写真:風祭 哲哉
地図を見る鯨ヶ丘は、常陸太田市の中心商業地として古くから賑わってきた場所。鯨ヶ丘商店街には、現在でも昔ながらの土蔵づくりや町屋づくりの古い建物がいたるところに残されていて、のんびりと時間が流れる「スロータウン」です。
写真:風祭 哲哉
地図を見る「鯨ヶ丘」というちょっと変わった地名の由来は、丘の姿がその名の通り鯨のように見えるため。
その名の起源はかなり古く、4世紀頃、日本武尊が東夷征伐のためにこの地を訪れた際、この丘の起伏がまるで鯨が海の上に浮かんでいる姿のようであったため、ここを「久自(くじ)」と名付けた、と言われています。常陸太田の北、茨城県の山間部を「奥久慈(おくくじ)」と呼ぶのも、この「くじ」が源なのでは、という説もあります。
JR水郡線の終点、常陸太田駅前から北を望むと、ぽっこりと膨れ上がった丘の姿が見えてきますが、残念ながら丘の上にも下にも建物が並ぶ現代では、下から見ても鯨のようには見えませんが、駅前から坂を上って鯨の背中の部分に到着すると、鯨の形をした石碑があり、この地がこのような形に似ていることがわかります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る鯨ヶ丘は、南北を結ぶ2本の大通を中心に細長い町並みが形成されていて、西側の大通沿いは西一町、西二町…、東側の大通り沿いは東一町、東二町…と呼ばれています。
西側の大通り、通称西通りは昔ながらの建物が至るところにそのまま残る600mほどの落ち着いた通り。小売店よりは事務所や卸売りのお店が多いからなのかもしれません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る西通りの中心近くにある常陸太田市郷土資料館梅津会館。
この建物は1936年に常陸太田出身の実業家、梅津福次郎氏の寄付により建てられたもので、1978年まで市役所として利用されていたもの。その後、郷土資料館として生まれ変わり、レトロモダンな雰囲気をそのまま活かした美術展示室や歴史展示室、民俗展示室などがあります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る常陸太田市郷土資料館のすぐ先にある四つ角。この常夜燈の建つあたりが、鯨ヶ丘の古い町並みをもっとも感じることができる場所。この手前には現在は常陸太田市郷土資料館の分館となっている見事ななまこ壁の一軒家がありますが、現在は修復中となっています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る鯨ヶ丘の東通りは、西通りにくらべて小売店が多いため、にぎやかなイメージ。その中でも古い建物をそのまま活かした商店や蔵づくりの建物も数多く残っています。
写真:風祭 哲哉
地図を見る東通りの真ん中あたりにある「くじら屋」。
ここは鯨ヶ丘商店会が運営しているお店で、「くじら焼き」というくじらの形をしたたいやきに似たスイーツを売っています。小倉・カスタード・チョコのあんが入ったくじら焼きのほか、真っ白な「白鯨焼き」もあり、街歩きの手軽なおやつとして人気です。
このくじら屋の2階部分に描かれているのは、かつての戦国大名佐竹氏の城下町として繁栄した常陸太田の姿。古くから物産の集散地であり、特に明治期までは葉煙草を取引する問屋などで商業や文化が栄えた常陸太田のありし日の様子がうかがえます。
写真:風祭 哲哉
地図を見る鯨ヶ丘の町並みには、ずっと昔からそのまま残されてきたようなレトロな看板がたくさんあるのも特徴。そんな看板を探しながら町をブラブラするのも楽しいのです。
上の写真は西通りにある薬局の2階の看板。薬の名前が書かれた木造の見事な看板が並びます。
右から二番目は「猫イラズ」。今では聞いたこともないようなちょっとおどろおどろしい名前の薬ですが、これは昔の殺鼠剤だったと聞けば、なるほど納得です。
写真:風祭 哲哉
地図を見るこちらも西通りの理髪店。この看板は、もちろん右から左に読みます。よく見ると赤いドットのような点で書かれているこの文字、今はレトロで貴重なものに見えますが、当時としては最先端のデザインだったのかもしれません。
写真:風祭 哲哉
地図を見る鯨の背中のように小高い場所に広がる鯨ヶ丘の町並み。市内の他の場所からそこにたどり着くには必ずどこかの坂を上らなければなりません。鯨ヶ丘に登る坂はいくつもありますが、特に南の「木崎坂」「下井戸坂」東の「板谷坂」「塙坂」「東坂」西の「杉本坂」「十王坂」を「太田七坂」と呼んでいます。
西通りにある太田七坂の代表的なものは「十王坂」。
これは常夜燈がある四ツ辻から西へ下る道で、別称「だいこん坂」とも呼ばれています。常陸太田市郷土資料館分館のなまこ壁と古い石垣の先に石畳の道が続くさまは、なかなか情緒的な味わいがあります。
写真:風祭 哲哉
地図を見る太田七坂の代表的な坂で、東通りにあるのが「板谷坂(ばんやざか)」。坂の頂上からまっすぐに続く道の眺めは素晴らしく、天気のいい日に遠く望む阿武隅山系のやまなみを眉に例えて「眉美千石」とも呼ばれています。佐竹氏がこの地を治めていた時代に、この地に「番屋」があったことが名前の由来だと言われています。
「のびしろ日本一。いばらき県」の観光キャンペーンはそのキャッチコピーだけでなくPR動画もかなり自虐的ではありますが、そのクオリティは非常に高く、SNSでもかなり拡散されています。
なかなかやるじゃん、茨城県!という感じですが、それにくらべると常陸太田市はシャイなのか、まだまだちょっと大人しめ。
ご覧のように古い街並みに情緒ある坂道、レトロな看板と小江戸や小京都として取り上げられてもおかしくない素材をたくさん持っている常陸太田・鯨ヶ丘。知れば知るほど味のある、のびしろたっぷりなこの町並みをぜひお楽しみください。
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(2023/12/8更新)
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