川床を歩く鍾乳洞と喫茶店を擁す海食洞穴 高知「伊尾木洞」と「千鳥洞」

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川床を歩く鍾乳洞と喫茶店を擁す海食洞穴 高知「伊尾木洞」と「千鳥洞」

川床を歩く鍾乳洞と喫茶店を擁す海食洞穴 高知「伊尾木洞」と「千鳥洞」

更新日:2017/03/15 17:08

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

藩政時代の武家屋敷群「土居郭中(かちゅう)」が有名な安芸市には、川が海岸段丘を浸食してできた隧道型鍾乳洞「伊尾木洞」と、「小室戸」と言われた大山岬に、洞内に仏堂を祭る巨大海食洞穴「千鳥洞」があります。
前者は川床を歩いて鍾乳洞を抜けることができ、その先には二つの滝が現れます。後者は入口に喫茶店があり、洞内に設置された大柱群はアテネ宮殿を彷彿させる威容を誇っています。

「男はつらいよ」幻の第49作〜寅次郎・花へんろ〜

「男はつらいよ」幻の第49作〜寅次郎・花へんろ〜

写真:春野 公比呂

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伊尾木洞見学者は市立伊尾木公民館の駐車場を利用することができますが、その裏手には「寅さん地蔵」なるものが祭られています。
これは映画「男はつらいよ」シリーズ第49作が、安芸市を舞台に撮影されることが決まったことを記念して建立されたものです。しかし残念ながら、主演の渥美清氏が急死したことにより、「寅次郎・花へんろ」は幻に終わりました。

「男はつらいよ」幻の第49作〜寅次郎・花へんろ〜

写真:春野 公比呂

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寅さん地蔵から東へ徒歩2分ほどでコンクリート護岸の川に出ますが、上流を見ると伊尾木洞が開口しています。入口は高さ約5m、幅3m、全長は約40mですが、内部の高さは10m以上あります。

「男はつらいよ」幻の第49作〜寅次郎・花へんろ〜

写真:春野 公比呂

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洞内は雨の少ない時期なら、防水性のあるハイカットのシューズやレインシューズを履くと川床を歩けます。
氷柱石や石筍等は見られませんが、流れるような形状の壁面の岩や、浸食により開いた穴等が見られます。

景観が全く異なる入口と出口

景観が全く異なる入口と出口

写真:春野 公比呂

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洞内は出口に近づくに連れ、側面下部の凹凸がなくなり、渓流によって浸食された流水の痕が続くようになります。太古は水深が何メートルもあったのです。

景観が全く異なる入口と出口

写真:春野 公比呂

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伊尾木洞は、入口と出口とでは景観が全く異なります。入口はどこにでもある普通の横穴なのですが、出口は衝立のように聳え立つ両岸の岩壁が、まるで出口に向かって吸い込まれるような光景になっているのです。当然、これも渓流によって浸食された痕です。

景観が全く異なる入口と出口

写真:春野 公比呂

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洞窟を出た先も両岸の岩盤はそそり立ち、随所に浸食痕が見られます。
写真は「少年ダビデ像」ですが、この伊尾木洞探訪コースには大小様々な美術的銅像が安置されています。

川床の奇岩と国内屈指のシダ群落

川床の奇岩と国内屈指のシダ群落

写真:春野 公比呂

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川床を上流に進むと、太古から昭和までの南海地震で崩落したと思われる巨大岩石がいくつも転がっています。それらや岸にはシダが密生していますが、これらは国指定の特別天然記念物「伊尾木洞シダ群落」です。
この周辺には約40種類ものシダが群生しているのですが、一ヶ所にこれだけの種類が纏まっているのは極めて稀です。

川床の奇岩と国内屈指のシダ群落

写真:春野 公比呂

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更に上流に進むと川幅が狭くなり、水かさも増してくるので、手造りの階段梯子や丸太橋が設けられています。

川床の奇岩と国内屈指のシダ群落

写真:春野 公比呂

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奥に進むに連れ、川は渓谷の様相を呈し、二ヶ所に滝と滝壺が形成されています。
二ヶ所の滝を過ぎるとほどなく、木橋が対岸に架かる箇所に到り、そこで東山ハイキングコースに合流します。

喫茶店を覆う巨大海食洞穴

喫茶店を覆う巨大海食洞穴

写真:春野 公比呂

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大山岬にその異様な光景は広がっています。まるで巨大洞穴「千鳥洞」が喫茶店を飲み込もうとしているかのようです。
落盤防止のための巨大柱群はまるで、アテネのパルテノン神殿の柱のよう。
喫茶店では洞穴をイメージした「岩屋コーヒー」も提供していたのですが、残念ながら2015年に廃業しました(写真は2011年5月撮影)。2017年2月現在、建物は残っている模様です。

喫茶店を覆う巨大海食洞穴

写真:春野 公比呂

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喫茶店側開口部の南には小さな開口部があり、奥で喫茶店側洞穴と繋がっています。

喫茶店を覆う巨大海食洞穴

写真:春野 公比呂

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喫茶店側洞穴内部には、昭和後期、大山千手観音を祭る大山観音堂や各種地蔵石仏が建立されました。
この洞窟では昔、修行僧が生活したり、遍路が宿代わりに使用する等していたのです。

洞窟内小洞窟と美しい夕焼け

洞窟内小洞窟と美しい夕焼け

写真:春野 公比呂

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千鳥洞内の奥には更に小さな洞窟「地蔵洞」が開口しており、外に抜けることができます。大人は入り辛い大きさですが、子供は入ることができ、看板でもその安全性について記しています。

洞窟内小洞窟と美しい夕焼け

写真:春野 公比呂

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地蔵洞周辺にはその名の通り、各種地蔵石仏が安置されています。

洞窟内小洞窟と美しい夕焼け

写真:春野 公比呂

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大山岬は戦前、県東部屈指の景勝地だったのですが、今でも夕焼けの美しさは変わりません。

年中楽しめる洞穴

一般的な鍾乳洞は夏場がシーズンだと認識されていますが、伊尾木洞内の気温は年間を通して20度ほどだと言われています。普通の鍾乳洞も13度前後ですから、真冬も探訪に適しているのですが、伊尾木洞は年中快適な探訪ができるのです。

一方、千鳥洞も冬場は喫茶店の建物が冷風を遮断し、夏場は潮風がそよぐので問題なく探訪できます。
洞窟は「怖い」というイメージがあるかも知れませんが、性質や特質を理解すれば、レジャースポットに成り得る可能性を秘めています。
まだまだ今後も「変わり種」の洞窟をご紹介してまいりましょう。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2011/05/15−2014/01/24 訪問

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