写真:モン ガラ
地図を見る紀伊山地は深い森に覆われ、古来から自然を神とする信仰が盛んな地域でした。6世紀に日本に仏教が伝わってからはこの山々を仏や菩薩の「浄土」に見立て、仏が持つような能力を習得する為の山岳修行の舞台となりました。
その結果、紀伊山地には「吉野・大峯(修験道)」、「熊野三山(熊野信仰)」、「高野山(真言密教)」の3つの宗教を代表する霊場とそこに至るまでの参詣道が生まれたのです。これらと周囲の文化的景観がまとめて世界遺産に登録されています。
写真:モン ガラ
地図を見る三霊場はそれぞれ起源や信仰は異なりますが、全国から多くの人々が訪れるようになり日本人の精神的・文化的発展に大きな影響を及ぼしました。
そして信仰が盛んになるにつれて、三霊場へ行くまでの3つの道「大峯奥道」、「熊野参詣道(熊野古道)」、「高野山町石道」が整備されました。これらの道は人々が下界から神々の宿る浄域に近づく為の修行の場であり険しい道のりです。
写真:モン ガラ
地図を見る険しい山道の中で最も入門ルートと呼ばれるのが、熊野古道の「中辺路」です。全部で7つある道の中で最も頻繁に使われる王道ルートとも言われています。
この世界遺産は、様々な歴史を反映して広い地帯に多種多様な文化財が含まれますが、「中辺路」を通って熊野三山のひとつ「熊野那智大社」を目指せば一度に4つの世界遺産がまとめて拝めるのでとても効率が良いです。初めて那智を訪れる方にお勧めのコースです。
写真:モン ガラ
地図を見る熊野古道・中辺路の中の大門坂を通り、467段の石段を上がり切った先に熊野三山のひとつ「熊野那智大社」があります。「熊野本宮大社」と「熊野速玉大社」と併せて熊野三山と呼ばれ、信仰の聖地として古くから皇族をはじめ多くの人々に参拝されています。
「熊野那智大社」は、日本神話の女神である熊野夫須美大神(イザナミノミコト)を中心に、国づくりに縁の深い一三柱の神々が祀られており、国の重要文化財に指定されています。“夫須美”は結ぶの意味で縁結びのパワースポットとしても有名です。
写真:モン ガラ
地図を見る境内には願い事が叶うと言われる樹齢800年のクスノキや、神の使いヤタガラスのマークがあちこちで見られます。ヤタガラスは日本サッカー協会のシンボルにもなっていて「よくボールをゴールに導くように」との願いが込められているので、ここぞの勝負時に訪れると良いでしょう。
写真:モン ガラ
地図を見る「那智山青岸渡寺」は、両国三十三カ所巡りの第一番札所として多くの人々が全国から訪れます。仁徳天皇の時代(313〜399年)に創建された南紀最古の建築物で、7世紀頃に本堂が建立されました。
しかし現在の本堂は織田信長によって焼き討ちされた為、1590年に豊臣秀吉によって再建されました。屋根には豊臣家の家紋が今でも残ります。安土桃山時代の建築様式が色濃い建物は、寺が貯蔵する観音菩薩像と一緒に国の重要文化財に指定されています。
写真:モン ガラ
地図を見るすぐ隣に熊野那智大社があり、神社と寺院が軒を並べています。かつての青岸渡寺は神仏習合の一大修験道場でした。明治時代の神仏分離令で神か仏のどちらかを選択するように命じられた結果、分離や再興を経て現在の姿になりました。神仏習合時代の名残を見る事ができる貴重な場所です。
写真:モン ガラ
地図を見る境内には三重塔があります。天気がよければ塔の上から太平洋まで一望できるので昇ってみましょう。
写真:モン ガラ
地図を見る「那智の滝」は、高低差133メートル、日本一の落差を誇る世界遺産です。滝そのものが飛瀧神社のご神体として祀られており、かつて花山法皇が神様から授かった不老不死の薬を滝壺に投げ入れたという伝説から延命長寿の水とも呼ばれています。
滝の向かって右は那智原始林が広がり国の天然記念物に指定されています。マイナスイオンたっぷりの大自然のパワーは圧巻です。
熊野古道の入門ルートとはいえ坂道のアップダウンに息がハアハア、まさに修行の道…。しかし、深い森は歩くだけで心を浄化してくれそうな神聖な空気が流れています。熊野那智大社を含む4つの世界遺産は近くに集中している為歩いて半日ほどで巡れます。全て那智を代表する主役級の観光スポットです。
今回ご案内したルートは世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のほんの一部にすぎませんが、自然のエネルギーとスピリチュアルなパワーに溢れた聖地を是非歩いてみましょう。
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(2024/3/28更新)
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