ミケランジェロも称賛!ローマ観光では古代ローマの建築「パンテオン」を見逃すな

ミケランジェロも称賛!ローマ観光では古代ローマの建築「パンテオン」を見逃すな

更新日:2018/07/25 11:27

四宮 うららのプロフィール写真 四宮 うらら 旅とグルメの案内人
都市全体が博物館のようなローマは、キラ星のような見どころが満載。いくら時間があっても足りないくらいですが、そんな中でもぜひ訪ねたいのが、ミケランジェロが「天使の設計」と賞賛した古代ローマ建築の神殿、パンテオン。
世界的大ヒット映画「天使と悪魔」のロケ地でもある、パンテオンの魅力をご紹介します。

パンテオンを見ずしてローマを去るものは愚かなり

パンテオンを見ずしてローマを去るものは愚かなり

写真:四宮 うらら

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パンテオンという言葉には「万神殿(あらゆる神を祀った神殿)」という意味があり、ローマでは「パンテオンを見ずしてローマを去る者は愚者なり」とも言われています。
その言葉通り、オリベスクと噴水のあるロトンダ広場と、パンテオンの前はいつも大勢の観光客で賑わう観光スポットです。

パンテオンは、初代ローマ皇帝のアウグストゥスの側近であったマルクス・アグリッパが紀元前27年に建設。その後焼失するのですが、西暦120年頃に、第14代ローマ皇帝のハドリアヌス(ローマ帝国の全盛期を築いた実力者。映画「テルマエ・ロマエ」で有名)によって再建され、現在に至っています。

西暦120年といえば日本は弥生時代後期。その時代の建築物がほぼ完全な形で残されていることは極めて稀で、古い建築物が多いローマのなかでも、奇跡的な遺産といえるでしょう。

パンテオンを見ずしてローマを去るものは愚かなり

写真:四宮 うらら

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パンテオンを正面から見ると角ばった建物に見えますが、実は建物そのものは円形。垂直に立つ円柱と三角形の前室が、後ろに控える円形ドームをすっぽり隠しています。
幅約30メートル、奥行き約15メートルの玄関廊には、エジプトの花崗岩で造られた円柱が16本並んでいます。人の大きさを見ると、いかに列柱が巨大かわかるでしょう。

正面三角屋根の上部には「M. AGRIPPA L. F. COS TERTIUM FECIT」と刻字されています。再建したのはハドリアヌスですが、「ルキウスの息子マルクス・アグリッパが、3度目のコンスル(政務官)の際に建造」と記されています。初代建築者に対する敬意が感じられます。

パンテオンを見ずしてローマを去るものは愚かなり

写真:四宮 うらら

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荘厳なパンテオン入り口。巨大なブロンズ製の扉をくぐり、内部に足を踏み入れると空気はひんやりとしていて、暑さの厳しい真夏のローマなら涼むのにちょうどいい感じです。

壮大なドーム状の建物にぽっかり空いた天窓が不思議

壮大なドーム状の建物にぽっかり空いた天窓が不思議

写真:四宮 うらら

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パンテオンの内部に入ったら、まず天井を見上げてみましょう。ぽっかりと空が見えるのがこの建物の大きな特徴です。

ドーム状の建物の直径は43.2メートル、床からドーム頂上の高さも43.2メートル。天井の真ん中に直径約9メートルの穴があいていて「パンテオンの目」と呼ばれています。古代の建物ですから、ガラスなどは入っていません。

直径9メートルといっても、下から見上げる天窓は、そんな大きさがあるようには見えません。そして、ここから内部に光が注がれ、壁や柱の装飾を浮き立たせ、なんとも神秘的なのです。
かつては穴から差し込む光の角度で、時間を計っていたそうです。

穴のまわりに設けられた四角いレリーフのようなものは、重量を軽減するために造られたくぼみだといいます。
元来、ドーム建築は頂上部で石組みがアーチ形に繋がっていることによって強度が確保できる構造なので、頂上を空けるためには、非常に高度な技術を要したことが想像されます。

また、雨が吹き込んだときのために、ドーム下の床の中央部は、水が集まるようにゆるやかにカーブを描き、小さな小さな排水口がみられます。なんと緻密な設計なのでしょう。

稀代の天才といわれるミケランジェロがこの建物を見て、「天使の設計」とほめ称えた理由も納得がいきます。

壮大なドーム状の建物にぽっかり空いた天窓が不思議

写真:四宮 うらら

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築約2,000年にもなるパンテオン。
パンテオン(あらゆる神を祭った神殿)という名の通り、創建当時のローマは多神教の国で、民衆は各々が信じる神に祈りをささげていたそうです。そして時代とともに、パンテオンはカトリックの宗教施設へと変遷します。
そのことにより破壊されることなく、今にこの姿を残すことができたのでしょう。19世紀後半方からは国の功労者を祀る記念堂としての役割も持つようになりました。

円形の内部には、紫色の縞模様の大理石などが使われた祭壇や絵画、彫像が並び、見事な装飾に目を奪われます。そしてラファエロをはじめとする芸術家、イタリア王家ウンベルト1世、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の墓もあります。

映画『天使と悪魔』にも登場するラファエロの墓をチェック

映画『天使と悪魔』にも登場するラファエロの墓をチェック

写真:四宮 うらら

これはルネサンス時代を代表する画家、ラファエロの墓がある場所です。1520年に没したラファエロは、37年という短い生涯の中で多くの「聖母子」を描き『聖母子の画家』ともいわれます。
ラファエロ本人の希望でここに眠っているといわれていますが、ラファエロの墓がパンテオンに移されたのは1758年になってからのこと。「石の聖母像」の下、大理石で囲まれた空間に安置され、終日、訪れる人が後をたちません。

映画『天使と悪魔』にも登場するラファエロの墓をチェック

写真:四宮 うらら

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「石の聖母像」の下にあるラファエロの棺です。

トム・ハンクス主演のサスペンス映画「天使と悪魔」では、宗教学者ロバート・ラングドン教授が、事件解決のためのキーワードの詩に『悪魔の穴開くサンティの土の墓より』とあるのを、「悪魔の穴」=(パンテオンの円形の穴)、『サンティの土の墓』=(パンテオンにあるサンティ・ラファエロの墓)と勘違いし、ここに来てしまうというシーンがあります。
ともに事件に立ち向かう女性科学者ヴィットリアが、この墓の前にある説明プレートを見て、ラファエロがここに埋葬されたのは、詩が書かれたよりずっと後のことだとわかり、解釈が間違いだったことに気づくのです。
実際にこの場所でロケが行われ、その映像はとても美しく、迫力あるシーンになっています。

映画を見てから、あるいは原作を読んでから実際に訪れると、より楽しめるかもしれませんね。

パンテオンはなんと、入場料無料!

パンテオンは、はるか昔の古代ローマ建築が、ほぼ当時のまま残る貴重な場所ながら、入場料は無料。気軽に入ることができます。

映画「天使と悪魔」で登場する他のローマの名所、サンピエトロ大聖堂、ヴァチカン博物館、サンタンジェロ城、ポポロ教会などと一緒に、ロケ地巡りを楽しむのもおすすめです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/15 訪問

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