大航海時代の栄華を今に!リスボン「ベレン地区」必見スポット

大航海時代の栄華を今に!リスボン「ベレン地区」必見スポット

更新日:2017/05/15 19:01

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ヨーロッパ大陸最西端の国ポルトガルの首都リスボン。その中心部の西方約6キロメートルに広がるテージョ川沿いのベレン地区には、世界遺産にも登録されているスポットがあります。

15世紀中ごろから17世紀中ごろにかけて、ヨーロッパからアフリカやアジア・アメリカへの大規模な航海が盛んに行われ、その中心となったのがポルトガルです。その頃の名残り、大航海時代の面影を求めて、ベレン地区を巡ってみましょう。

ジェロニモス修道院

ジェロニモス修道院

写真:Hiroko Oji

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ポルトガルの大航海時代の栄華を今に伝える、ベレン地区で何よりも見逃せないのがジェロニモス修道院。世界遺産にも登録されており、大航海時代で培われた富をつぎ込んで建築された、マヌエル様式(※)の最高傑作ともいわれています。

ジェロニモス修道院は、エンリケ王子の偉業を称えたことで建てられた修道院。エンリケ王子は探検事業家で、航海者たちを援助・指導し、それまで未知の領域だったアフリカ西岸に艦隊を派遣し踏破させるなど、大航海時代の幕を開いたという偉業を称えられています。修道院は、元あった彼の礼拝堂であった跡地に建てられたもの。壮麗な建物で、特にレースのような繊細な彫刻が施された南門は見事なものです。聖母子像を中心に聖人聖女が彫り込まれた南門上部の中央には、エンリケ王子の像が設置されており、聖ジェロニモスの生涯が描かれた壁面にも目を奪われます。

※ 後期ゴシック建築と合体したポルトガル独自の装飾様式で、15世紀後半から16世紀にかけて流行。螺旋状の柱、円錐状の尖塔、幾重にも中心があるアーチ、八角形の塔などで構成されています。

ジェロニモス修道院

写真:Hiroko Oji

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南門だけでなく西門にも注目してみましょう。西門入り口はフランス人彫刻家の作品が施され、その上部には受胎告知、キリストの降誕、東方三博士の礼拝の彫刻が見られます。この西門から入ると扉すぐわきには、国王マヌエルと王妃マリアの像が置かれています。その奥の教会内部は、細かい彫刻装飾で覆われ、天に向かって延びる柱が列をなし、まるでヤシの木が乱立するよう。天井には波打つヤシの葉が広がるような模様が覆い、海洋をイメージしていることが伝わってきます。

また教会内に安置されている柩も見逃せません。というのも、インド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマの棺が、その向かい側には彼の偉業を叙事詩として謳ったポルトガル最大の詩人ルイス・デ・カモンイスが眠る棺が置かれているのです。この修道院の建設には、当初はヴァスコ・ダ・ガマが持ち帰った香辛料の売却による莫大な利益が使われたと言います。

ジェロニモス修道院

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まだまだ見逃せないのは、修道院最大の見所ともいえる回廊で、マヌエル様式の最高傑作と言われています。

55メートル四方の中庭を取り囲む2階建ての回廊に並ぶのは、石灰岩を用いた、緻密で美しい彫刻を施したアーチ。海洋に浮かぶキャラベル船(3本のマストを持つ小型の帆船)をモチーフにした紋章も飾られ、物静かで優雅な気分に浸ることができます。

ジェロニモス修道院に続く博物館

ジェロニモス修道院に続く博物館

写真:Hiroko Oji

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ジェロニモス修道院の建物に続く西側の建物には、国立考古学博物館が入っています。

アレンテージョ地方で発掘された巨石文化遺跡の出土品と再現展示や、青銅器時代の像、古代ローマ時代の彫刻、さらには植民地から持ち帰った数々の品が展示されています。ポルトガルで出土した古代ローマ時代の貴石や金銀の装飾品などを展示してある場所には、手荷物のセキュリティがあり、入口にいる警備員が扉を開けてくれて入れるようになっています。他にも、エジプトのミイラやブラジルの鳥の羽で作られたマスク、アフリカの偶像なども見ることができます。

ジェロニモス修道院に続く博物館

写真:Hiroko Oji

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ジェロニモス修道院の建物のさらに西側には、海洋博物館の入る部分が続きます。

西端が入口となっており、大航海時代のものを中心に、船の模型や航海用具、旧植民地に関する歴史的な地図などを展示しています。

発見のモニュメント

発見のモニュメント

写真:Hiroko Oji

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エンリケ航海王子の500回忌を記念して、テージョ川を前に1960年に建てられたのが「発見のモニュメント」です。

高さ52メートルのコンクリート製の記念碑で、キャラベル船の船首の曲線を模して造られています。記念碑の船には、大海へ乗り出し、大航海時代に貢献した船乗りや天文学者、地理学者、宣教師などといった勇壮な人々が並び、その先頭に立つのがエンリケ王子。手にはキャラベル船の模型を手にし、目の前を流れるテージョ川を見つめています。

発見のモニュメント

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この記念碑の東側にはインド航路発見のヴァスコ・ダ・ガマや 初めて世界一周を成し遂げたマゼランの姿もあります。内部には小さなスペースが設けられており、リスボンの歴史が展示されています。また、記念碑の頂上までエレベーターで上がれるようになっていて、ベレン地区やテージョ川の素晴らしい眺めが楽しめますので、ぜひ上ってみて下さい。

記念碑周辺は石畳で覆われているのですが、正面に世界地図の巨大な大理石のモザイクが嵌め込まれています。1960年に南アフリカ共和国から贈呈されたもので、数多くのポルトガル人航海者が辿った航路を示しています。日本の地図の部分には、種子島上陸の1543年ではなく、ポルトガル船が豊後に漂着した「1541年」と表記されています。記念碑を見上げているばかりでなく、ぜひ足元にも注目してくださいね。

ベレンの塔

ベレンの塔

写真:Hiroko Oji

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発見のモニュメントから、たくさんのクルーザーが並ぶように浮かぶマリーナや緑豊かな公園を通って、川沿いに800メートルほど西へ向かうと見えてくるのが「ベレンの塔」。正式名称は「サン・ヴィンセンテの砦」で、1520年の完成です。

マヌエル1世の命により、ヴァスコ・ダ・ガマの世界一周の偉業を記念して建てられました。テージョ川の船の出入りを監視するための石造りの要塞だったのですが、後に、船の通関手続きを行う税関や灯台としても使われました。優雅で美しいマヌエル様式から「テージョ川に浮かぶ貴婦人」ともいわれる外観です。2層の堡塁部分と4層の塔の部分からなり、砲台には、各窓ごとに大砲が設置されています。

ベレンの塔

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発見のモニュメントとベレンの塔の間に広がる公園には、飛行機のレプリカがあります。これは、サンタ・クルス号のレプリカで、サンタ・クルス号は1922年に初めて南大西洋横断に成功した飛行機。オリジナルは海洋博物館に展示されています。

アジュダ宮殿

アジュダ宮殿

写真:Hiroko Oji

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国鉄カスカイス線のベレン駅から真っすぐ北へ延びる坂道を上って行くとアジュダ宮殿に辿り着きます。

ブラガンサ王朝最後の住まいで、1761年に完成した宮殿は1794年に火災によって消失し、現在の建物は19世紀にイギリスのバッキンガム宮殿を模して建てられたもの。迎賓館として利用され、博物館として公開されています。

アジュダ宮殿

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宮殿内部は、当時の王族の贅沢な暮らしが偲ばれるものばかり。豪華な家具に調度品、装飾品に溢れています。

入った所には宮殿のミニチュアが置かれ、豪華な紋章が壁面に飾られています。各部屋では、重厚なタペストリーや絵画・肖像画が壁面を埋め、天井にも素敵な装飾が施され、優雅なシャンデリアがぶら下がっています。マイセン磁器をあしらったザクセンの間や、豪華な装飾の天蓋付きベッドが置かれ、客間として使用された青の間、赤い玉座の間、黒と青でまとめた王妃の間、煌びやかなシャンデリアがいくつもぶら下がり、長いテーブルに豪華な椅子がズラリと並ぶ大食堂・・・どの部屋に入ってもうっとりするばかりです。

大航海時代を偲ぶベレン地区にも有効なリスボンカード

いかがでしたか?リスボン旧市街だけでなく、その西に広がるベレン地区では、世界遺産に登録されたかつての栄華を彷彿とさせるスポット巡りが楽しめます。この時に強力な味方となるのが、リスボンカード!

短期間にできるだけたくさんの観光名所を見て周るのに便利なカードで、中心地からベレン地区へアクセスする国鉄カスカイス線はじめ、国鉄シントラ線や地下鉄・バス・トラム・ケーブルカーに乗り放題となり、観光名所でも無料や割引で入場できるのでお薦めです。特に、ここでご紹介したスポットにも利用できるので、大変お得になります。が、休館日にはご注意くださいね。空港やコメルシオ広場、レスタウラドーレス広場、サンタ・アポローニア駅などで購入できます。MEMOにリンクしておきますので、どうぞ参考にして、リスボン歩きを楽しんでください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2006/03/26−2006/03/29 訪問

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