現代アートのような高知南西の絶景〜竜串見残し海岸〜

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現代アートのような高知南西の絶景〜竜串見残し海岸〜

現代アートのような高知南西の絶景〜竜串見残し海岸〜

更新日:2017/02/25 18:50

小谷 結城のプロフィール写真 小谷 結城 国内旅行業務取扱管理者、京都検定2級、温泉ソムリエ、日本城郭検定2級、国内旅行地理検定2級

四国最南端・足摺岬から西へ24キロほどの沿岸。奇岩怪石の宝庫である竜串海岸と見残し海岸です。第3紀層の砂岩が海や風によって削られた海食台地、これが正体なのですが、あまりに不可思議な景観が多すぎてそんな簡単な説明で片付けてしまって良いものかと疑念を抱くほどです。自然が心を持って人々をあっと言わせるような現代アートをつくり上げたかのように見えます。では、竜串見残し海岸をご紹介しましょう。

竜串海岸「大竹小竹」

竜串海岸「大竹小竹」

写真:小谷 結城

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四国南西部の沿岸を占める足摺宇和海国立公園の代表的な景観であり、海域公園にも指定されている屈指の名勝、これが竜串海岸です。紺碧の大海原に向かって大地が突き刺さんと試みたように見える岩柱は時に勇ましく見え、時に穏やかでもあり、また時にはおどろおどろしさをも抱かせます。

岩柱は化石漣痕と呼ばれるもので、波や水流の影響によって水中の堆積物の表面につくられた凹凸がそのまま地層面に残されたものになります。これが波に洗い出されるなどして表面に露出しているのです。名前の由来は、海に突き出したいくつもの岩柱が竜に串を通したように見えたから、海岸の背後にある「臥竜山」の竜臥(たつふし)が転訛した、アイヌ語のタツコク(小丘陵)とクシ(美しい)から名付けられた等諸説あります。

竜串海岸「大竹小竹」

写真:小谷 結城

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そして、竜串海岸最大のスポットが「大竹小竹」です。竜串海岸の特徴を最もよく示している景観になります。雄大な岩柱の随所に節のような横の割れ目も見えることから、巨大な竹を何本も横倒しにしたような姿であることが由来のようですが、私はこの光景から竜の背骨を想起しました。あなたにはどのように見えるでしょうか。

見残し海岸「展望台」

見残し海岸「展望台」

写真:小谷 結城

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太平洋に小さく突き出した竜串海岸から湾を隔てて東、南に2キロ少々突き出した千尋岬(ざき)の西岸にもう一つの必見の海岸である見残し海岸があります。かつてはそこへ通じる道もなく、弘法大師も“見残し”てしまったことからこの名があります。化石漣痕は見残し海岸を含めた千尋岬にまで及び、その特徴は竜串海岸とはまた異なってゆきます。こちらも必見であり、知名度こそ劣りますがインパクトはこちらの方が上でしょう。

アクセスは車と徒歩を利用して千尋岬を南下する方法もありますが、竜串海岸の東岸とその西に立つ足摺海底館からグラスボートが発着しており、これを利用する手もあります。写真の湾の中央やや左、防波堤のように突き出たものが見えるあたりが竜串海岸、手前の岩肌の見えているあたりが見残し海岸になります。

戦艦のように突き出た巨岩

戦艦のように突き出た巨岩

写真:小谷 結城

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展望台を南に降りてゆくと猪の姿をしている「しし岩」を望むグラスボートの船着き場があり、ここから海岸を歩いてゆきます。重なり合う男女を連想させる「愛情の岩」、岩盤に無数の小さな穴の空いた「つづみ岩」、浸食が巨岩をハチの巣のようにしてしまった「蜂の巣城」などを経て、「渦巻岩」のある海に大きく突き出した巨岩の上にまで至ります。

海に突き出す形は戦艦のようであり、岩盤に空いた無数の小さな穴はここでもよく見られ、穴の空き方にも多彩さがあります。満潮を控えた頃になると先端で受ける波濤は凄まじく、まさしく艦砲射撃を耳にしているかのようです。

絶景へのエントランス「見返りの門」

絶景へのエントランス「見返りの門」

写真:小谷 結城

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前述の場所からさらに、円形にくり抜かれたような形状の中に渦巻状の模様が見られる「渦巻岩」、風化によって人の通れる横穴が貫通した「厄抜けの門」などの見どころを経て海食によってつくられたトンンル「見返りの門」になります。

ここのトンネルの壁面の海食は筋状になっており、なめらかで鍾乳洞のような美しさがあります。天井には巨岩。浸食された深い凹みに数十トンあろうかという巨岩が蓋をするように覆いかぶさり、これがトンネルをつくり上げています。こちらも自然ならではの力強い芸術です。そして、このトンネルの先に見残し海岸の遊歩道の終点であり、ハイライトが待っています。

見残し海岸を代表する「屏風岩」と「団痕」

見残し海岸を代表する「屏風岩」と「団痕」

写真:小谷 結城

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見残し海岸の遊歩道南端にして終点に高くそびえるのが「屛風岩」です。海底の泥に残った波形が隆起してできたもので、化石漣痕の典型になります。岩畳も広く、海食の姿もさまざま。もっと近づいて岩肌を見てみましょう。

見残し海岸を代表する「屏風岩」と「団痕」

写真:小谷 結城

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そそり立つ屏風岩の下、千枚田をミニチュアサイズにしたような光景や精緻を極めた小さな無数の穴が広がります。自然の所業にしては細かすぎ、人工にしては不規則。この世の創作物とは思えないグロテスクさを現出させています。

見残し海岸を代表する「屏風岩」と「団痕」

写真:小谷 結城

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屏風岩の裾野を見てみると、手のひらの入るほどのへこみがちらほらと見られ、そのへこみの中にまた特異な海食による模様が見られます。色彩の単調さをささやかに崩すようにして褐色の球状の石のようなものがはまり込んでいます。この石とは団痕というものです。団痕とは、はるか昔に起きた洪水で土が流れの底で丸まり、そのまま残ってしまったもの。鉄分を含んでいるために褐色をしているのです。

サグラダ・ファミリアに代表される独特な造形で知られるスペインの建築家アントニ・ガウディの作品にも似ています。自然を師とした豊かな感性によって生まれたガウディならではデザインは、ここでヒントを得たのではないかと思われるような、そんな造形です。

特異な自然景勝は他には見られません

いかがだったでしょうか。あまりに特異な造形群。自然が生み出す芸術性の幅広さに舌を巻きます。竜串見残し海岸は他には見ることのできない、日本でも屈指の景観を誇ります。四国最南端に近く、アクセスはお世辞にも良いとは言えません。しかし、この点を差し引いても一度は訪れるべき自然景勝と言えるでしょう。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/27 訪問

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