奈良県と京都府の県境にある「柳生(やぎゅう)の里」。柳生新陰流(しんかげりゅう)という剣術流派で有名な、柳生十兵衛が過ごした地としても知られています。宮本武蔵が立ち寄った事でも有名ですね。武家屋敷跡などが観光地として有名ですが、かなり山あいにあるため、奈良駅からバスで50分ほどかかります。剣豪たちがこのあたりで修業に励んでいたであろう様子が目に浮かぶような、そんな素朴で男性的な雰囲気を持った風景です。
奈良の春日大社付近から柳生の里までは「柳生街道」と呼ばれており、ハイキングを楽しむ方も多いですが、かなり険しいコースなので、道途中からのウォーキングにするなど、十分な事前の下調べが必要です。
奈良駅(JR線か近鉄線)からバスで約50分、「柳生」バス停から歩いて15分ほどのところに「天石立(あまのいわたて)神社」があります。山の中腹に鎮座しているため、少しきつい坂を登らなければなりません。鳥居をくぐるとそこは別世界。参道脇にはすでに巨石がごろごろ転がり、神秘的な雰囲気を漂わせています。一刀石はそんな神域の一番奥に鎮座しています。
これが天然にできたとはにわかには信じがたいような、一筋の割れ目のある巨石が突如として現れます。うっそうとした森の中にあるこの岩は、高さはゆうに2メートルを越える、かなり巨大なものです。
柳生石舟斎が毎晩、天狗を相手に剣術修行をしていたある日、天狗を切ったと思えば実はこの岩だったと伝えられています。「ウソだあ〜っ!」という感じのエピソードですが、この場に立つと、石舟斎がそのような幻惑にとらわれたのも納得できてしまうような、妙に非現実な感覚に陥るから不思議です。
天石立神社のご神体は「前伏磐(天立神社)」「前立磐(天岩立神社)」「後立磐(天岩吸神社)」の3石です(写真は前立磐)。人工物かと見まがうばかりの造形美ですが、これも自然の岩なのです。写真だと意外にこじんまりとして見えるかも知れませんが、実はこちら、高さが6メートルもあります。このご神体の前に、小さな木造の拝殿がありますので、こちらから参拝しましょう。
水や岩、森、木―こういった自然物が生み出す偶然の造形に心動かされ、畏敬の念を抱くのは、昔の人も現代人もきっと同じでしょう。思わずその風景に対して手を合わせる時、私達は昔の人たちと同じ感性でつながっているはずです。「歴史の連鎖」を肌で感じ取る事ができる、そんなスポットがまだまだたくさん存在している事が、奈良の一番の魅力なのです。(写真は右が後立磐、左が前立磐です)
いかがです?奈良駅からちょっと遠いですが、一度訪れてみませんか?
【場所】天石立神社
【住所】奈良県奈良市柳生町柳生岩戸谷789
【アクセス】JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「柳生」下車、徒歩約15分
大柳生地区の氏神として古くからある「夜支布山口神社」。一見、難読漢字のようですが、実はこれ「やぎうやまぐち」と読みます。そう、「やぎゅう」です!平安時代の延喜式神名帳にもこの名前が登場するので、おそらくかなり古くからこの漢字が使われていたのでしょう。こちらにも、巨石を祀った摂社があります。境内にこじんまりと鎮座する立磐神社は、巨石を御神体としています。ご神体はちらりとしか見る事はできませんが、社殿は延享四年(1747)に春日大社の第四殿を移築したもので、重要文化財に指定されている大変貴重なものです。
【場所】夜支布山口神社
【住所】奈良県奈良市大柳生町3089
【アクセス】JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「大柳生口」下車、徒歩約15分
奈良県・柳生で奇岩を拝む旅、いかがでしたか?
奈良駅から距離はありますが、街中では絶対にお目にかかれない野性味あふれる風景を、ぜひ足を延ばして体験してみてはいかがでしょうか。
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