板が有ります。

決して大きな寺院ではありません。むしろひっそりと、奥ゆかしく建っているのですが、このお寺、多くの観光客がこぞって訪れる、大人気のお寺なんです。(入館料500円/2017年2月15日現在)

その大きな魅力の一つが、香林寺が願掛け寺と呼ばれる所以の、願掛け十二支の庭。幸福の道と名付けられた小道があり、それを決まった順序で周り、決まった場所で願掛けをするという、もう聞いただけでもワクワクするお庭です。

幸福の道は矢印に沿って、おしゃべりせず、静かに歩きます。そうやってまずは2周。だんだんと心が落ち着き、方位に基づいて立っておられる十二支像と羅漢像が、寄り添ってくれているような穏やかな気持ちになる3周目に、願掛けです。

香林寺の幸せの道で「願う」

写真:なおぢ はるみ

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自分の干支の像の前で、願い事をします。例えば、午年の方はこちら。願うだけでも良いのですが、願掛けタスキを掛けたい人は、事前に申し出ておきましょう。(願掛けタスキ500円/2017年2月15日現在)
たくさんの願いが掛けられても、頼もしい表情でしっかりと立っておられる勇ましい姿を眺めているだけでも、癒されて幸せな気分です。

香林寺の幸せの道で「願う」

写真:なおぢ はるみ

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お彼岸の時期に訪れた方は、さらにラッキーです。普段は16時半に閉園するのですが、彼岸花の咲く時期の3日間だけは夜間に入園でき、お庭がライトアップされています。

暗闇にふわりと浮かぶ白い彼岸花の姿が大変妖艶で儚くもあり、それを見守る羅漢像がより力強く感じられて、大変美しいです。きっと忘れられない旅の風景になるでしょう。(その年によって見頃の時期が違いますので、事前に香林寺にお問い合わせ下さい)

もう一つ、良縁を願う方に朗報です! こちらの香林寺では、「お寺で婚活」というイベントも年に数回開催されています。旅を楽しみ、願いを叶え、さらに生涯の伴侶まで見つけるというミラクルを起こしたい方は、旅行前に香林寺のホームページをしっかりチェックしてくださいね!

太一坊で北陸の味を「食べる」

太一坊で北陸の味を「食べる」

写真:なおぢ はるみ

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さて、次は「食べる」スポット。旅の良し悪しを左右する最重要ポイントは、やっぱりグルメですよね。

地元の美味しいものをいただく喜びと感動は、長く記憶に残るもの。「金沢ならばやっぱり和食を」と望む観光客の声は多く、和食のお店が本当に増えています。

そんな中、群を抜く美味しいお店が、この野町にあるんです。本当は教えたくない・・・けれど、ここでだけこっそりお教えします。香林寺からは歩いて10分ほど。六斗の広見を抜け、旧鶴来街道沿いの町家salon&stay初華を過ぎたら、左に曲がる道に入ると見えてくる割烹・小料理の「太一坊(たいちぼう)」。このお店の味、絶品です。

割烹・小料理と言うと、少し敷居が高いのかなと思いますが、太一坊はどちらかというとカジュアルな雰囲気。椅子に座ってリラックスして頂くスタイルです。店内のインテリアも和洋折衷という感じ。夜のお食事にも、ランチにも気軽に入れる空気感で、旅行者でも安心して金沢の和食を楽しめそう!

太一坊で北陸の味を「食べる」

写真:なおぢ はるみ

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今回のご案内は、ランチ。日替わり料理の“本日の定食”、数量限定の丼ランチ、前菜からメイン、コーヒーが付く昼会席(予約すると特典お料理もつきますよ)、要予約の旬会席というランチのラインナップです。

写真は、季節ごとに変わる数量限定の丼ランチ「能登豚あぶり丼(1300円)」。炙りの香ばしさが食欲をそそり、能登豚のモチモチした食感、自家製たまねぎ醤油に漬け込まれた力強い味わいが、口の中に広がります。思わず目を閉じて、味覚を集中させて味わいたくなるほど。緑のシャキッとした食感、ゴマや海苔の風味など、すべてが絶妙に合った丼です。

丼の食材は、うなぎ、穴子、マグロ、白エビなど、季節ごとに変わります。地物の旬をいただくのって、旅の醍醐味ですよね。

他のメニューもボリュームたっぷりで、彩りが美しい! 器もさりげないこだわりが感じられます。さすが割烹店。お店の方にお聞きすると、器はお料理にも合わせるけれど、お客様の年代や雰囲気にも合わせているそう。なんて嬉しいもてなしでしょう。食べる前から、目と心が満たされますね。

太一坊で北陸の味を「食べる」

写真:なおぢ はるみ

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金沢に来たんだから、やっぱりお魚をいただきたいという方、ご安心くださいね。ランチメニューすべてにお造りが付きます。こちらも新鮮な旬のお魚。北陸の味を詰め込んだこの贅沢なランチメニューは、1000円台から堪能できますよ!

ランチを食べたら、夜も来たくなるほど、こちらのお店は美味しいです。お酒も楽しみたいという方は、ぜひ、夜の太一坊をお楽しみくださいね。貸切の時もありますので、事前予約をお勧めします。

今川酢造で貴重な酢を「買う」

今川酢造で貴重な酢を「買う」

写真:なおぢ はるみ

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旧鶴来街道に来たなら、絶対ここに寄らなきゃという老舗「今川酢造」。1923年に創業して以来、手間ひまをかけて醸造する静置発酵法で、まろやかで深みのある酢本来の風味を守り続けています。

建物は昔の建造物の良さを生かしてリノベーションされています。立派な柱と梁の黒と漆喰壁の白が美しい蔵の中に商品が並んでいます。対面する壁側は、アートの企画展スペース。お酢を買いに来て、芸術にも触れることができる、どこまでも粋なお酢屋さんです。

今川酢造で貴重な酢を「買う」

写真:なおぢ はるみ

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「酢ってこんなに種類があるの?!」と驚くほどの商品数が並んでいます。もちろん、すべて今川酢造オリジナル。定番の三杯酢、すし酢、米酢に加え、らっきょう酢、ピクルスの甘酢など、お料理のバリエーションが広がるものが勢ぞろい。

それだけではありません。石川県産フルーツとお酢のハーモニーが楽しめるサワードリンクやヨーグルトソース、ドレッシングにぴったりの“いちごいちえ”“いきいき無花果”、富山の完熟林檎と紫黒酢をブレンドした砂糖不使用のヘルシージュース“りんごすいーつ”など、ティータイムやデザートにもお酢が大活躍! あれもこれも欲しくなる品揃えです。

今川酢造で貴重な酢を「買う」

写真:なおぢ はるみ

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おすすめを幾つかご紹介します。まず、はな色すし酢。これを使うと、淡いピンク色のすし飯が簡単にできるんです! 美しいこの色は加賀野菜の金時草からとったピンク。添加物ではない天然の色ですから、体にも優しいですね。いつもの手作りお寿司が、華やかに変身します。こちらで190ml/507円(2017年2月15日現在)。

そして、朝メニューにぴったりの甘酢ジャムも、かなりおすすめ。能登の食材を使った商品で、梅とブルーベリーがあります。パンに塗ったり、ヨーグルトと混ぜたり、グラノーラにも合うし、クラッカーにのせればパーティーメニューにもなります。ローストポークのソースとしても美味しい! ジャムと言っても甘すぎず、天然の優しいお味なので、たくさん食べられますよ。140g/540円(2017年2月15日現在)。

いただくとわかるのですが、今川酢造のお酢は滋味深く、本当のお酢ってこれなんだ!と思うちょっと感動の風味です。まずはお米を大きな樽の中で発酵させてお酒を作り、そのお酒を今度はお酢用の樽に移して、またゆっくりと時間をかけて寝かせ、酢になるまで大切に育てます。この静置発酵法の工程は、約7ケ月かかるそうです。

「大変な工程だと言われるけど、うちは昔からこの方法ですから、これが普通なんですよ」と笑顔で対応してくれるご主人の肌は、ツルツル! 毎日、お味噌汁に酢を入れて頂いているそうです。美を手に入れるお酢を金沢土産に、アレコレ選んでゲットしましょうね。

これがリアルな金沢です。

なぜこの野町が、金沢旅通に支持されているか。それは、歴史の背景の中に今の金沢がしっかり生き続ける町であり、腕のいい料理人やこだわりの商品を造り続ける職人が、奥ゆかしく粛々と北陸の魅力を伝えてくれる場所でもあるからでしょう。

個性的なお寺がたくさんあり、また美味しいものも見つかる素敵な野町で、旅散歩をぜひお楽しみください!

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/15−2017/02/15 訪問

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