写真:いなもと かおり
地図を見る戦国時代が終わると徳川家が天下を治め江戸時代がはじまります。1604年、徳川家康は江戸城の拡張工事を行うため、西国の外様大名に築城用の石材採取を命じました(天下普請という)。
しかも大名に与えられた課題は、石高10万につき「百人で運搬できる大石」を1120石! 外様大名の資産を削り力を弱めるためとはいえ、各大名は大変なことだったでしょう。
大名たちの努力の結果、写真にあるような天下無敵の江戸城(現在の皇居)ができたのです。
写真:いなもと かおり
地図を見る写真は江戸城の石垣です。実に立派ですね。
堅質の安山岩が採石できる伊豆半島の東海岸は、石丁場が多く営まれました。1606年から30年以上に渡り、月に2回ほど石船3000艘が江戸と伊豆東海岸を往復していたと伝えられています。
また稲取で見られる「運ばれるはずだった築城石」は実にたくさん! 今でもそのままの状態で残っているのです。稲取・築城石観光におすすめの4つの見学スポットをご紹介します。
写真:いなもと かおり
地図を見る伊豆稲取駅を下車すると目の前のふるさと広場には石の展示スペースがお出迎え! これらの石は運ばれず残されたことから「残念石」とも呼ばれています。
なかには「刻印」の刻まれた石もあります。採石は労力のいる作業なので、採石者の証として模様や文字などを石に刻んでいました。なお課役大名の刻印のほか、石の材質や整備の評価にも使用されていたそうですよ。
写真:いなもと かおり
地図を見る石の側面に小さなくぼみを横一列に掘り、カシの木で作ったクサビを打ち込みます。クサビに水をかけておくと、翌朝クサビが膨張して石が割れるという仕組みです。ちなみに、石に空いた穴は「矢穴(やあな)」、石を割る行為を「矢割り」といいます。
写真:いなもと かおり
地図を見るこうして整形された石は海岸へと運ばれていきます。「修羅曳き」といって、枕木のうえに石をおいて数百人の人夫がひっぱり転がしていったそうです。石の上に乗ってかけ声をかける役目の方もいたようで、なんだかお祭りみたいな雰囲気ですね。
写真:いなもと かおり
地図を見る駅東側にあるきんつば屋さんの前には町指定文化財の「畳石」があります。2つの大きな石! 正式名称は「角石(すみいし)」といい、江戸城石垣の多くには伊豆の安山岩が使用されています。
写真:いなもと かおり
地図を見る重さはなんと14トン。石の側面には「御進上 松平土佐守 十内」と刻まれているので探してみましょう! 稲取は土佐山内の担当エリアで、彼は「百人で運搬できる大石」を2240石も運んだ実績が記録されています。
また、再び採石の命が下されてもいいようにと、このサイズの角石を10石用意し、町内に残されてたそうですよ。しかしながら、きんつば屋さんのご主人の話によると、現在は確認できるだけでも7石しかないそうです。
写真:いなもと かおり
地図を見るお立ち寄りの際には、きんつばの銘菓「角石」をいただきましょう! 畳石のサイズに整形されたきんつばには船のイラストや、角石に刻まれた文字が描かれています。つぶしあんたっぷりで食べ応えのある美味な一品です。
なお、販売時期はひな祭りの期間中限定となっておりますが、2023年の販売は予定されておりません。ご了承ください。
写真:いなもと かおり
地図を見る稲取池尻海岸・ウキウキビーチより西側、志津摩から釜屋の海岸エリアには大きなサイズの石がゴロゴロ。
写真:いなもと かおり
地図を見る波に打たれ角が丸くなった石ばかりですが、なかには石を割るために矢穴をあけたものの、割れなかった石が残されています。
写真:いなもと かおり
地図を見るサイズは長さ3m・高さ1mくらいでしょうか。こちらは矢穴が一列にならび、今でも割られ運ばれて行くのを待っているかのようですね。手前には割られた後と見られる角のある石も落ちています。
探せばキリがないほどありますが、採石期の頃にタイムスリップした気分を味わえるのも稲取観光の醍醐味です。
写真:いなもと かおり
地図を見る東伊豆町役場の庁舎前には、「築城石」と名付けられた石が3石残されています。最も大きいもので、長さ3m・高さ1.2mの角石。横にある自動販売機と比べるとその巨大さがわりますね!
写真:いなもと かおり
地図を見る石を割った痕跡がよくわかりますね。石の中央には矢穴もあることから、さらに小さくしようとした意図が読みとれます。残念ながら割れなかったようですが…!
この大きな石は、もともと田村丸水産株式会社の敷地に埋没しておりましたが、町役場へと納められました。
今回ご紹介した4つのスポットのほか、東伊豆町には30カ所近い築城石見学スポットや石丁場があります。なお、石丁場のなかには私有地もあり公道から見学するスポットもありますので、ルールを守って観光しましょう! 400年前の歴史が眠る、その息づかいを感じる旅。稲取の築城石巡りが面白い!
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(2023/12/10更新)
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