兵庫県の日本海側、山陰本線の浜坂駅から徒歩で約6分の場所にあるのが、登山家・加藤文太郎(かとう ぶんたろう、1905年〜1936年)を顕彰して建てられた「加藤文太郎記念図書館」。
加藤文太郎が駆け巡った山々をイメージして、館内には山を彷彿とさせるデザインが散りばめられています。こちらは、「加藤文太郎記念図書館」の外観です。お分かりの通り、建物そのものも、山をモチーフしたデザインとなっています。
加藤文太郎は1905年(明治38年)、日本海に面した現在の兵庫県美方郡新温泉町の浜坂に生まれます。父・岩太郎は漁業を営み、幼い頃から海岸近くで育った文太郎は魚獲りや水泳が好きでした。14歳の時に神戸に出て、三菱内燃機製作所(現在の三菱重工神戸造船所)に製図修習生として入社し勉強と仕事を両立。
そして、回りの人々が電車やバスなどを利用する道を毎日、徒歩で通勤していました。当時、外国人が多く住む神戸では彼らの影響を受けて、六甲山へのハイキングや日曜登山などレクリエーションとしての山登りが流行。
加藤文太郎も余暇の楽しみとして、山登りを開始。後に“不撓不屈(ふとうふくつ)の岳人(がくじん)”、“生まれながらの単独登山者”とも呼ばれる登山家・加藤文太郎の第一歩を踏み出したのです。
「加藤文太郎記念図書館」の1階は通常の図書館、2階には“加藤文太郎資料室”と“山岳図書閲覧室”。2階に上がると訪問者を迎えるのがこちらの加藤文太郎像です。
2階に上がって、加藤文太郎像の右側には“加藤文太郎資料室”があります。もちろん、図書館の一角にあるので無料です。
こちらでは、加藤文太郎の登山略歴が掲げられ、その下には新聞の切り抜きや写真などが展示されています。また愛用したスキー板やストック、ピッケル、登山靴、ドイツ製カメラなども並べられ、登山家・加藤文太郎をよりリアリティーを持って感じられるようになっています。
その他、地図や書籍なども紹介され、充実の展示内容となっています。
先程のスキー板などが展示されていた場所と同様に、こちらも山をモチーフにデザインされた壁が後ろにそびえています。
「加藤文太郎というと?」
若者はやや首をかしげて聞いた。
「不世出の登山家だ。日本の登山家を山にたとえたとすれば富士山に相当するのが加藤文太郎だと思えばいい」
老人の声は意外なほど若かった。
上記は小説家・新田次郎(にった じろう、1912年〜1980年)の『孤高の人』の中にある一節です。富士山測候所などに勤務し、山に親しんでいた新田次郎は加藤文太郎の実名小説を書きました。
こちらでは、書籍と共に取材で浜坂へと訪れた新田次郎の写真や言葉なども紹介されています。
館内は吹き抜けの構造となっているので、ゆったりとした雰囲気。落ち着いた空間の中で、じっくりと観賞や閲覧ができるのもポイントです。壁の上部にも、山の大きな写真が飾られているので、そちらもお見逃し無く。
“山岳図書閲覧室”では山に関する図書が数多く並べられています。次の登山や旅の計画を思い描きながら書籍をめくってみてはいかがでしょうか。
図書館1階の受付では、加藤文太郎グッズとして、マフラータオルやTシャツなども販売しています。旅のお土産にピッタリですし、山登りの際に使用するのも良いですね。
「加藤文太郎記念図書館」の周辺には、加藤文太郎の墓や新田次郎文学碑、その他に浜坂先人記念館「以命亭(いめいてい)」など観光スポットも豊富です。疲れた時には温泉で休憩して、地元の海の幸を味わうのもオススメ。
以上、登山家・加藤文太郎の故郷、兵庫県美方郡新温泉町浜坂にある「加藤文太郎記念図書館」のご紹介でした。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
旅行ガイドを検索!
(2025/2/10更新)
- 広告 -