バス停の洞窟から日本一の洞門まで「四国最南端の海食洞群」

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バス停の洞窟から日本一の洞門まで「四国最南端の海食洞群」

バス停の洞窟から日本一の洞門まで「四国最南端の海食洞群」

更新日:2017/03/06 16:27

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

四国最南端である土佐清水市の足摺半島の先端、足摺岬。岬周辺には花崗岩の海食洞門としては日本最大の白山洞門があります。また、半島自体にも洞門や洞穴の海食洞は数多く存在します。
バス停の待合所として利用されている洞窟、昔、遍路道として使用され、現在でも生活路として利用されている隧道型海食洞、昭和の南海地震で海面から隆起した洞窟等。
道路や小径沿い、浜辺、海上と、様々な海食洞がみなさんを待っています。

バス停背後の洞窟と旧遍路道隧道

バス停背後の洞窟と旧遍路道隧道

写真:春野 公比呂

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足摺半島東側の海岸の北寄り、大阪海遊館以布利(いぶり)センターのある地区の天神橋西袂にバス停「以布利」がありますが、その背後に海食洞が開口しています。
雨天時や夏の日差しが強い時、冬の冷たい風が吹く時等はこの海食洞に入ってバスを待ちます。
尚、戦時中は防空壕として使用され、遍路が宿代わりに泊まることもありました。

バス停背後の洞窟と旧遍路道隧道

写真:春野 公比呂

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天神橋を東に渡ると、すぐ海岸沿い道路に出ますが、そこの角に天満宮があり、その西に旧遍路道である海食隧道が開口しています。
今でも生活路として利用されているのですが、この洞内で人に出会ったことはありません。
昔は海岸沿いの道路がなかったので、皆、この洞を通っていたのです。名付けるとすれば「天満洞」でしょうか。

バス停背後の洞窟と旧遍路道隧道

写真:春野 公比呂

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この天満洞とバス停の海食洞は、元禄3年(1690)に刊行された遍路道関係の文献「四国遍礼功徳記」に記載されていますが、当時は現在の海岸沿い道路がなかったため、満潮時は国道321号の前身の古道を登った旨、同書に記されています。

南海地震で隆起した海上の海食洞と陸上の通り抜け洞穴

南海地震で隆起した海上の海食洞と陸上の通り抜け洞穴

写真:春野 公比呂

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昭和21年の南海地震により隆起した海食洞は、「足摺岬」地区の西に隣接する松尾地区の松尾漁港南西隅にあります。「天神」バス停から西へ下って徒歩数分。
漁港西の女川を渡り、南下するのですが、その海上海食洞手前には、通り抜けできる大小二つの穴が開く海食洞もあります。

南海地震で隆起した海上の海食洞と陸上の通り抜け洞穴

写真:春野 公比呂

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通り抜け洞穴から南下して行った突き当たりは雁木(がんぎ=階段状の船着場)になっていますが、その西奥に海上海食洞「海老宿」が開口しています。これは「海老屋洞」が転化したものではないかと思われます。
上から垂れ下がっているのは木の根。南海地震により、根周辺の岩や土砂が崩落しました。この根から奥が洞窟です。つまり写真の私は洞窟内に立っているのです。

南海地震で隆起した海上の海食洞と陸上の通り抜け洞穴

写真:春野 公比呂

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海老宿前には小崎橋が架かっており、そこから海面を見下ろすと、海底に南海地震で崩落した岩石があるのがわかります。地震前は、洞の天井部が僅かに海面に出る程度だったと言います。
昭和中期頃までは、この洞には多数の海老が棲息しており、子供らは素潜りで獲っていました。

お尻のようにも見える白山洞門

お尻のようにも見える白山洞門

写真:春野 公比呂

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白山洞門は標高48mの岩山に開口する洞門で、開口部の高さ16m、幅17mと、日本一の規模を誇ります。
白山神社前の「白皇神社前」バス停から階段が浜辺まで下りています。その白山神社がかつて白山洞門の岩山にあったことから、その洞門名がついたのです。

お尻のようにも見える白山洞門

写真:春野 公比呂

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満潮時でない限り、白山洞門側まで下りて行くことができます。
一般的な花崗岩地帯の洞門は、節理に沿った柱状に浸食されることが多いのですが、この洞門は波による礫によって研磨されながら浸食されており、地質学上貴重なものです。

お尻のようにも見える白山洞門

写真:春野 公比呂

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白山洞門の全景を捉える撮影スポットはなかなかないのですが、洞門上方の「万次郎足湯」内やその付近からなら、少しは開口部を写すことができます。
現在、土佐清水市では竜串や見残しを中心として、「日本ジオパーク」登録を目指しているので、足摺岬周辺も再整備される可能性があります。もしかしたら、この洞門を見下ろせるよう、ヤブが刈られるかも知れません。

白山洞門は足摺岬から回遊できる

白山洞門は足摺岬から回遊できる

写真:春野 公比呂

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足摺岬展望台入口の駐車場(バス停は「足摺岬」)から、各展望台や灯台、弘法大師の史跡等を巡って白山洞門まで行って帰る回遊コースがあります。
まず、一旦道路を北上した後、ビロウ自生地への遊歩道を下り、天狗の鼻展望台(写真)、岬の展望台、灯台、「足摺七不思議」と巡り、ロマンス歩道を西進、洞門西のアロウド浜から道路に上がり、駐車場まで引き返すコースです。

断崖を見下ろし、椿のトンネルを抜け、弘法大師の各伝承地を巡り、さざ波が打ち寄せる浜を歩く、遊歩道名さながらの「ロマンティック展望道」です。

白山洞門は足摺岬から回遊できる

写真:春野 公比呂

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足摺岬の写真と言えばこのショット。しかし夕方はこのように逆光になるので、時間帯を考慮する必要があります。

白山洞門は足摺岬から回遊できる

写真:春野 公比呂

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この石は「足摺七不思議」の一つ「亀石」。弘法大師が亀の背に乗って、灯台下の海中にある不動岩まで行った、という伝説に関連するものです。但し、元々の七不思議にはこの石は含まれていません。現在、10前後の史跡・伝承地が「足摺七不思議」と総称されているのです。
しかしこれが自然の石だとは思えないですね。お大師さんの成せるワザなのでしょう。

まだまだある足摺半島の「洞穴」と「奇岩」

今回、足摺半島の海食洞にスポットを当ててみましたが、同じ「洞窟」ということで言えば、陸海軍の横穴壕もあります。足摺岬は四国最南端ということもあり、陸海軍共、四国最大級のレーダー基地を設置していたのです。今でも山中にはレーダーの台座基礎や機銃陣地跡等の戦争遺跡が残っています。

また、半島は世界屈指の巨石文明圏であり、250ヶ所以上の巨石遺構が確認されています。
それらは機会があれば、紹介していきましょう。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2011/01/10−2015/11/10 訪問

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