ハンガリーの古都「エステルゴム」で激動の歴史を追う旅

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ハンガリーの古都「エステルゴム」で激動の歴史を追う旅

ハンガリーの古都「エステルゴム」で激動の歴史を追う旅

更新日:2017/06/08 10:55

藤 華酉のプロフィール写真 藤 華酉

賑やかなハンガリーの首都、ブタペストから、列車で一時間程。周辺を畑に囲まれた長閑な古都、「エステルゴム」には遠方からも大いに目立つ大聖堂が建っています。かつてのハンガリー王国の首都として何度も戦乱に巻き込まれた町。そして今は、スズキ通りやスズキ広場があるなど、日本とも縁がある「スズキ」都市として愛されている古都、エステルゴム。ブタペストからの日帰り旅行にもピッタリなエステルゴムの魅力を紹介します。

川の向こうはスロヴァキア!複雑な立地の訳は?

川の向こうはスロヴァキア!複雑な立地の訳は?

写真:藤 華酉

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ハンガリーの古都、エステルゴムは、ブタペストから電車で1時間程の場所にあります。ここは「ドナウベント」と呼ばれる丁度ドナウ川が湾曲する名所にあり、農業にも商業にもぴったりの立地であることから発展した町です。
西暦1000年頃から始まるハンガリー王国の歴史の中、初代の国王はこのエステルゴムの大聖堂で戴冠式を行いました。
しかし、その恵まれた立地の為に、エステルゴムは何度も戦禍に巻き込まれる事になります。

ハンガリーカトリックの総本山、大聖堂

ハンガリーカトリックの総本山、大聖堂

写真:藤 華酉

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エステルゴム一の観光地は、何と言っても丘の上にそびえたつ大聖堂です。その堂々とした姿は、平原の多いハンガリーでは随分遠くからも目立つもの。その歴史は凄まじく古く、西暦1000年頃には既にハンガリーにおけるカトリックの総本山でした。

現在でもその地位は変わらず、毎年クリスマスやイースターと言った祝祭日時には、沢山の行事が行われています。

ハンガリーカトリックの総本山、大聖堂

写真:藤 華酉

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大聖堂の中は、色鮮やかで巨大な壁画が大迫力でカトリックの教えを説きます。
しかし、初代国王戴冠の地として千年以上前から歴史書に名前を残している、そんな教会の割には存外モダンな建築に見えませんか?

それもその筈、この大聖堂は一度焼失し、19世紀に新・古典主義様式として大幅に建て替えられました。大聖堂の陥落と共にハンガリーはオスマントルコ帝国の傘下に入り、長らくイスラム教の影響を受ける事となります。

2017年には相次ぐ反イスラム的な言動で世界を驚かせているハンガリーですが、近代まで大聖堂が焼かれるような戦争を繰り返していた事を考えれば、原因はこんな所に潜んでいるのかも知れません。

ハンガリーカトリックの総本山、大聖堂

写真:藤 華酉

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戦争で大きな損害を受けた大聖堂ですが、左翼にある「バコーツィ礼拝堂」では中世の彫刻技術をうかがい知る事が出来ます。
分解可能で、戦争の際に運び出す事が出来たバコーツィ礼拝堂の祭壇は、1519年頃の作品。ルネサンス様式で、イタリア圏外では最も美しい建築物の一つと讃えられています。

大聖堂の中はこの他にもいくつかの見所に分かれており、チケットも区別されていますから、ご購入の際にはお気をつけ下さい。
ドームの上まで登る事が出来る展望台チケット、金銀細工や歴代司祭の装束が煌びやかな大聖堂の宝物庫、多くの歴史的人物が眠る地下が有料エリア(写真撮影禁止)となっています。

嘗ての栄光を探す『王宮博物館』

嘗ての栄光を探す『王宮博物館』

写真:藤 華酉

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かつての王都、エステルゴムには王城がありました。その栄光の一片を垣間見る事が出来るのがこちら、「王宮博物館」です。

遠くからでも目立つ大聖堂に比べると、おや、お城はどこに?と探してしまわれる方も多いのではないでしょうか。かつて大聖堂の横に建っていた堅牢な城は、相次ぐオスマントルコ軍の侵略と破壊により、見る影も無く破壊し尽くされ、いつの間にか歴史の中に姿を消してしまいました。

しかし、エステルゴムがハンガリーの首都だった事は歴史書にも残されています。そう言えば城はどこに?と研究者が実地調査に乗り出し、発掘作業が始まったのはなんと1934年に入ってから。
この「王宮」は、昨今地下から発掘されたばかり、現在も調査が進行しているホットな遺跡なのです。

嘗ての栄光を探す『王宮博物館』

写真:藤 華酉

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ヨーロッパのお城の目玉と言えば、高い城壁、見晴らしの良い塔でしょうか。
しかし、地上部を破壊し尽くされたエステルゴムの王宮にそれはありません。見所は地下に集中しています。今も修復中の壁画や、発掘された数々の遺物、今でも現役で稼動できるという井戸の仕組みは、歴史好きには興味深いスポットに違いありません。
大聖堂の宝物庫が豪華絢爛な宗教の歴史なら、こちらは質実剛健な政治の歴史。見比べる価値があります。

嘗ての栄光を探す『王宮博物館』

写真:藤 華酉

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本来の塔は跡形も無く焼失してしまいましたが、現在も往時の眺めを再現するため、展望台が作られています。

エステルゴムを訪れたなら、ここからの眺めは必見。ドナウ川の向こうは、もうスロヴァキアです。
また、「王宮博物館」の展望台からなら、お隣の大聖堂を写真のフレームに入れる事が出来るのも嬉しい所。純粋な見晴らしの高さなら大聖堂の展望台の方が上になりますので、足の丈夫さと眺めの好みでお選び下さいね。

スズキさん必見!スズキの聖地・エステルゴム

スズキさん必見!スズキの聖地・エステルゴム

写真:藤 華酉

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戦災で大聖堂や王城を破壊され、長らく歴史の中に埋まっていたエステルゴム…そんな街の意外な救世主は、スズキ。日本の車メーカー、スズキなのです。

エステルゴムにはスズキの大工場があり、多くの人々が勤務しています。BMWやベンツもハンガリーに工場を持っているのですが、完成された車は工場で働いている人々には手が出ない値段でした。しかし、工場で働いているハンガリーの庶民も買う事が出来る値段の車を、ハンガリーでも発売しているのがスズキ。ハンガリーのスズキ率はかなり高い状態です。

そうした理由から、エステルゴムには「スズキ通り」や「スズキ広場」があります。
長い栄光と戦災の歴史の果て、スズキの街になった現代のエステルゴムもまた、愛すべき街ですね。

おわりに

ハンガリーの首都ブタペストから電車で一時間弱、と日帰りでも行きやすい町、エステルゴム。ハンガリーの京都とも愛される古都は、複雑な歴史と見どころの宝庫です。古くて新しい大聖堂や、日々発掘が進む城跡も見逃せません。日本人にもゆかりの深い町ですから、是非ドナウの流れに思いを馳せに訪れてみて下さいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/04/17 訪問

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