城壁に囲まれた古都「Mdina(イムディーナ)」へと通じる門は、全部で3か所あります。そのなかでも、ひときわ美しいのは「Main Gate(メイン・ゲート)」。
この門は、1724年に当時の騎士団長マノエル・ド・ヴェレーナによって建設されました。門の左右にはヴェレーナ家の紋章であるライオンの像が置かれ、内側にはマルタの守護聖人である聖パウロ、聖パプリウスそして聖アガタが彫られています。
淡い色のマルタ・ストーンでつくられた橋を渡り、堂々とした門をくぐってみましょう。その先には、中世へとタイムトリップしたかのような美しい町並みが広がります。イムディーナ名物の馬車が通りかかれば、気分はいっそう盛り上がるでしょう。
イムディーナの中心にあり、その大きさと存在感で見る者を圧倒するのは、マルタ共和国で最初に建てられたという「聖パウロ大聖堂(The Cathedral)」。
4世紀頃キリスト教に改宗し、司祭となった聖パブリウスの家の跡地に建てられた小さな聖堂が原型であったといわれています。現在の建物は、大地震で倒壊後、18世紀初頭に再建されたものです。
日本語では「聖パウロ大聖堂」とよばれているこの建物、英語では単に「The Cathedral(大聖堂)」と表記されます。これは、イムディーナにあるものこそが、マルタ共和国を代表する「大聖堂」であるということを示しているのです。首都ヴァレッタにある「聖ヨハネ大聖堂」よりも規模こそは小さいものの、格式の高さは勝るとも劣りません。
大聖堂内に足を踏み入れると、その質素な外観とは趣を異にする豪華な内装に驚かされるでしょう。天井を見上げると、さまざまな物語が描かれたフレスコ画を見ることができます。なかでも、ひときわ目を引くのは「聖パウロの難破」。その繊細で美しい色づかいを心ゆくまで鑑賞してください。
祭壇を照らすように天井を彩るクーポラは、20世紀に入ってから完成したという比較的新しいものです。そこから差し込む一筋の光が、大聖堂と天上にある神の国とをつないでいるかのようです。
上ばかりではなく、床にも目を向けてみてください。そこには、畳一畳よりやや小さいくらいの美しい大理石が連なっています。これらは騎士や貴族、聖職者たちの墓標。その下に眠る故人に相応しい個性あふれる模様が描かれています。
そうと知ると、踏むのをためらってしまいそうですが、西洋ではお墓を跨ぐことはご法度ではありません。どうぞ、安心して歩いてください。
小高い丘の上にあるイムディーナの町。「バスティオン広場(Bastion Square)」の展望台からは、マルタ共和国の美しい風景を一望することができます。天気が良ければ、遠くは地中海まで見渡すことができるのだとか。
広場には、土産物を売るおしゃれなショップやカフェもあります。少しの間足を休め、眼下に広がる美しい眺望をお楽しみください。
かつては、貴族をはじめとする多くの人々が住む都であったイムディーナ。ヴァレッタに遷都した後は、人口が減少し「静寂の町」との異名を持つようになりました。現在でも、人口数百人の閑散とした集落。歩いていると、自分の足音だけが響いてくるほど静かな場所です。
そんなイムディーナを魅力的にしている要素のひとつに「路地」があります。素敵だと思える通りを見つけたなら、ぜひとも中を通り、散策してみてください。
表札代わりのマリア様のレリーフ、レンガの隙間に巣をつくるスズメたち、はちみつ色に輝くマルタ・ストーンに映える緑色の出窓、そして、それを彩る季節の花々。
思わずカメラを構えたくなるような風景がそこら中に広がっています。その美しい光景を見るだけで、マルタ共和国に来た甲斐があったというものです。
中世の面影を今に伝える古都「イムディーナ」。マルタ・ストーンでつくられた歴史を刻む風格ある建造物と、迷路のような路地がつづく美しい町。
ロマンチックで趣のある「イムディーナ」を、ぜひとも訪れてみてください。
※関連MEMOには「マルタ共和国」で訪れることのできる施設を紹介した記事を掲載しています。よろしければ、そちらもご覧ください。
この記事を書いたナビゲーター
Lady Masala
旅とマーケット、蚤の市めぐりが大好きな庶民派ロンドナーです。ロンドンを中心にイギリス、ヨーロッパの見どころを歴史や文化とともに紹介いたします。また、趣味で集めているアンティーク・ヴィンテージ食器の魅力…
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