日本三文殊の一つ!見所満載の奈良県桜井市「安倍文殊院」

日本三文殊の一つ!見所満載の奈良県桜井市「安倍文殊院」

更新日:2022/12/23 17:11

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
智恵をつかさどる仏さまといえば、文殊菩薩。そんな文殊菩薩を本尊とするお寺には、学力向上や受験合格を願って多くの参拝者が訪れます。なかでも、奈良県桜井市の安倍文殊院は日本三文殊の一つとして知られており、受験シーズンはもちろん、それ以外の季節にもたくさんの参拝者で賑わいます。ほかにも、快慶作の仏像あり、驚くほど美しい石室を持つ古墳あり。今回はさまざまな魅力を有する安倍文殊院をご紹介しましょう。

快慶作!巨大な渡海文殊が鎮座する本堂

快慶作!巨大な渡海文殊が鎮座する本堂

写真:乾口 達司

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「安倍文殊院(あべもんじゅいん)」は奈良県桜井市にある寺院。7世紀半ば、大化の改新によって左大臣に就任した安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)によって建立されました。つまり、安倍文殊院はヤマト王権につかえた豪族・安倍氏の氏寺として出発したのです。創建当初は現在地よりも南西数百メートルの地にありましたが、鎌倉時代に移転。移転後も隆盛を誇りましたが、戦国時代末期、大和国に侵攻した松永久秀によって焼かれました。写真の本堂は1665年(寛文5)に再建されたものです。

古来、文殊菩薩は智恵をつかさどる仏として篤く敬われており、安倍文殊院は京都府・天橋立にある切戸文殊、山形県の亀岡文殊と並び、日本三文殊の一つに数えられています。国宝に指定されている本尊・木造騎獅文殊菩薩坐像、通称「渡海文殊」の作者は快慶。獅子の背中に坐した総高は7メートルにおよび、正面からお参りすると、圧巻そのもの。そのまわりに配置された4体の脇侍像とあわせて、その造型に魅了されること、間違いありません。安倍文殊院に参拝したら、本堂にぜひ足をお運びください。

目指せ、志望校!学力向上を願う無数の絵馬

目指せ、志望校!学力向上を願う無数の絵馬

写真:乾口 達司

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智恵をつかさどる文殊菩薩が本尊であることから、安倍文殊院には、一年を通して、たくさんの受験生やその保護者が参拝します。それを指し示すかのように、本堂の前には無数の絵馬がかけられています。その数の多さからも、安倍文殊院がいかに篤く敬われているか、おわかりいただけるでしょう。

目指せ、志望校!学力向上を願う無数の絵馬

写真:乾口 達司

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もちろん、本堂脇の受付では絵馬も授与していただけます。学力の向上を願う方は、絵馬を奉納してみましょう。

安倍氏ゆかりの人物をまつった数々の建物

安倍氏ゆかりの人物をまつった数々の建物

写真:乾口 達司

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境内には、ほかにも安倍文殊院ならではの建物が見られます。

写真は本堂前に広がる池に突き出すようにして建つ金閣浮御堂。「仲麻呂堂」とも呼ばれているように、安倍氏出身の政治家で、遣唐使として中国に派遣されたまま、異国の地で没した安倍仲麻呂をはじめ、安倍氏ゆかりの人物がまつられています。

古代において、安倍氏からいかに多くの偉人が輩出したかを知る上でも見逃せない建物です。

安倍氏ゆかりの人物をまつった数々の建物

写真:乾口 達司

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こちらは陰陽師として名高い安倍晴明をまつった晴明堂。2004年(平成16)に建立されました。そうなんです。あの安倍晴明も安倍氏の出身であり、安倍文殊院と深いかかわりを持っているのです。

正面にある「如意宝珠」は祈願成就、悪霊退散、災難防止に功徳があると信じられている玉。御自身の手で如意宝珠を撫で、お祈りしましょう。

安倍氏ゆかりの人物をまつった数々の建物

写真:乾口 達司

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晴明堂があるのは、境内の東側に位置する高台の上。そこからの眺めは素晴らしく、ご覧のように、境内はもちろん、奈良盆地を眺めることもできます。

眼下に目を向けると、草花で作った大きな干支がお出迎え。こちらの干支は安倍文殊院のもう一つの名物であり、毎年、その年の干支が作られます。特に受験生やその保護者の方は画面の左端に注目!「合格」の文字、必見です。

安倍文殊院のもう一つの顔!縁結びの白山堂

安倍文殊院のもう一つの顔!縁結びの白山堂

写真:乾口 達司

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境内には「白山堂」と呼ばれる社殿もあります。白山堂は流造の社殿で、国の重要文化財に指定されています。祭神は菊理媛神(くくりひめのかみ)。菊理媛神の名にある「くくり」が「括る」につながるため、古来、縁結びの神さまとしても信仰されています。

安倍文殊院のもう一つの顔!縁結びの白山堂

写真:乾口 達司

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したがって、白山堂の絵馬はご覧のとおり。良縁成就を願う方は奉納しましょう。

美しい石室を有する文殊院西古墳

美しい石室を有する文殊院西古墳

写真:乾口 達司

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境内には古墳も点在しています。なかでも、考古学の世界でよく知られているのが、本堂の横に位置している文殊院西古墳。安倍文殊院の創建者・安倍倉梯麻呂の墳墓と考えられている円墳で、その直径は約30メートル。

ご覧のように、お地蔵さまがまつられた石室内には誰でも立ち入ることができますが、注目していただきたいのは、巨大な一枚の天井石を支える側壁部分。均等に削られ、組み合わせられた構造は独特です。こんな美しい石室、見たことがありますか?

安倍文殊院の多面的な魅力、おわかりいただけたでしょうか。近鉄およびJR桜井駅より徒歩15分ほどの距離にあり、お車はもちろん鉄道からのアクセスも快適。学力向上、受験祈願もよし、仏像拝観もよし、古墳探索もよし。さまざまな領域で安倍文殊院をご堪能ください。

安倍文殊院の基本情報

住所:奈良県桜井市阿部645
電話番号:0744-43-0002
アクセス:JRおよび近鉄「桜井駅」より徒歩約15分

2022年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2022/12/11 訪問

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