写真:東郷 カオル
地図を見る地獄寺こと「全興寺」は、聖徳太子ゆかりの歴史あるお寺。大阪の平野(ひらの)は、市内でも中心地から少し外れたまだかすかに田畑の残る場所にある地域。とは言っても天王寺駅から電車で5分なので旅行者にとってもアクセスは良好。
この地域は昔は「平野郷」と呼ばれた歴史ある土地。遡れば、征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)の次男の広野麻呂の荘園であったことが「平野(広野が転じたもの)」という地名と関係していると云われています。
写真は商店街側の入り口。パネルも「地獄堂」押しです。道に迷ったら「全興寺」と聞くよりも「地獄堂」、またはすぐ近くまでたどり着いているなら「商店街のお不動さん」と尋ねたほうが通じます。
写真:東郷 カオル
地図を見る実は境内には楽しい仕掛けがいっぱい。左が「ほとけのくに」、右が「地獄堂」となっていますので、まずは地獄堂へ。
写真:東郷 カオル
地図を見るこちらが「地獄堂」の入り口。実はこの地獄堂に入る前にやらなくてはいけないことがあるのですよ。
写真:東郷 カオル
地図を見る「地獄堂」の入口にあるのがこちらの、地獄度・極楽度チェックマシーン。スタートボタンを押して、設問に答えていきます。
写真:東郷 カオル
地図を見る「感謝して真剣に努力する - 絶えず不平不満が多い」「信念を持ち辛抱強い - 人に頼りすぎ、すぐにくじける」など、ボタンを押していきますが、後ろに子供に並ばれるとちょっと辛い(笑)。
ここは、楽しみながら「良いこと」「悪いこと」を教えられるので、子供の道徳教育にはとても良さそうです。地獄堂は子供を怖がらせるためのものではなく、悪い行いをしないことや、命の大切さを教えるためのものなのです。
写真:東郷 カオル
地図を見る10問まで答えたら、エンマ大王のおさばきが!
「極楽行き資格あり」から上だとひとまず安心ですが、「地獄行き執行猶予」より下だと地獄堂の中に入るのが一層怖くなるかもしれませんね。
結果はともあれ、地獄堂へ。
写真:東郷 カオル
地図を見る「ドラをたたくと地獄があらわれます」。大人にとっては子供だましのように感じるかもしれませんが、子供は恐る恐るです。
写真:東郷 カオル
地図を見るですが、「ドラをたたいても地獄があらわれないときは、この上のスイッチを押してください」のお知らせ。
ドラを叩いても地獄が現れないと極楽なのかと思いきや、スイッチを押さなくてはなりません。地獄を見てお勉強しなくてはならないのです。
写真:東郷 カオル
地図を見るドラ、もしくはスイッチで地獄が現れます。真っ赤な鬼の横に地獄を映し出す鏡(モニター)があって、ここに針の山に串刺しにされたり、火あぶりにされたり、竜の口に閉じ込められたりと、恐ろしい映像が次々と映し出されます。ちびっこは泣き出しちゃうかもしれません。
中でも大人が見てちょっと切ない思いになるのが賽の河原。逆縁の不幸を教えるものなのですが、親より先に死んでしまった幼い子供たちが賽の河原で小石を積んで、やっと塔ができあがる時に鬼がやってきて全て壊してしまうというもの。親から授かった命の尊さを教えるには良い場所ですが、想像力が豊かだとかなり悲しくなってしまう語りでもあります。
余談になりますが、賽の河原の子供たちはお地蔵様が救ってくださるので、あまり悲しまれませんように。
写真:東郷 カオル
地図を見る地獄堂には顔出しパネルがあります。閻魔様になりきって「ウエーイ!」。
さっきまでの怖さ台無しです。
写真:東郷 カオル
地図を見る地獄堂を出たところにあるのがこちらの石の穴。ここに頭を入れると地獄の釜の音が聞こえるのだそう。けっこう奥まで頭を突っ込まなくてはならなくて、それが少し恐怖。中はかすかに「ゴォォォォ」という地中の音がします。
ですが、一番怖いのは、この穴に頭を深く突っ込んでいる本気モードの大人の後ろ姿かもしれません。
写真:東郷 カオル
地図を見る地獄堂の奥には「ほとけのくに」があります。入り口から先は見えなくなっています。「全興寺」は高野山真言宗のお寺なので、高野山奥の院の地下や善通寺の戒壇めぐりを想像していると大違い。
なんと…、光の円陣の上でおばあちゃんが座って瞑想中でした。突然現れるので、ある意味地獄より怖い(ビックリ)かも。
ここでは暗闇の中、水琴窟の音を聞きながら瞑想できるようになっています。空間内の数本の太い柱には水が流れていて、それが音源かどうかは不明ですが、癒しの音色に包まれた不思議な空間になっています。
地獄のあとには是非こちらで癒されてください。
写真:東郷 カオル
地図を見るご紹介が最後になりましたが、こちらが本堂。「全興寺」に来られたら、まずはこちらでお参りをお済ませください。ご本尊は薬師如来さまです。
堂内には大坂夏の陣ゆかりの「首の地蔵尊」も祀られています。大坂夏の陣で真田幸村が、家康が立ち寄ると見られた陣地横の地蔵堂に爆薬を仕掛けて待っていたのですが、家康がたまたま席を立ったときに地雷が爆発。家康は助かり、地蔵尊のお首だけがここ全興寺の境内へ飛んできたと伝わっています。
全興寺には世代を超えた人々が集う「おもろ路」があったり、地獄もほとけのくにも撮影OKだったりと、地元の子供たちや観光客にオープンなお寺。
境内には今回ご紹介した以外にも、「駄菓子屋さん博物館」や「おばあちゃんの部屋」など、昭和を感じさせる懐かしい展示が沢山あります。
その中でもなんと言っても閻魔様が行う道徳教育が優れもの!現代で失われてしまった美しい日本の道徳心を是非閻魔様に教えていただきましょう。
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(2024/3/28更新)
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