春は雪柳も満開!国宝・五重小塔を有する奈良市の海龍王寺

春は雪柳も満開!国宝・五重小塔を有する奈良市の海龍王寺

更新日:2017/03/14 11:16

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
奈良市の北部、世界遺産・平城宮跡からほど近い集落の一角に海龍王寺と呼ばれる古刹が存在します。近年は美仏として名高い本尊をまつる寺として仏像愛好家にも知られていますが、春には雪柳が咲き乱れる花の寺として、あるいは国宝・五重小塔を有する文化財の宝庫として、ぜひ多くの観光客に拝観していただきたい寺院です。今回は海龍王寺の魅力をお伝えしましょう。

美仏として名高い本尊・十一面観音菩薩立像を安置する本堂

美仏として名高い本尊・十一面観音菩薩立像を安置する本堂

写真:乾口 達司

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海龍王寺(かいりゅうおうじ)は、国分尼寺の総本山・法華てらに隣接するように位置しています。藤原不比等の邸宅跡の北東の隅に建てられたことから、別名、「隅寺」「角寺」(すみでら)とも呼ばれて来ました。そういった経緯からもわかるように、創建は奈良時代にまでさかのぼります。本尊は鎌倉時代の作と考えられている十一面観音菩薩立像。近年は奈良を代表する美仏として知られており、その美しい姿を拝もうと多くの参拝者で賑わっています。

写真はその本尊を安置する本堂。奈良市の文化財に指定されており、寛文6年(1666)に再建された建物です。南面の木戸が開放されており、縁側にすわり、くつろぐ観光客の姿も見られ、堅苦しさは感じられません。その点も海龍王寺の魅力であるといえるでしょう。

花の寺としても名高い!雪柳の咲き乱れる境内

花の寺としても名高い!雪柳の咲き乱れる境内

写真:乾口 達司

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海龍王寺といえば、花の寺としても知られています。なかでも、雪柳は海龍王寺を代表する花であり、これまで多くのカメラマンの被写体となってまいりました。特に本堂の脇に生えている雪柳は大きく、圧倒的な存在感を放っています。

花の寺としても名高い!雪柳の咲き乱れる境内

写真:乾口 達司

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こちらの写真は別の角度から撮影したものですが、背景の石灯籠や建物が古刹ならではの雰囲気を演出しており、カメラマンの方はさまざまな角度から撮影することをお勧めします。

これは珍しい!国宝・五重小塔

これは珍しい!国宝・五重小塔

写真:乾口 達司

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海龍王寺を代表する文化財といえば、国宝の五重小塔が挙げられます。西金堂の堂内に安置された五重小塔の高さは約4メートル。奈良時代の作と考えられています。ご覧のような五重塔のミニチュア版で、同じく奈良市の元興寺が所蔵する五重小塔と並んで、小塔の名品とされています。

なかでも、珍しいのは、その作り方です。海龍之王寺の五重小塔の場合、箱型を五重に積み重ねて基本的な構造を作った後、その外壁に必要な部材を取り付けており、その独特の作り方そのものに興味を持つ方もいらっしゃるでしょう。

これは珍しい!国宝・五重小塔

写真:乾口 達司

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もちろん、国宝の名に恥じず、作りはきわめて精巧です。写真は屋根の一部を撮影したものですが、ご覧のように、手を抜いたところは一つも見られません。その素晴らしい造型をじっくりご堪能下さい。

国の重要文化財に指定されている経蔵

国の重要文化財に指定されている経蔵

写真:乾口 達司

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写真は国の重要文化財に指定されている経蔵。鎌倉時代の作で寄棟造、屋根に瓦を葺いた建物で、その名のとおり、経典類などの寺宝が収められていました。

表門と境内へと続く参道のひなびたたたずまい

表門と境内へと続く参道のひなびたたたずまい

写真:乾口 達司

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写真は境内の東側に立つ表門。室町時代の建立とされており、現在は奈良市の市文化財に指定されています。門の脇に立つ等身大の絵馬にはその年の干支が描かれており、訪れるものを出迎えてくれています。

表門と境内へと続く参道のひなびたたたずまい

写真:乾口 達司

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なかでも、表門から境内へと続く参道はひなびた雰囲気をただよわせており、古瓦を並べた土塀も、古寺としての海龍王寺にはふさわしいものであるといえるでしょう。

おわりに

海龍王寺の魅力、おわかりいただけたでしょうか。世界遺産・平城宮跡からも徒歩圏内であるため、アクセスも快適。奈良観光の際はひなびた雰囲気をいまも残す古寺・海龍王寺を訪れ、その魅力ご堪能を下さい。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/27 訪問

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