蘇った「エルベ川のフィレンツェ」ドイツの美しい町ドレスデンで旧市街を満喫

蘇った「エルベ川のフィレンツェ」ドイツの美しい町ドレスデンで旧市街を満喫

更新日:2018/07/30 11:03

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ドイツの東端、チェコとの国境に近い古都ドレスデンは、エルベ川河畔に開けた町。エルベ川の交通の利便性を生かし、ザクセン王国の宮廷都市として栄えてきました。

かつては「百塔の町」とも謳われたように、バロック様式の宮殿や教会、貴族の館などの建物が建ち並び、栄華を誇りました。しかし、大戦時の空襲で、無残な姿に。東西統一後、再建作業が進み、今では「エルベ川のフィレンツェ」として美しい姿に蘇っています。

ザクセン王国名残の「ツヴィンガー宮殿」

ザクセン王国名残の「ツヴィンガー宮殿」

写真:Hiroko Oji

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ドイツ東部のエルベ川沿いに開けたドレスデンは、かつて「百塔の都」とうたわれた美しい古都でした。中世にはエルベ川の水路を利用した商業都市として、15世紀にはザクセン王の息子たちによって宮廷都市として栄え、ザクセン王国の首都にふさわしい、バロック様式の宮殿や教会・貴族の館が建ち並ぶ、壮麗な町並みを誇っていたのです。しかし、後の第二次世界大戦で、一夜にして壊滅状態となった町は、現在は「エルベ川のフィレンツェ」とも呼ばれ、芸術と文化の都として見事に蘇っています。

中でも、17世紀末に即位したザクセン王フリードリヒ・アウグスト1世のときに建てられた石造りのツヴィンガー宮殿は、1732年に完成しました。建築家のペッペルマンによるもので、数多くの彫刻で飾られたバロック建築の傑作と言われたものです。

ザクセン王国名残の「ツヴィンガー宮殿」

写真:Hiroko Oji

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噴水と芝生が美しくデザインされた広い中庭を囲む宮殿の建物の一つに、マイセン焼き(※)のカリヨンを配したものがあります。時計の左右に列をなしてぶら下がっているのがそれです。毎正時と30分にこのカリヨンが美しい音色を響かせてくれますので、ぜひお聞き逃しのないように。

内部では、陶磁器コレクションが見られます。これらは、18〜19世紀の中国・日本の陶磁器や、マイセン焼きの歴史的名品の数々が、アウグスト大公によって収集されたものたち。乳白色に金・赤・青が映える有田焼や17世紀の伊万里焼が並んでいるコーナーもあります。

※ ドレスデン郊外にある古都マイセンでつくられる、世界的に有名な高級磁器

ツヴィンガー宮殿内の見所は盛りだくさん

ツヴィンガー宮殿内の見所は盛りだくさん

写真:Hiroko Oji

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ツヴィンガー宮殿内の建物の中の一つ、北に位置するのはアルテ・マイスター絵画館です。

ドレスデンでも最も重要な美術館の一つで、ラファエロの「システィーナのマドンナ」やフェルメールの「手紙を読む少女」をはじめ、レンブラント、ボッティチェリ、ブリューゲルなど巨匠達の作品が展示されています。館内での写真撮影は、撮影料を支払うと撮影許可のチケットが発行され、それを提示しているとOKです。

ツヴィンガー宮殿内の見所は盛りだくさん

写真:Hiroko Oji

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庭園の噴水を中央に、カリヨンのある建物と向かい合わせになる位置に建っているのが、数学物理学博物館。3連のアーチとその上部にある窓の周囲を飾る彫刻装飾がとても立派で威厳のある建物です。

これらの建物と同じく、庭園を囲むように堀沿いにあるのが、王冠の門です。黒と金色の大きな王冠がデンと乗っかる門から出て、堀に架かる橋の周辺でのんびり寛ぐのもお薦めです。

設立者の名前を冠するゼンパーオペラ

設立者の名前を冠するゼンパーオペラ

写真:Hiroko Oji

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ツヴィンガー宮殿の北側、エルベ川との間に建っているのが、ゼンパーオペラことザクセン州立歌劇場です。

建築家ゴットフリート・ゼンパーの設計によって、1838年〜1841年にかけて設立された劇場は、幾度となく火災や戦災によって消失・瓦礫の山となった後、長期の復興作業が行われ、東西統一後、州立の歌劇場となりました。

リヒャルト・ワーグナーが指揮者を務めた期間があり、「タンホイザー」や「さまよえるオランダ人」などの初演の地としても知られている劇場です。現在でも、オペラやコンサート、バレエの上演が毎日のように行われています。

設立者の名前を冠するゼンパーオペラ

写真:Hiroko Oji

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ゼンパーオペラ正面の開放的な広場には、堂々たる騎馬像が建っています。これは、この劇場の発注者であるザクセン王のヨハン。又、同じ広場の一角には、ウェーバーの像も建っています。ウェーバーは、この劇場で初代の音楽監督を務めたことでも知られています。

奇跡的に戦災を免れた壁画!

奇跡的に戦災を免れた壁画!

写真:Hiroko Oji

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ツヴィンガー宮殿の東隣にあるドレスデン城の中庭には、ヨーロッパ最古の武芸競技場だったシュタールホーフがあります。このシュタールホーフの、アウグスト通り沿いに面した外壁には、歴代君主たちを描いた、約100メートルにわたるマイセン磁器のタイルに描かれた壁画「君主たちの行列」が、ほぼオリジナルの状態で現存しています。

奇跡的に戦災を免れた壁画!

写真:Hiroko Oji

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12世紀から20世紀初頭まで君臨したザクセン王達の騎馬像や、それらの時代を飾った芸術家たちの姿が描かれたタイルは、25000枚にも及びます。中には、アウグスト強王とも呼ばれたフリードリヒ・アウグスト1世王の騎馬像や、行列最後尾の辺りには、この壁画の制作者であるヴァルター自身も描かれており、一人一人の人物を見ていくのもなかなか面白い一角になっています。奇跡的に戦災から免れたことも、なぜか心に響いてくるのではないでしょうか。

完全復元のフラウエン教会

完全復元のフラウエン教会

写真:Hiroko Oji

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戦災でことごとく破壊されたフラウエン(聖母)教会。かつては美しいバロックの町並みの中に、直径25メートルもある「石のつり鐘」と言われた大きなドームを持つ堂々たる姿をしていました。6000日以上もかかって建てられたドイツ最大のプロテスタントの教会だったものが、僅か一夜にして無残な姿に変わり果ててしまいました。

しばらくは、戦争の悲惨さを伝えるためにと、その悲惨な姿のままだったのですが、1994年から再建が始まりました。その復元は、「世界最大のパズル」とまで言われるほど、瓦礫の中から一つひとつかけらを拾い上げ、分類・鑑定を経て、元の位置に組み立てていくという、とてつもない苦労と努力が積み重ねられました。

完全復元のフラウエン教会

写真:Hiroko Oji

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教会のドームの上からは素晴らしい眺望が楽しめます。その展望台までは螺旋のスロープと階段を上って行くのですが、てっぺんに近い所では、ドームの内側のフレスコ画をすぐ目の前に見ることができます。たいていは地上階の床の上から見上げるドームの天井画、こんなにそばで見ることはなかなかできないものです。

完全復元のフラウエン教会

写真:Hiroko Oji

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そして最上階の展望台から見られるのが、エルベ川沿いに広がるドレスデンの町並みです。

川に架かるアウグストゥス橋方面には、君主の行列の壁があるドレスデン城にカトリック旧宮廷教会、ゼンパーオペラにツヴィンガー宮殿、振り返ってアルベルティーヌムやアルベルト橋、川向うには新市街、背後には旧市街と言った町並みを見渡すことができます。階段を上るのはちょっとしんどいかもしれませんが、この眺望をご褒美に、是非上ってみて下さいね。

見所盛りだくさんのドレスデン!

ドレスデンの旧市街は、鉄道のドレスデン中央駅とエルベ川の間に広がる見所盛りだくさんの地区。ここでご紹介した見所はほんの一部です。ドレスデン城には、ザクセン王家の財宝がズラリと並ぶ「緑の丸天井」という宝物館や博物館があり、目のくらむばかりの財宝が見応えたっぷり!城内には、オスマントルコ展示室や貨幣展示室などもあります。500年以上もの歴史ある聖十字架少年合唱団で知られる聖十字架教会、ザクセン州最大の教会建築で、78体の聖人の石像が屋根の上に設置されているカトリック旧宮廷教会などの教会も見所です。

また、川に張り出し、中央に立派な彫像のあるブリュールのテラスと呼ばれる美しいプロムナードで寛ぐのも、心癒されるひとときとなるでしょう。さらに、旧市街を飛び出して、アウグストゥス橋を渡って、金ぴかに輝くアウグスト強王の騎馬像がある広場に出、新市街地区を散策するのもよいものです。

このような見どころを堪能するにはやはり、宿泊をしてゆったりした気分で見て周ることをお薦めします。駅前には手ごろな料金で泊まれるホテルが、また、旧市街や新市街の町中では、優雅な滞在が楽しめるホテルもたくさんあります。お財布と相談なさって、是非ドレスデンでの滞在をお楽しみくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2005/08/08−2005/08/11 訪問

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