写真:渡部 洋一
地図を見る明治6年(1873年)の太政官布達により日本初の公園に指定された「上野恩賜公園」。通称「上野公園」の名で親しまれるこの場所は、実は公園となる遥か以前から、「桜の名所」として広く知られる人気スポットでした。
上野の桜の歴史の始まりは、江戸時代前期まで遡ります。3代将軍徳川家光の時代、寛永寺開基の天海僧正が桜好きであったことから、わざわざ奈良の吉野山から桜を移植したのがその起源とする説が有力です。
新興都市としてまだ娯楽の場が少なかった当時の江戸で、人々は上野の山に咲き乱れる桜に夢中になります。以来長きに渡り人々に愛され続け、かの有名な俳聖・松尾芭蕉は「花の雲 鐘は上野か浅草か」の名句を残しました。
現代でも、東京都内はもちろん全国でも屈指の花見の名所として不動の地位を築いています。
現在、上野公園一帯に咲き誇る桜は、約50品種、約1200本。もちろん「日本さくら名所100選」に指定されており、毎年「うえの桜まつり」も開催されます。優美な桜を求めて訪れる花見客の数は、なんと約200万人にも上ります。
写真:渡部 洋一
地図を見る写真は、人気品種「陽光(ヨウコウ)」。濃いピンク色が鮮やかで、祭りの提灯との相性もグッドです。
上野公園ではこの他にも、ソメイヨシノはもちろん、ヤマザクラ、サトザクラ等、多種多様の桜が訪れる人々の目を楽しませてくれます。
写真:渡部 洋一
地図を見る広大な上野公園の中でも、桜のメインスポットと言えるのが、中央園路の桜並木です。「さくら通り」とも呼ばれるこの並木道は約400mも続き、頭上を覆い尽くすように咲く桜の迫力はまさに圧巻。春爛漫をとことん満喫できる、贅沢すぎる春の散歩道です。
また、ここ「さくら通り」には花見用のスペースも設けられており、飲めや歌えの大宴会で大変な賑わい。まさに花見の聖地と言えるでしょう。
写真:渡部 洋一
地図を見る上野公園内の重要文化財「清水観音堂」からも、桜を眺めることができます。
清水観音堂は天海僧正によって寛永8年(1631年)に建立された寛永寺の伽藍の一つで、1694年に現在の場所に移築されました。その「舞台」は、京都の清水寺の舞台を模して造られたものです。
写真:渡部 洋一
地図を見る写真:渡部 洋一
地図を見るいくつもの時代を重ね人々の想いの詰まった歴史的建造物の舞台は、桜鑑賞の舞台としての役割も担っています。
写真:渡部 洋一
地図を見る上野公園内に鎮座する「上野東照宮」の境内も、春は桜に彩られます。
東照大権現(徳川家康公)を祀る豪華絢爛な社殿に、優しく色を添えるように咲く淡いピンクの桜の花々は儚く、日本的なわびさびを強く感じさせます。歴史的建造物と桜の共演が楽しめるのも、上野公園の大きな魅力です。
写真:渡部 洋一
地図を見る上野公園を散策するなら絶対に外せない「不忍池」も、春は桜に囲まれます。
不忍池周囲にはベンチが多数設けられており、散策中の休憩にもおすすめ。のどかな池と穏やかに咲く桜の共演は、心安らぐ癒やしの風景です。
写真奥に映る建物は、寛永年間に天海僧正によって建てられた「弁天堂」(現在のものは昭和の再建)。池の中心で弁財天を祀る、不忍池のシンボル的建造物です。
春にはこの弁天堂の参道に多くの屋台が連なり、花見に欠かせない熱々のグルメを堪能することもできます。
いかがでしたか?
東京都内はもちろん、全国でも有数の人気を誇る花見の名所中の名所、「上野公園」の桜の見どころをご紹介しました。
上野公園の桜の見頃は、例年3月下旬〜4月上旬。2017年「うえの桜まつり」の日程は、3月18日〜4月9日に予定されています(桜の開花状況により変更あり)。
江戸時代から長きに渡り人々を魅了し続ける上野の桜に出会いに、あなたも足を運んでみませんか?その場所に立ち、そこに咲く桜の醸し出す空気を五感で味わえば、上野が日本の桜文化の中心である所以を、肌で感じることができるはずです。
上野公園へのアクセス、「うえの桜まつり」の日程等の詳細情報は、記事下部にある「MEMO」よりご覧いただけます。
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(2024/12/5更新)
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