厳選!京都の穴場紅葉めぐり!奥嵯峨野にたたずむ3つのお寺

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厳選!京都の穴場紅葉めぐり!奥嵯峨野にたたずむ3つのお寺

厳選!京都の穴場紅葉めぐり!奥嵯峨野にたたずむ3つのお寺

更新日:2014/09/29 17:51

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家

京都に年間訪れる観光客のうち、半数は桜と紅葉が目的ということをご存じでしょうか?紅葉シーズンともなれば、大混雑すること間違いなし!そこで、おすすめは嵐山・渡月橋から北に広がる嵯峨野(さがの)の奥地を早朝に先回りするコース。ここまで足を延ばす人は少なく、京都らしい秋の静けさを感じることができます。奥嵯峨野は、京都の紅葉めぐりで穴場中の穴場!その中でも特に紅葉が美しい3つのお寺をご紹介しましょう。

色鮮やかなカエデが美しい奥嵯峨野の草庵【直指庵】

色鮮やかなカエデが美しい奥嵯峨野の草庵【直指庵】

写真:沢木 慎太郎

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嵐山は渡月橋付近のことで、春は桜、秋は紅葉が美しく、新緑や冬景色も風情があり、京都随一の観光スポット。嵐山から小倉山にかけて社寺が建ち並ぶ地域は、“嵯峨野(さがの)”と呼ばれ、竹林の小道が続き、古都の風情が感じられるところ。老若男女を問わず、ご家族やカップル、ひとり旅の方も楽しめる人気の散策コース。

しかし、人気の散策コースだけに、紅葉のシーズンともなれば大混雑!そこで、筆者のおすすめは、嵐山周辺の天龍寺や常寂光寺、二尊院、祇王子、宝筐院(ほうきょういん)、清涼寺を飛ばし、奥嵯峨野へと直行するコース。
奥嵯峨野には、「直指庵(じきしあん)」「化野念仏寺(あだしのねんぶつじ」「愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)」といった小さいながらも風情があるお寺があり、早朝に訪問すれば古都の静けさを感じることができます。

奥嵯峨野は、嵐山から約3キロの奥地。レンタサイクルを使ったり、バスで大覚寺まで行ったりして、朝一番にたどり着けば、混雑を避けて紅葉を眺めることができるでしょう。

大覚寺よりもさらに北へ1キロほど進むと、静かな竹林に囲まれた小さな庵が。京都、嵯峨野の直指庵(じきしあん)。葦葺(よしぶき)の本堂のまわりは、写真のように色鮮やかなカエデがお出迎え。
もともとは小さな草庵で荒廃していましたが、明治時代に地元の有志らが再建。筆者が京都で一番好きなお寺です。

竹林の青さと紅葉のコントラストが美しい【直指庵】

竹林の青さと紅葉のコントラストが美しい【直指庵】

写真:沢木 慎太郎

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直指庵は、ひとり旅の女性が訪ねるところでも知られています。
庭園を覆う紅葉や竹林が目の前に広がる高台の小さな部屋には、“想い出草”と名づけられた日記のようなノートが。この庵を訪れた旅人がそれぞれの胸の内に秘められた想いを白いページに綴り、静かに立ち去っていきます。

“想い出草”は1965年ごろから置かれ、これまでに旅人が記したノートは5000冊以上。恋の悩みや生きることの苦しみが綴られ、心を癒される寺としても親しまれています。
境内の奥には、広げたノートを手にした“想い出草”の観音さまのお姿が。優しげに微笑する観音さまは、ノートに綴られた悲しみや苦しみから救い、同時にその後の成長も見守って下さるといいます。

まわりに人がいても静か。本堂の縁側に座り、竹の葉ずれの音や鳥の鳴き声に耳を澄まし、季節の移ろいを感じるのも良いでしょう。
小さいながらも苔が美しい庭には、山桜や桃、石南花(しゃくなげ)、紫陽花、菊など季節の花がたくさん植えられ、四季折々に深い趣のある風情を楽しむことができます。

竹林の庭に落ちた椿や、苔庭を埋め尽くす山桜の花びらも詩情豊かでおすすめ。葦葺の本堂を包み込むカエデは秋が深まるにつれて、明るい黄色からオレンジ、朱色と変わり、やがて燃えるような真紅へと移ろい、風に舞う紅葉も風情があります。

12月上旬は、赤いじゅうたんのように落ち葉が庭一面を覆う“散り紅葉”が見事。草庵を取り囲む竹林の青さが紅葉の赤やオレンジをさらに引き立たせ、その細やかな美しさに心が洗われるよう。

また、境内には“愛逢い地蔵”という、仲良く寄り添いあうふたりのお地蔵さんの姿があり、縁結びや恋愛成就を祈る女性の姿も見かけます。
“想い出草”のノートに想いを綴った後は、本堂の縁側に座り、竹林や紅葉を見上げてください。時が経つのも忘れ、心が静まり、優しい自然に癒されることでしょう。

【直指庵】
■住所:京都市右京区北嵯峨北ノ段町3
■電話番号:075-871-1880
■バス停:市バス 大覚寺バス停※最寄バス停下車徒歩約10分
■休日:無休
■拝観時間:9時〜17時
■拝観料:一般500円、小学生・中学生・高校生400円
■トイレ:有り(車椅子不可)

無縁仏の悲しみ癒す色鮮やかな紅葉【化野念仏寺】

無縁仏の悲しみ癒す色鮮やかな紅葉【化野念仏寺】

写真:沢木 慎太郎

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続いてのご紹介は、直指庵から南西へ約1キロ離れた場所にある「化野念仏寺」。このお寺も、ひとりで訪ねる女性の姿をよく見かけます。
あまり聞きなれない「化野(あだしの)」ですが、「あだし」というのは、昔の言葉で「はかない・むなしい」という意味。「化野」の「化」には、『生』が化して『死』となり、この世に再び生まれ変わることや極楽浄土に往生する願いが込められています。

古くから風葬地として知られ、亡くなっても埋葬してもらえない悲しみの地。平安時代のお坊さんである空海が、野ざらしとなった死者をとむらうために五智山如来寺を建てたことが始まりで、後に法然上人が念仏道場とし、「化野念仏寺」と名づけました。

もともとは風葬地でしたが、やがて土葬となり、人々が石仏や石碑を奉納して、永遠の別れを悲しんだ場所です。しかし、化野念仏寺は静かで、ご覧のように紅葉が美しい場所。悲しみを美しさに変えて生きているような清浄な気の流れが感じられます。

石仏を覆い尽くす紅葉に命のはかなさを想う【化野念仏寺】

石仏を覆い尽くす紅葉に命のはかなさを想う【化野念仏寺】

写真:沢木 慎太郎

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化野念仏寺の境内には、約8000体の石仏や石塔があり、多くは無縁仏。平安時代から何百年という長い年月の間に土に埋まったり、あたりに散乱したりしていた石仏を明治時代に地元の人々が集め、化野念仏寺に祀りました。

風雪にさらされ、長い月日の間に顔が削れてなくなった小さな石仏を眺めていると、人の命のはかなさを思います。
恨んでも、うらやんでも、ほんの束の間。何十年かしか生きられない、はかない命です。

無数の無縁仏を覆い尽くすオレンジや朱色の見事な紅葉はどこまでも可憐で美しく、怨念や悲しみといった暗いイメージはありません。長年の風雪にさらされ、丸みを帯びた石仏は、悲しみの果てにたどり着いた浄土の安らぎ。今ではすっかり風化し、仏さまの表情を見ることはできませんが、穏やかな笑みをこぼしているようです。

化野念仏寺は紅葉の季節だけでなく、春の桜や新緑も美しい場所。8月には石仏の一つひとつにロウソクを灯す“千灯供養”が行われ、嵯峨野の夏の風物詩として多くの人々が訪れます(要予約)。オレンジ色の柔らかな、おびただしい数のロウソクの明かりに灯された幾百幾千もの石仏の姿はなんとも神秘的。古都らしい静かな風情が感じられます。

【化野念仏寺】
■住所:京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17
■電話番号:075-861-2221
■バス停:京都バス 鳥居本バス停
■休日:無休(積雪や凍結、宗教式典日は休み)
■拝観時間:9時〜16時30分(季節によって変動あり)
■拝観料:一般500円・中学生高校生400円・小学生以下無料
■トイレ:有り(車椅子可)

生きる勇気を与えてくれる、ほほえましい羅漢さんたち【愛宕念仏寺】

生きる勇気を与えてくれる、ほほえましい羅漢さんたち【愛宕念仏寺】

写真:沢木 慎太郎

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最後に、美しい紅葉を眺めながら、ほんわかと優しい気持ちになれる小さなお寺を。
化野念仏寺から北西へ500メートルほど進んだ場所にあるのが「愛宕念仏寺」。寺へは緩やかな長い坂道が続くので、レンタサイクルの方は電動自転車を借りられるといいかもしれません。

「愛宕」は、「あたご」ではなく、「おたぎ」と読みます。愛宕念仏寺は奥嵯峨野の最深部にあり、ここまで訪れる人は少なく、穴場中の穴場。ちょっとわかりにくい場所ですが、愛宕寺前のバス停の目の前にある赤い門が「愛宕念仏寺」です。
ご覧のようにとてもユニークなお顔の石仏がぎっしり。小さな境内には約1200体の石仏があるのですが、一つひとつの表情やポーズがそれぞれ違っていて、とてもおもしろく、ついつい時間を忘れて長い間、眺めてしまいます。

創建は8世紀ですが、洪水などで長い間、廃寺となっていました。その後、昭和の時代になって復興することになり、一般の方に石で羅漢(らかん)像を彫って奉納することを呼びかけたところ、なんと1200人もの方々が自らの手で羅漢さんを彫ることに。
10年の歳月を経て刻まれた石像は一つひとつが個性的で、同じものはありません。猫や俵を抱いていたり、大声で笑っていたりと、心のおもむくまま、自由奔放に彫られたものばかり。どの羅漢さんも幸せそうに明るく、満ち足りたお顔をされていて、こちらまでほのぼのとした幸せな気分に浸ることができます。

“とりあえず、生きてみよう”
そんな勇気を与えてくれるお寺です。

【愛宕念仏寺】
■住所:京都市右京区嵯峨鳥居本深谷町2-5
■電話番号:075-865-1231
■バス停:京都バス 愛宕念寺前バス停
■休日:無休
■拝観時間:8時〜17時
■拝観料:一般300円(高校生以上)・小中学生無料
■トイレ:有り(車椅子不可)

おわりに

高校時代に筆者は家出して、何もかも捨て去る決心をして、自転車で日本を一周。旅の途中、北海道の牧場で知り合った20歳の女性が、年下の筆者に教えてくれたのが、京都・奥嵯峨野の直指庵です。今から思えば彼女も何かの理由で、いったんは世を捨てたのでしょう。京の紅葉が美しいのは、もう帰らない想い出が美しいまま残っているせいなのかもしれません。
京都・奥嵯峨野への秋旅。古都の静けさの中で、心洗われる安らぎのひとときをお楽しみください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/02 訪問

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