写真:浦賀 太一郎
地図を見る苦行と言っても過言ではない、こんぴら詣。
今では車や電車で参道まで行くことができますが、かつては京から、江戸から歩いて行かなければなりませんでした。そう考えれば、たったの785段くらい…それでもやっぱりしんどい!
ですが、参道のお店に立ち寄ってご飯を食べたりお茶を飲んだり、寄り道しつつ、楽しみながら登って行けば、そこまで大変に感じないですよ。
いっしんに登った場合でも、御本宮までは約30分。旅程に組み込むなら、こんぴらさん巡りはゆったり時間を取っておいた方が安心です。
そうそう、竹の杖が所々のお店に置かれているので、これを突いて上ることをおすすめします。理由は主に「雰囲気」です。登っている感を醸しましょう(笑)。それにやっぱり時々、楽ですよ。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る徒歩30分と一口で言っても、その道のりはほとんど上り階段なので、実際かなりしんどいです。なので、しばし疲れを忘れられるような、ほっこりエピソードをご紹介しますね。
江戸時代。多くの庶民が熱望した「伊勢参り」。それに並んで「丸金か京六か」……つまり、丸亀のこんぴらさんか、京六条の東西本願寺か、と言われ、人生の一大イベントの一つであったのが、こんぴら詣だったのです。様々な理由で参拝することができなかった人たちは、飼い犬に代参させたりもしました。
飼い犬は、首輪に主人の名札、初穂料、食費をぶら下げ、旅人から旅人に、ヒッチハイクするように引き継がれ、街道筋の人々が世話をし、何百、時には数千kmもの道のりをひたすら歩き、無事こんぴらさんへの代参が叶えば、同じように来た道を引き返す。街道の彼方からこちらへ向かってくる愛犬を見つけた時の、飼い主の感動はいかばかりか。きっと涙、また涙で愛犬との再会を喜んだことでしょう。
そんな、懸命に歩きぬいた犬たちの物語が、「こんぴら狗」として広く語られるようになり、今ではこんぴらさんのマスコットとして、境内には「こんぴら狗」の像が設置され、開運のおみくじやお守りの絵柄となって授与されているのです。主人のために頑張った健気なワンちゃんたちのことを思えば、785段。きついけど、頑張れますよね。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る正式には金刀比羅宮。江戸時代は金毘羅大権現と呼ばれていたこんぴらさん。象頭山の中腹に鎮座し、その御本宮で祀られている御祭神は、大物主神(おおものぬしのかみ)。海上交通の安全、五穀豊穣、大漁祈願、商売繁盛と、広範囲なご利益を授けてくれる、まさに万能な神様です。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る御本宮が鎮座している象頭山中腹は、海抜251m。讃岐平野の向こうには、讃岐富士(写真真ん中左気味)も望める、絶景です。ここまででも、すでに「ついにここまで上りつめたぜ!」感は満載ですが、しかし、ここからが本番なんです。奥社への道のりは、ナント1368段!
1368-785=583
あと583段残っているのです。ここで諦めたら、それこそ御破算(583)ですよ!!
写真:浦賀 太一郎
地図を見る御本宮から奥社への道のりも、かなりしんどい苦行です。御本宮までは、それでも参道のお店や常夜燈、社殿などといった文化財を眺めながら登るので、まだ気は楽ですが、奥社への道のりは、整備されているとはいえ山の中。
途中、幾つかの小社があるばかりで、点在する「奥社まで〇〇米」といった小さな標識が、一生懸命歩いているにもかかわらず全然進んでいないことを教えてくれ、途方に暮れること間違いなしです。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る参道入口から1時間、1368段。御本宮から約30分、583段。ついに奥社に到着です!朱色の社殿に祀られているのは、松尾寺金毘羅大権現の第四代別当・金光院宥盛。戦国時代の兵火で廃れていた、こんぴらさんへの信仰を全国に広め、金毘羅信仰の復興を達成したという人物です。
宥盛は死に際し、「死して永く当山を守護する」と誓ったと伝わり、幕末維新時には神格化されていましたが、廃仏毀釈の命令によって松尾寺は廃止。逃れるようにして、海抜421mの今の地に「厳魂神社」として祀られるようになりました。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る宥盛は、死後天狗になったという伝説がありましたが、奥社の厳魂神社に鎮座し、今でもこんぴらさんをしっかりと守っているのです。
奥社では平成29(2017)年から、新しい「天狗御守」が二色、1袋800円で授与されています。
奥社への参拝は、こんぴらさんの守護神への参拝です。御本宮でお願いしたことを奥社で取り次いでもらい、大切な願い事を確実にこんぴらさんに届けましょう。
象頭山頂付近である奥社から望む讃岐平野の風景は、御本宮よりも更に高い場所です。更なる絶景に心が洗われることでしょう。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る奥社への参拝を終えたら、参道のお店に立ち寄ってみましょう。
参道には色々なお店が軒を連ねていますが、冬でも汗だくになるほどの激烈な石段を登り降りしたら、やはり糖分が欲しくなりますよね。
「中野うどん学校(写真のお店)」では、「学校」の名の通り、讃岐うどんの手打ちが体験でき、他にも食堂、お土産コーナーが併設しています。中でも縁結びにご利益があるという、「嫁入りおいりソフト」が大人気!
「おいり」とは、香川の郷土菓子で、結婚式の引き出物に使われる丸っこいお菓子。その「おいり」をソフトにまぶし、シュワシュワな食感と共にアイスを楽しむことができるのです。アイスは人気の和三盆味か、鳴門金時(なるときんとき)のイモ味を選べます。
疲れた体に染みわたり、しかも縁結びのハッピーまで運んでくれる嫁入りおいりソフト!ハイスペックかつハイブリッドです!
<中野うどん学校 琴平校(ナカノヤ琴平)基本情報>
住所:香川県仲多度郡琴平町796
電話番号:0877-75-0001
アクセス:JR琴平駅から徒歩10分、琴電琴平駅から徒歩5分
営業時間:年中無休 8:30〜18:00
奥社へ詣で、しばしの達成感を噛みしめたあと、来た道を戻るという圧倒的な事実に直面します。途方に暮れてしまうでしょうが、帰り道にも沢山の楽しみが待っています!
参道には香川の名物が楽しめるお店が多く並び、麓には疲労回復効果抜群の「こんぴら温泉郷」があるので、日帰り温泉でホッと一息つくもよし、温泉宿に宿泊し、まったり疲れを癒すもよし。
大変な思いをしてこそ、ご利益は大きく、そして旅の思い出もより深くなるというもの。杖つきながらぜひ行ってみて下さい。こんぴらさんの奥社・厳魂神社へ!
<金刀比羅宮 基本情報>
住所:香川県仲多度郡琴平町892-1
電話番号:0877-75-2121
アクセス:JR琴平駅から徒歩20分、琴電琴平駅から徒歩15分
参拝時間:24時間参拝可能
2017年11月現在の情報です。最新情報は公式サイト等でご確認下さい。
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