奈良の名刹「室生寺」優雅さと気品溢れるその魅力とは?

| 奈良県

| 旅の専門家がお届けするオリジナル旅行ガイドメディア

奈良の名刹「室生寺」優雅さと気品溢れるその魅力とは?

奈良の名刹「室生寺」優雅さと気品溢れるその魅力とは?

更新日:2017/04/10 13:57

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー

奈良県宇陀市室生にある真言宗室生寺派大本山室生寺は、“女人高野”の名で知られ、高野山が女人規制なのに対し、古くから女性に開放された名刹です。奥深い山と渓谷に囲まれた室生の地は、古くから神々の坐ます聖地と仰がれていたパワースポットでもあります。鬱蒼とした山峡に不規則の堂塔が立ち並ぶ大自然に抱かれた室生寺は、日本有数の優雅さと気品に満ちています。今も女性に大人気の女人高野の絶景に癒されてみませんか。

現代でも女性の参拝客が絶えない女人高野「室生寺」

現代でも女性の参拝客が絶えない女人高野「室生寺」

写真:和山 光一

地図を見る

室生という地名の語源は神の宿る場所、豊かな森林の“ムロ”“ミムロ”に由来するといいます。そんな古代からの神聖な山であった室生の山には、空海が如意宝珠を埋めたという伝説や京都神泉苑の雨乞いの修法で勧請した善女龍王が舞い降りたとする伝説があり、いっそう室生の地を神秘的なものにしています。

室生川の蛇行に合わせて七曲がり八曲がりする道を進み、やがて門前町が見えてくると、山里ののどかな景色に室生川に架かる朱の太鼓橋が目に鮮やかに飛び込んできます。橋の袂の石柱には「別格本山女人高野室生寺」の文字が彫られています。空海の開いた女人禁制の高野山に対し室生寺は、江戸時代5代将軍徳川綱吉の母桂昌院の力添えで女性の参詣が許されるようになりました。

現代でも女性の参拝客が絶えない女人高野「室生寺」

写真:和山 光一

地図を見る

太鼓橋から表門を望む風景は絶好の撮影ポイントで、春ともなると女人高野に相応しく優美な山桜や薄墨桜が咲きます。いつもながら味わい深い門ですが、背後に桜があると一段と素敵になります。表門の奥にある護摩堂の前には「乙松桜」と呼ばれる紅ヒガンザクラがあり、こちらも見応えがありますよ。

不規則に谷間に点在する室生寺の伽藍に仏が集う

不規則に谷間に点在する室生寺の伽藍に仏が集う

写真:和山 光一

地図を見る

仁王門を入れば別世界が開けています。奈良の巨大寺院の整然とした七堂伽藍と違い、室生寺のそれは山と山の谷間に小ぶりのお堂が、やっと平らな地を見つけて点在しています。

鎧のさねが重なったように見えるところから名付けられたという、自然石が配された急な「鎧坂」を上った先に最初に出会うのが写真の金堂です。金堂は平安時代初期の建築で、正面五間の単層寄棟造り、杮葺きの屋根。山寺のごくありふれたお堂ようにも見えますが、正面から入る階段はなく、左手の石段を上り、左横の入口から回ると、驚きの仏像群が迎えてくれます。

内陣には、堂々とした一木造りの御本尊・釈迦如来立像を中心に、木の特徴を生かした平安初期の金堂五仏が、その前にはまるで歌舞伎役者か中国京劇の俳優が見得を切っているかのような12人の異形の武将“十二神将像”が一列に並び、その姿に圧倒されます。

写真撮影は禁止されていますのでしっかり目に焼き付けましょう。

不規則に谷間に点在する室生寺の伽藍に仏が集う

写真:和山 光一

地図を見る

金堂の裏手を少し登った台地に、室生寺の本尊日本三如意輪の一つ、平安初期作の如意輪観音菩薩座像を祭る灌頂堂(本堂)が建っています。建立は鎌倉時代・延慶元年(1308)、真言密教の最も大切な法儀である灌頂(カンジョウ)を行う堂で、真言寺院の中心であるところから本堂とも呼ばれています。

弘法大師一夜造りの伝承のある国宝五重塔

弘法大師一夜造りの伝承のある国宝五重塔

写真:和山 光一

地図を見る

階段の果てに優美な五重塔をあおぐ景色は、室生寺の中で圧巻の景色です。平安時代初期に建立されたとみられ、法隆寺の五重塔に次ぐ古さで室生寺中最古の建造物でもあります。

弘法大師が一夜にして建立したと伝承され、観光ポスターにもよく登場する国宝の五重塔は、総高16.1Mと屋外のものでは国内最小「手のひらにのるような」と言われていて、通例の五重塔の三分の一で設計されています。それがけっして小さく見えない秘密は、石段のせりあがりにあるとのこと。桧皮葺の屋根や丹塗りの組物と石段の調和のとれた造形は、たおやかで控えめな佇まいです。

この塔の頂上の九輪の上には、水煙のかわりに受花つきの宝瓶を置きその上に花笠のような八角形の宝蓋が乗っている他に類がない塔なのです。宝瓶には室生の龍神を封じ込めているとされています。

弘法大師一夜造りの伝承のある国宝五重塔

写真:和山 光一

地図を見る

春の石楠花(シャクナゲ)の時期には五重塔の後ろから灌頂堂を見下ろすと、低木のハナズオウの紅色が彩りを添えてくれています。

奥の院への参道は修行を思わせる石段の坂道

奥の院への参道は修行を思わせる石段の坂道

写真:和山 光一

地図を見る

五重塔から室生寺奥の院に至る杉の巨木が鬱蒼と立ち並ぶ急な石段を上っていきます。約370段ある石段は、女人高野にふさわしく段差は小さくしてあり、上りきった先に常燈堂(位牌堂)が目にはいってきます。清水寺風の舞台造りで、回廊の上からは、上ってきた“女坂”といわれる石段を眺めることができます。高い所が苦手という人は見ないほうがいいでしょう。

奥の院への参道は修行を思わせる石段の坂道

写真:和山 光一

地図を見る

奥の院のメインは、位牌堂の正面にある弘法大師四十二才の像を安置した小さなお堂「御影堂」です。鎌倉時代の作で方三間の単層宝形造、厚板段葺で、頂上に石造りの露盤が置かれています。これは弘法大師が住んでいたと言われ、高野山で最重要聖域とされる高野山御影堂の形式を伝える唯一の建物でめずらしいお堂です。

写真の御影堂の向こうに見えるのが、諸仏出現岩と言われる岩場の頂上に建つ七重石塔です。

室生寺参拝の疲れを癒す参道に並ぶ草もち店

室生寺参拝の疲れを癒す参道に並ぶ草もち店

写真:和山 光一

地図を見る

室生寺の参道には料理旅館、よもぎ餅を売る店が並びます。特に室生寺に来たら外せないのが、五木寛之著『百寺巡礼』でも紹介された室生名物「草もち」なので是非食べ歩きをしてみましょう。小ぶりの草もちののどごしはよく、粒餡は甘すぎず薄すぎず程よい甘さで、たっぷりのよもぎを練り込んで風味も最高です。焼草もちも独特の香ばしさで人気ですよ。

室生寺は魅力たっぷりに訪れる人を出迎える

奈良県室生は大和高原と宇陀山地に囲まれ、東は三重県名張市に接しているほど三重県境に近く、交通はやや不便なところにあります。交通機関のなかったころは、険しい山道を室生寺目指して歩きに歩いた女人がいたのです。そんな室生寺には現在でもやはり車で行くのが便利です。名阪国道針ICから国道369号・県道28号線で約30分の距離です。公共交通機関利用の場合は、近鉄大阪線室生口大野駅で下車し奈良交通バスで約15分で着きますが、1時間に一本の割合ですので注意してください。

室生寺は、春の桜や有名なシャクナゲの時期だけでなく、秋には全山紅葉し、冬の雪が金堂や五重塔を純白に飾る景色は水墨画のようです。写真家土門拳を魅了した室生寺は、四季折々の植物も景色も美しく、さらに仏像も素晴らしいものがあります。魅力たっぷりの奈良の名刹「室生寺」を是非訪れてみて下さい、女性にも男性にもおすすめですよ。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/04/06−2014/04/27 訪問

- PR -

条件を指定して検索

トラベルjp<たびねす>

トップページへ戻る

トラベルjpで一緒に働きませんか? 旅行ガイド編集部では運用サポートスタッフを募集中です!

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ