“岩の波”や“東洋のスフィンクス”が迫る!熊野市・熊野灘の風海食岩群

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“岩の波”や“東洋のスフィンクス”が迫る!熊野市・熊野灘の風海食岩群

“岩の波”や“東洋のスフィンクス”が迫る!熊野市・熊野灘の風海食岩群

更新日:2017/04/14 11:41

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 学芸員資格

熊野灘に、22kmにわたって続く「七里御浜」は日本一長い砂浜の景勝地。その北端周辺には世界遺産に含まれる風海食岩の史跡や名勝が点在しています。ヒッチコック監督の横顔にそっくりな風食岩屋があると思えば、人面岩内には洞窟が。高さ25mの浸食岩である和製スフィンクスは熊野灘に向かって吠え、名勝「鬼ヶ城」では頭上に"岩の波"が押し寄せます。この奇岩群と海崖が織りなすスペクタルを是非堪能して下さい。

空中に日本一長い大綱が!日本最古の墓所「花の窟神社」

空中に日本一長い大綱が!日本最古の墓所「花の窟神社」

写真:春野 公比呂

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イザナミ命はイザナギ命と共に日本国を創造した神。古事記ではイザナミ命が国生み途次、火の神を産んで亡くなりなすが、日本書紀では死亡せず、国造りを完遂させます。しかし書記でも「一書に曰(あるふみにいわく)」として古事記同様、死去したとし、熊野の有馬村(現、熊野市)に葬り、国人が花をもって祭った旨、記されています。

その地は高さ45mに及ぶ岩を御神体とする「花の窟(いわや)神社」。岩の下部に開くアルフレッド・ヒッチコック監督の横顔に似た風食岩屋前がイザナミ命陵です。日本を産んだ神の墓所(御陵)=日本最古の墓所(異説あり)となります。
花の窟神社は神社神道が成立するはるか昔から存在しており、岩を御神体とした原始信仰スタイルなので社殿はありません。

空中に日本一長い大綱が!日本最古の墓所「花の窟神社」

写真:春野 公比呂

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神社では毎年2月2日と10月2日の大祭時、県の無形文化財に指定されている「御縄掛け神事」が行われます。これは10mの三流(みながれ)の幡(はた)と、下部に季節の花々や扇子等を結びつけたものを、日本一長いといわれる約170mの神事用大綱に吊し、一端を御神体の岩上に、もう一端を境内の松の御神木に渡す神事。

空中に日本一長い大綱が!日本最古の墓所「花の窟神社」

写真:春野 公比呂

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神社のすぐ前は七里御浜。浜を歩いて人面岩(写真中央の若干左寄り)へと向かいますが、口が小さいため人面には見えないかも。どちらかと言えばゴリラ面です。
尚、この浜は元々、熊野中心部から熊野速玉大社が鎮座する新宮を目指す「熊野古道・浜街道」でした。アカウミガメの産卵地としても知られています。

高さ20mを超える巨大狛犬「人面岩」と「獅子岩」

高さ20mを超える巨大狛犬「人面岩」と「獅子岩」

写真:春野 公比呂

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浜から人面岩(雌岩)を見上げると、入口の枠をコンクリートブロックやセメントで固めた洞窟「神仙洞」が見えます。その形状は愛媛県の佐田岬灯台下と、そこから陸続きの四国最西端である御籠島にある陸軍豊予要塞の横穴格納式砲台に酷似しています。

高さ20mを超える巨大狛犬「人面岩」と「獅子岩」

写真:春野 公比呂

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神仙洞入口や内部には、仏像や鳥居のある祠等が祭られていることから、かつて神仏習合の熊野修験者が行していた海蝕洞なのでしょう。尚、現在はフェンスが設けられているため、洞内はカメラのズームレンズ等で窺うしかありません。

高さ20mを超える巨大狛犬「人面岩」と「獅子岩」

写真:春野 公比呂

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人面岩の先にあるのが、「日本のスフィンクス」とも「東洋のスフィンクス」とも言われる獅子岩(雄岩)。高さ25m、周囲210mにも及ぶ巨岩です。近づくと口の中に舌があるのも確認できます。時期によっては朝日や満月が口の中に入ることも。後者は毎年11月と12月の満月の時しか見られないので神秘的。

ところでこの岩を「雄岩」と言う時、人面岩は「雌岩」と言います。これはこの二つの岩が、井戸川の上流にある大馬神社の「自然の狛犬」とされているからなのです。口を開けている雄岩が阿形(あぎょう)で、口を閉じた人面岩が吽形(うんぎょう)となります。

遊歩道上に迫る"岩の波"「鬼ヶ城」

遊歩道上に迫る"岩の波"「鬼ヶ城」

写真:春野 公比呂

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獅子岩から北に約1.3kmで鬼ヶ城西口に到ります。鬼ヶ城は風海蝕崖と太古の大地震によって隆起した大岩壁が1kmに亘って続く景勝地で、崖上に遊歩道が整備されています。まず現れるのは「蜂の巣」で、その名の通り、蜂の巣にそっくり。これは風化皮殻が潰れて更に風化・浸食されたもの。その奥には「波切不動」。写真の貝が入出水管を出しているような岩を指しますが、どう見ても不動には見えません。

遊歩道上に迫る"岩の波"「鬼ヶ城」

写真:春野 公比呂

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川床が岩肌の谷「鬼の洗濯場」を過ぎた先に驚異の地形が現れます。まるで何段にもなって迫りくる巨大な"岩の波"。中央に写る遊歩道階段と比較してもその大きさが分かることでしょう。太古、別々の時期に起こった大地震によって、このように段差のある隆起地形になったのです。

遊歩道上に迫る"岩の波"「鬼ヶ城」

写真:春野 公比呂

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岩の波の先は「水谷」。その名の通り、段々になった岩盤から水が落ちています。昔、鬼が巣くっていた頃、ここを水場にしていたと言います。

猿が怖くて引き返した崖を人間が通る

猿が怖くて引き返した崖を人間が通る

写真:春野 公比呂

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遊歩道を歩いて行くと、太古の大地震による岩の裂け目を橋で渡る「飛び渡り」や、岩の形状が名になった「鰐岩(わにいわ)」、昔、岩上で神楽を舞った「神楽岩」があり、その先には、犬も怖くて引き返したという「犬戻り」(写真)が、岩盤を刳り貫くように通っています。

猿が怖くて引き返した崖を人間が通る

写真:春野 公比呂

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下方に見える岩の窪み「鬼の風呂桶」を過ぎると、今度は猿も引き返したという「猿戻り」。現在の遊歩道の下を並行する階段は、まさに猿でも尻込みすることでしょう。

猿が怖くて引き返した崖を人間が通る

写真:春野 公比呂

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岩盤の切通しのような「奥の木戸」を過ぎると、最も広い平地がある「千畳敷」に出て、海食洞門をくぐると間もなく終点です。

砂浜や凪いだ海の「静」と、豪快な海食岩群の「動」との対比が素晴らしい

今回の奇岩、名勝等は古代史や伝説ファン、洞穴ファン、ジオパークファンの方々にも楽しんで戴けるのではないかと思います。また、各奇岩の成因を考えながら鑑賞すると、また違った魅力を見出せることでしょう。写真では伝わらないかも知れませんが、どの岩も巨大で間近に見ると圧倒的な迫力で迫ってきます。

その反面、熊野灘の海は凪いでおり、「日本の渚百選」や「日本の砂浜青松100選」にも選ばれている七里御浜を、昔の熊野詣に思いを馳せ、「歴史の風」に吹かれながら歩いてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 1997/02/02 訪問

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