愛人へのプレゼント?ドイツ・エルベ川沿いに佇む「ピルニッツ宮殿」

愛人へのプレゼント?ドイツ・エルベ川沿いに佇む「ピルニッツ宮殿」

更新日:2017/05/03 08:56

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ドイツ東部に位置する「エルベ川のフィレンツェ」と謳われる美しい古都ドレスデン。ここからエルベ川を遡ること約7キロメートルの所に、バロック様式に加え、東洋的な趣を持つ美しい宮殿が建っています。それが今回ご紹介する「ピルニッツ宮殿」。

当時のザクセン王が愛人に贈り、自らも避暑地として度々利用したもので、東洋的な建物にインテリアが素晴らしい!宮殿の3つの建物の周囲を取り巻く広大な庭園が美しい宮殿です。

エルベ川に姿を映すピルニッツ宮殿へ

エルベ川に姿を映すピルニッツ宮殿へ

写真:Hiroko Oji

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ドイツ東部を流れる風光明媚なエルベ川沿いに建つピルニッツ宮殿へは、美しい古都ドレスデンから遊覧船やトラム、バスなどの公共交通機関で訪れることができます。トラムとバスを乗り継いでやって来ると、写真の船着き場から、宮殿のある対岸へ渡ることになります。川面で水鳥達が寛ぐ姿が見られる、とても長閑な一帯。時間の流れが止まってしまったかのようで、心が落ち着く風景に癒されます。

この辺り、約20キロメートルに及ぶドレスデンのエルベ川流域は、かつては世界遺産に登録されていたところです。ところが、ドレスデン市内の渋滞緩和のために建設された橋が文化的景観を損ねるという理由で、残念ながら2009年に登録が取り消されてしまっています。登録が取り消されてもその美しい自然景観は変わらず今でも楽しめます。

エルベ川に姿を映すピルニッツ宮殿へ

写真:Hiroko Oji

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船着場から川を右側に見ながら歩くと、すぐに緑に囲まれ、川沿いに面した宮殿が見えてきます。正面から見ると左右対称の立派な建物です。

緑とお花で溢れる広大な庭園の中に建つ宮殿

緑とお花で溢れる広大な庭園の中に建つ宮殿

写真:Hiroko Oji

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ピルニッツ宮殿は、もともとこの地方の領主だった人が15世紀初めに建てた館だったもの。その後所有者が代わるごとに拡張され、17世紀初めには、4つの建物からなる本格的な宮殿となりました。

17世紀末には、ザクセン王であるアウグスト強王の兄ヨハン・ジョージ4世が所有して愛人に贈り、その後アウグスト強王が所有することとなり、18世紀に入ってからは、愛人のコーゼル伯爵夫人に贈られました。当時はルネッサンス風の建物だったのですが、夫人を追放して再び自分のものとした王は、1720年、城を大幅に増築し、大庭園を拡張、ワイン畑や高い寄棟のワインベルク教会の建設も行ないました。

ドレスデンにあるツヴィンガー宮殿を設計した宮廷建築士ペッペルマンがここでも活躍し、東洋をイメージしながら現在見られる「山の宮殿」、「水の宮殿」、教会などを設計建築したものが現在の姿です。

緑とお花で溢れる広大な庭園の中に建つ宮殿

写真:Hiroko Oji

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中国や日本、インド風の壁画が描かれた「山の宮殿」と、エレガントな階段を降りると川辺におりられるようになっていて、川遊びが楽しめるように建てられた「水の宮殿」は、「新宮殿」を挟んで建っています。山と水の両宮殿は、後期バロック様式と中国的な趣が組み合わさった混合様式で建造され、美術工芸品博物館として観光客に開放されています。

写真の新宮殿は、もともとあったルネサンス様式の宮殿が1818年に火災で焼失し、その後に、山と水の両宮殿と一体感を持つようにと建築士シューリッヒの手によって建造された宮殿です。

緑とお花で溢れる広大な庭園の中に建つ宮殿

写真:Hiroko Oji

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広大な緑溢れる庭園は、市民の憩いの場となっています。面積28ヘクタールもあり、バロック様式やイギリス式庭園、オランダ庭園、針葉樹園などがあり、たくさんの古くて珍しい樹木に、世界中から取り寄せられた美しい色とりどりのお花が植わっています。

1779年にヒノキやタケと共に日本から渡来したとされる庭園の椿は、樹齢250年、高さ9メートルもあり一見の価値があります。スウェーデンの植物学者トゥーンベリが日本を訪れた際に持ち帰った4本の椿のうちの1本で、唯一現存するものだといわれています。

建物やインテリアは東洋風

建物やインテリアは東洋風

写真:Hiroko Oji

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当時、ヨーロッパの王侯貴族の間では、まだ見ぬ東洋に強い憧れを抱いていました。彼らは、アジアの国々が、豊かで文化・芸術の香り高いところとして憬れており、アウグスト王達も例に漏れず、その財を尽くして、収集したのです。

屋根の上に取り付けられたいくつもの出窓風のものをはじめ、入り口の装飾などからすでに東洋の雰囲気に包まれています。残念ながら撮影禁止とされている館内では、13世紀から20世紀に使われていた家具や、中国や日本からもたらされた貴重な陶磁器はじめ、アウグスト2世の玉座などが展示されています。壁面の要所要所には、画家たちが東洋の風俗を描いていきました。

ヨーロッパで触れる東洋の風

いかがでしたか?ヨーロッパには数知れず、優雅で立派な西洋そのものを味わえるお城や宮殿がある中、建物や内装が東洋的な雰囲気を漂わせるピルニッツ宮殿です。優雅なエルベ川遊覧を楽しみながら訪れるもよし、時間を有効に使ってトラムやバスを乗り継いで訪れるもよし。建物だけでなく、その広大な庭園で寛げるひとときをどうぞたっぷり楽しんでくださいね。

ドレスデンや周辺の町から日帰りで十分観光できますが、宮殿そばには宿泊できるホテルがあります。その名も「シュロス・ホテル・ピルニッツ(SCHLOSS HOTEL PILLNITZ)」といって、お城に泊まれるのです。お城と言っても新宮殿の裏にある別館になるのですが、ピルニッツ宮殿のすぐ裏なので、早朝や夜の庭園の散策は観光客の姿もなく独占状態で楽しめます。もしご利用になる方は、MEMOにリンクしておきますので、参考になさってください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2005/08/10 訪問

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