覆いをかぶせられた篝火セットの近くで待っていましょう。午後7時半になると、境内の方からどーん、どーん、と太鼓の音が聞こえてきます。すると、遠くから小さな灯火が見え始め、砂利道を歩く音と共に神主さんの姿が。
神主さんが大麻をふるってから火打石を打ち合わせると、真っ黒の空にオレンジ色の炎がごおっと上がるのが魔法のようです。が、実際に火をつけているのは相方さんのマッチです(笑)。
無病息災・火防の御神徳を賜ることができる、ということで、この火にあたっただけで帰ってしまう人もいるのですが、ぜひ、火で体を温めながら次の展開を待っていてください。
火にあたりながら待つ事しばし。午後8時になると、今度は三の鳥居近くの社務所から太鼓の音が聞こえてきます。これから前齋の儀を行う神主さんたちが、提灯を持って出立です。
先頭に警備の方が立ち、その後を白装束に身を包んだ神主さんたちが続きます。篝火の間を通られますので礼をもって見送ったら、その後ろをついて行きましょう。
普段は夜になると閉じられている楼門が開いていて、境内に入るとまず祓殿での儀式が行われます。祓殿に入るのは一番各上だと思われる神主さん一人だけ。他の神主さんたちと一般の参列者は外で待っています。祓殿での儀式が終わると、いよいよ拝殿へと向かいます。
拝殿に入ると、本殿に向かって左の席に神主さんたちが、一般の参列者は右の席に着きます。残念ながら生演奏ではありませんが、雅楽が流れ儀式が始まります。起立、拝礼など、指示に従って行いましょう。
大きな金色の本殿の鍵が渡され、ぎーっぎーっという音とともに扉が開く演出は、天照大神の神話を思い起こさせます。頭を下げているので開けるシーンは見られません、耳でしっかり確かめてください。
本殿の前にはバケツリレーの要領で次々とお供え物が置かれていくのですが、「山野の物八種」の膳にはニンジンとナスとキュウリとピーマンが盛られていたりして神様に親近感がわきます。ちなみに御祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)、稲田姫命(いなだひめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)です。
儀式が終わるとお神酒をいただけます。銘柄はおそらく文楽。埼玉県のお酒です。
本殿での儀式が終わると、神主さん御一行は境内の他の神社、門客人神社、御嶽神社、稲荷神社、宗像神社、松尾神社、天津神社を回ります。
参列者がお神酒をいただいている間にすでに始まってしまいますので、もれなく後追いをしたい方はお神酒はパスした方がいいかもしれません。
すべて回り終わると、神主さんたちは社務所にお戻りになります。礼を持ってお見送りしましょう。
神主さんたちが社務所に戻られると、係の人がやおら火の用心のバケツを持ち上げ、水をかけて火を消します。勢い良く上がる水蒸気がおさまると、人々はがさがさと袋や缶、軍手や割り箸などを取り出します。
この消し炭を持って帰り、家の四隅に置いたり、神棚に置いたり、かまどの神様として奉ったりすると火事を防げるというもの。民間信仰ではありますが、小さな缶に入れて持って帰れば懐炉となって温かく、風邪も予防できそうです。
持ち帰る際には火傷をしたり火事が起きたりしないよう、十分に気をつけてくださいね。
いかがでしたか。決して派手な儀式ではありませんが、厳かな冬の夜の神事に神=自然の力が感じられるのではないでしょうか。かなり冷えますので、特に足元を暖かくしてお出かけください。
12月9日の夜には十日市の準備が始まっていますので、賑やかな熊手市のテントに囲まれながらの篝火となります。
大湯祭前齋は夜に行われますが、12月10日の本祭は午前8時から、12月11日の後齋と誓詔祭は午前10時から行われます。お時間のある方は、ぜひ合わせて体験してみてください。
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