江戸時代、常陸国(現在の茨城県)を治めていた秋田藩初代藩主・佐竹義宣(さたけよしのぶ)。慶長8年(1603年)に石垣や天守閣を持たない「久保田城」を築城しました。
その後、約200年間、明治政府による版籍奉還が行われるまで佐竹家がこの地を治めていましたが、佐竹家が久保田城を明治天皇に譲渡した後、明治29年(1896年)、近代公園の先駆者・長岡良平の設計によって公園として整備され、「千秋公園」が誕生しました。
「千秋」の名は、秋田の「秋」に長久の意の「千」を利用したもので、長い繁栄を続いてほしいという意味が込められています。
千秋公園内には久保田城の足跡を楽しめるスポットがあります。まずは秋田市の指定文化財の御物頭御番所。久保田城の二ノ門(長坂門)の開閉の管理と城下の警備、火災の消火などを担当していた物頭(足軽の組頭)の詰所として使用されていた建物です。
久保田城内に唯一残っている藩政時代の建物で、冬期以外は中に入って見学することができます。
御物頭御番所の近くには久保田城の表門が保存されています。一ノ門とも呼ばれており、本丸の玄関口として警備上からも重要な地点でした。江戸時代に2回火災に見舞われており、現在の表門は絵図などの文献資料や発掘調査の成果をもとに再現されたものです。
表門をくぐって公園内を歩くと、お城が見えてきます。久保田城の御隅櫓(おすみやぐら)です。当時、城内には8つの御隅櫓がありましたが、現存している御隅櫓は秋田市が市制100周年を記念して、本丸の北西部に再現したものです。
毎年4月中旬から5月上旬にかけて、櫓の周りにソメイヨシノが咲きます。
櫓内は史料館となっています(入館料:大人1人100円)。1階と2階は、秋田藩の初代藩主・佐竹義宣から最後の藩主・佐竹義堯(さたけよしたか)まで歴代秋田藩主の功績を紹介したコーナーや久保田城の再現模型、さらに参勤交代を描いた書物などが展示されています。
櫓の4階は展望スペースになっています。秋田市内の街並みをはじめ、シンボルタワーの「セリオン」、奥羽山脈を眺めることができ、天気が良ければ、男鹿半島や日本海も眺められます。公園散策とあわせて、絶景を楽しみたい方におすすめです。
さらに千秋公園内には神社もあります。まずは久保田城の表門から少し歩いたところにある「八幡秋田神社(はちまんあきたじんじゃ)」。明治11年(1878年)、秋田藩・初代藩主・佐竹義宣をまつるため、建てられた神社で、縁結びや交通安全、厄除けなどにご利益があります。
また、湖月池から少し歩いたところに「彌高神社(いやたかじんじゃ)」があります。
江戸時代後期に秋田で産まれた国学者で、敬心崇祖(けいしんすうそ)の心を説いた平田篤胤(ひらたあつたね)と篤胤の門人で農政家の佐藤信淵(さとうのぶひろ)を御祭神としてまつられています。
合格祈願や家内安全、安産祈願などにご利益があり、本殿の近くには篤胤が歌った俳句の碑も展示されています。
公園を散策した後は、園内にあるあきた文化産業施設「松下」内にある松下茶寮でひと休みしましょう。ここではコーヒーや抹茶を飲むことができるほか、苦いものが苦手な方には、カフェオレやスイーツもあります。
人気のドリップコーヒー(税込400円)は、東京の猿田彦珈琲から仕入れたコーヒー豆を挽いて作った一品。香りとともに楽しんでみて。
秋田・千秋公園の散策の楽しみ方をご紹介しました。このほかにも、佐竹家ゆかりの文献や資料を展示する「佐竹史料館」やあきた文化産業施設「松下」の中にあるあきた舞妓劇場でのあきた舞妓の鑑賞など、楽しめるスポットはまだまだあります。
公園散策後は、近くにある秋田県立美術館で芸術鑑賞を楽しむのもおすすめ。桜の開花だけでなく、歴史散策と絶景を見に出かけてみましょう。
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