「アシタカツツジ」は、富士山の東方に位置する愛鷹山(あしたかやま)の主峰、標高1504mの越前岳で見られます。
東名高速道路「富士IC」から、県道24号線を経由。富士山こどもの国を過ぎてから、御殿場方面へ約1.5km進んだところの十里木高原に越前岳の登山口があります。
ここは、木製階段が設置されるなど整備されていて、比較的歩きやすく初心者でも気軽に歩けるコースです。整備されていますが、コースの途中は岩が剝き出しになって歩きにくい場所や急坂があるので、登山靴やストックなど、ハイキングに見合った格好で行くことをお勧め。ここから約2時間ほどで山頂へ行くことができます。
登り口から約15分ほどで、展望台へ到着することができます。展望台は視界が開けており、ご覧のように雄大な富士山を一望できます。アシタカツツジを見る前に、こんな絶景が見られてしまうのも嬉しいもの。
ここは、鷹の渡りの観察地として有名で、秋の渡りの時期は、上空から次々と通りすぎる鷹を観察することもできますよ。
アシタカツツジは、標高約1200mから山頂までの標高の高い場所で自生している花。展望台から約30分ほど進むと、辺りにチラホラと美しい花を咲かせる光景が徐々に広がります。
この花が、アシタカツツジで、植物学者「牧野富太郎」博士が命名。牧野富太郎は、世界に知られた植物学者で、愛鷹の植物を調べている時に越前岳で発見し、この愛鷹山の名前から「アシタカツツジ」と名付けられました。木の高さは、普通のツツジの中でも最も高く、樹高は最大で6m〜7m。老木になると樹高10m、周囲1mに達するものもあります。
アシタカツツジの花の色は、紅紫色など色が濃いもの。薄紫色など色の薄いものなど、木によって色が微妙に異なります。また、標高1200m〜1300mの所で咲くツツジの雄しべは10本あるのに対し、山頂近くの標高1500mの所で咲くツツジの雄しべは6〜7本と違っています。
山頂近くで花を咲かせるツツジは、他の山ツツジと混ざり合ったため、雄しべが少ない交配種が誕生。混ざり合っていない純粋なアシタカツツジは、雄しべが10本のものとされています。雄しべが10本あるのは、標高1200〜1300mにかけてなので、純粋なアシタカツツジを見るなら、そこが観察のポイント。
花の大きさは、直径2cm〜3cm。野生のツツジにも関わらず、人が交配したかのような可憐な美しさを放ち、緑が多い山の中で一際だって見事に咲いています。
野生ツツジの専門家であるアメリカの植物学者「クリーチ」博士は、その美しさから「眠れる山の宝」と絶賛。植物学者さえも虜にしてしまう綺麗な花なのです。
折角、山に来たのなら山頂まで登ってみませんか? 先程の標高1200m付近から約85分で山頂へ行くことができます。コースの途中、アシタカツツジが自生している場所を通っていくので、ツツジを愛でながら歩くことができます。
山頂は、木々が覆い茂っておらず眼下に市街地。木々の間から、ひょっこり顔を出す富士山。そして、ツツジなどを見ることができますよ。山頂は、ベンチが設置されている場所もあるので、お弁当を広げても良いですね。
アシタカツツジが咲く季節は、新緑が目にまぶしい季節。気候は温かく、野鳥たちも賑わうシーズン。ここでは「ヒガラ」という体長約11cmほどの野鳥が多く生息し、観察頻度が高い鳥。運が良ければ、すぐ近くまでやってくる人懐っこい鳥や、木々の間を可愛く飛ぶ様子を間近で観察できるかもしれませんよ。ヒガラは、のどに蝶ネクタイのような黒い模様があるのが特徴なので、探してみて下さいネ。
登山をする際は、山の植物を傷つけない。ゴミを散らかさないなど、マナーを守って登りましょう。また、山へ行く際はその日の天候をチェックすることも重要です。
アシタカツツジは、未だに自然のままに咲く姿が見られる貴重な花。滅多に見られない固有のツツジなので、一見の価値あり! 開花する季節は、風も爽やかでとっても気持ち良く歩けますよ。お弁当を持って、是非出掛けませんか?
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