写真:小野 和伸
地図を見る九重山は「森林の中を歩くリフレッシュなコース」「見晴らしの良い稜線を歩くのびのびコース」など、登山口や登山道が沢山あり、訪れる度に新しい発見があります。リピーターも非常に多い山群です。
稜線に出るとその山容に思わず感嘆のため息が洩れます。周囲は草原の様に見晴らしが良く、夏は緑、秋は黄金の大地に変わり、年中通して楽しむことができます。そして山の中枢へと続く登山道を眺めると、これから遭遇する非日常の素敵な出会いに期待に胸が膨らみます。
1,700mを越える素敵な山が沢山あり、バリエーション豊かな九重山。今回は初心者も無理なく登れる山を中心にご紹介します。
写真:小野 和伸
地図を見る「久住山(くじゅうさん)」は九重山の主峰で、多くの方が山頂を目指します。西千里ヶ浜から眺める久住山は凛々しい三角形の形ですが、山頂は広々としており、ゆったりと登頂の余韻を味わいながらくつろぐ事が可能です。
山頂からは涅槃像の様に見える「阿蘇五岳」、大分県に位置するもう一つの日本百名山「祖母山」、山頂が二俣になった独特な形の「由布岳」を確認する事ができます。
ちなみに「九重山」は山群全体を指し、「久住山」は一つの山の名称を指しています。
写真:小野 和伸
地図を見る「中岳(なかだけ)」の登頂は、「九州本土最高峰」という特別な達成感を味わう事ができます。中岳は九重山の中枢に位置する為、中岳から周囲を見渡すと九重山の主役級の山々を一通り眺める事ができます。
まさに九重山の最深部と呼べる山ですが、牧ノ戸峠からはなんと3時間程度で登頂可能です。その道中には御池もあり、豊かで愛らしい自然に心が躍ることでしょう。眼下にはラムサール条約登録地の坊がつる湿原も広がっています。
※九州本土最高峰は中岳(1,791m)ですが、九州最高峰は屋久島の宮之浦岳(1,936m)です。
写真:小野 和伸
地図を見る星が生まれる山「星生山(ほっしょうざん)」は、そのネーミングもあり根強い人気のある山です。牧ノ戸峠から一番近い1,700m級の山の為、時間も他の山々に比べて最短で登る事が可能です。また、来た道を引き返さずとも久住分かれと呼ばれる分岐点にてもとの登山道に合流が可能です。
帰り道に余力があり、時間にゆとりがあるなら星生山を通過して帰るという選択肢も出てきます。直下を歩く登山者、噴煙を上げる硫黄山を眼下に眺めることができます。
写真:小野 和伸
地図を見る登山道には山に場違いな平らな部分もあります。こちらは「西千里ヶ浜」と呼ばれている部分ですが、ここから眺める久住山は凛々しく、歩く度に近づく久住山に気分も高まります。山とは思えない登山道は、ピクニック感覚で歩くことができます。
写真:小野 和伸
地図を見るまた「北千里ヶ浜」と呼ばれている登山道もありますが、同じ「平ら」でもこちらは硫黄により荒廃した大地を歩きます。真横に噴煙を上げる硫黄山を眺めながらの通過は、地球の鼓動を直に感じられ、忘れられない体験となるでしょう。ガスの風向きによっては通過を控えた方が良い場合もあります。
写真:小野 和伸
地図を見る九重山にはミヤマキリシマの群生地が多数あり、5月末から6月の初めと短い時期ですが、九重山をピンクに染め上げます。ピンクに燃え上がる九重山は圧巻です。梅雨の時期にも重なりやすい為、晴れた日のミヤマキリシマ観賞登山は大変貴重な体験になります。
写真:小野 和伸
地図を見る青い空と緑の山を水面に映す火山湖の「御池(みいけ)」は、いつも静かに波打っています。穏やかな御池を眺めると、日常の忙しさを忘れ心も穏やかになっていきます。九重山の癒しスポットです。冬は完全凍結し、その氷の上が登山道になります。
ちなみに大船山直下にある火山湖は「御池(おいけ)」と呼ばれており、紅葉の絶景スポットとなっております。
写真:小野 和伸
地図を見るラムサール条約登録地の「坊がつる湿原」は高山植物の宝庫です。九州本土で最も高い場所にある温泉「法華院温泉山荘」もあり、立ち寄り湯としても利用可能です。坊がつる湿原には野営地があり、山々に囲まれながら眺める星は、また一段と美しく感じます。鳴子川が清らかに流れており、坊がつる湿原は登山者の天然の癒しスポット・憩いスポットとなっています。
長者原登山口の付近には「タデ原湿原」と呼ばれている湿原もあり、こちらもラムサール条約に登録されています。木道が設置されており、登山を行わない観光客も自然を楽しむことができます。
九重山の魅力をお伝えしましたが、「私には登山なんてムリ!」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください、九重山は初心者にも優しい日本百名山です。
一番高い位置にある登山口「牧ノ戸峠」の標高は1,333mです。九重山の最も高い中岳のピークは1,791mです。「九州本土で最も高い」とは言え、実際に登る標高差は約400m、それを約2〜3時間をかけて登ります。少ない標高差を時間をかけて登る為、初心者にも優しい登山道です。このコースは保育園の遠足にも使用されています。
また下山後の温泉も楽しみのひとつです。麓には温泉が多数あり、またその周辺にも黒川温泉、筋湯温泉、長湯温泉、由布院温泉と自動車で1時間以内で辿り着ける温泉地が多数あります。程よい運動は、下山後の温泉をより楽しむ為の適度なスパイスとなります。
山開きは6月の第一週目の日曜日です。山開きを終えると本格的な夏山シーズンが始まります。雄大な九重山の自然が登山者を待っています。
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この記事を書いたナビゲーター
小野 和伸
大分県出身、登山が好きな温泉ソムリエです。2007年 始めての登山は愛媛県の西日本最高峰「石鎚山」でした。鎖場や切り立った岩場を歩くうちに登山の魅力に取りつかれ、その後は地元大分県の名峰を中心に様々な…
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