群馬県碓氷峠アプトの道:幻の駅弁と鉄道遺産を求めて廃線跡を歩いてみよう

群馬県碓氷峠アプトの道:幻の駅弁と鉄道遺産を求めて廃線跡を歩いてみよう

更新日:2017/05/08 10:19

もんTのプロフィール写真 もんT チューター、フリーライター
群馬・長野県境の碓氷(うすい)峠は、かつては鉄道交通の難所でした。新幹線の完成とともに、群馬県の横川駅と長野県軽井沢駅の間の信越本線は廃線となりましたが、明治・昭和期に建設された路線跡の一部がハイキングコースに。トンネルあり、絶景あり、煉瓦橋あり…の廃線跡ウォーキングが楽しめます。それに起点の横川ではあの名物駅弁も…。碓氷峠の「アプトの道」を歩いてみましょう!

起点は信越本線横川駅〜名物の駅弁は今も健在!

起点は信越本線横川駅〜名物の駅弁は今も健在!

写真:もんT

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今回のハイキングの起点は群馬県松井田町の横川駅です。高崎駅からの信越本線は、かつてはここから碓氷峠を越えて長野県へと延びていましたが、今はここ横川が終着となっています。

横川といえば有名なのが、「峠の釜めし」(¥1000)。今では上信越道の横川サービスエリアや北陸新幹線の名物ですが、元はここの駅弁。かつて険しい峠越えに挑む列車が、この駅で必ず補助機関車の連結作業で10分間停車したため、大勢の旅行客がホームにてこの駅弁を買い求めました。今はホームでの立ち売りは見られませんが、駅前の「おぎのや」本店にて購入できます。

起点は信越本線横川駅〜名物の駅弁は今も健在!

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実は横川には「峠の釜めし」のほかにも駅弁が…。土・休日限定販売の、「峠の鶏もも弁当」(¥700)と、「玄米弁当」(¥500)!これもなかなかの美味なんです。これらの弁当、横川駅では買えませんが、駅から徒歩5分ほど、国道18号線沿いのおぎのやのドライブインにて買えます。ハイキングを始める前にぜひ立ち寄って行きましょう。

起点は信越本線横川駅〜名物の駅弁は今も健在!

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特におススメなのが、写真の「玄米弁当」。碓氷峠を鉄道が行き交っていた時代から、販売数が少なくてなかなか買えなかった逸品です。現在でも、お昼前の比較的早い時間に売り切れてしまうようで…。土・休日の朝、ここに立ち寄れたら要チェックです!

「峠の釜めし」は容器の重さがちょっとこたえる…のに対して、「玄米弁当」はコンパクト。ハイキングに持っていくのには最適です。食料や飲料など準備を整えたら、いざ出発!

廃線跡をたどって「峠の湯」へ〜貴重な文化財にも注目!

廃線跡をたどって「峠の湯」へ〜貴重な文化財にも注目!

写真:もんT

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ハイキングコースの「アプトの道」は、横川駅そばの「鉄道文化村」のわきから始まっています。かつて碓氷峠を行き交った電気機関車EF63など、保存車両群を左手に見ながら進みます。

廃線跡をたどって「峠の湯」へ〜貴重な文化財にも注目!

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しばらくは舗装整備された道が続きます。最大で66.7‰という勾配。鉄道としては難所でしたが、人が歩く道としては、見通しの良い快適なハイキングコースです。「峠の湯」までの間は、昭和期に複線で建設された線路の跡。複線の片側は線路がそのまま残されており、土・休日には鉄道文化村のトロッコ列車が行き交います。

廃線跡をたどって「峠の湯」へ〜貴重な文化財にも注目!

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途中、煉瓦造りの「旧丸山変電所」が見えます。国の重要文化財です。
碓氷峠は幹線鉄道ではいちはやく、1912年に電化。丸山変電所は、当時の最先端の技術を投入してつくられた送電・変電施設でした。険しい峠越えは蒸気機関車では無理…。電気の力が必要だったんですね。ここまで、横川駅から約2km。30分ほどの道のりです。

「峠の湯」から眼鏡橋へ〜明治期建設の旧線跡をたどる

「峠の湯」から眼鏡橋へ〜明治期建設の旧線跡をたどる

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丸山変電所跡からさらに1kmほど進むと、道は左方向に折れ、左手に「碓氷峠の森公園交流館 峠の湯」が現れます。鉄道文化村からのトロッコ列車もここまで。ベンチや飲料の自動販売機、トイレもありますので、ここでちょっと一休みしていきましょう。帰りはここで温泉につかって、疲れを癒していくこともできますね♪

「峠の湯」から眼鏡橋へ〜明治期建設の旧線跡をたどる

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ここから先の道は、明治期に敷設された旧線跡。アプト式といって、通常のレールに加えて、ギザギザのラックレールがもう1本真ん中に敷かれ、機関車の歯車が噛み合いながら峠を上り下りしていました。レールは撤去されていて、整地された歩きやすい道が峠へと続きます。

途中には、石造りや煉瓦造りのトンネルや橋もあり…。本格的な廃線跡ウォーキングを楽しめます。トンネル内は照明が午後6時までは点いているので、安心です。

「峠の湯」から眼鏡橋へ〜明治期建設の旧線跡をたどる

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途中、碓氷湖畔にて絶景を見渡せます。湖畔にはベンチや公衆トイレもあるので、ここもちょっとした休憩スポットです。さらにいくつかトンネルを抜け、「峠の湯」から歩くこと45分ほど…、めがね橋に到着します。

めがね橋からはさらに山深く〜熊ノ平へ

めがね橋からはさらに山深く〜熊ノ平へ

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めがね橋は4連からなる見事な煉瓦造りのアーチ橋。1892年(明治25年)から1963年(昭和38年)までここを列車が往来していました。高さは31m!当時の建築の粋を結集してつくられたこの橋、国の重要文化財です。

めがね橋を渡ったところで、橋のたもとの国道18号線へと下る道があります。トイレもありますので、ここでちょっと一休みですね。この先、ハイキングコース終点の熊ノ平にはトイレがないのでご注意を…。

めがね橋からはさらに山深く〜熊ノ平へ

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まだまだ歩ける!という方は、終点の熊ノ平を目指しましょう!この先はトンネルの区間が多くなり、いっそう山深いハイキングとなります。

めがね橋からはさらに山深く〜熊ノ平へ

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めがね橋から歩くこと、約25分…。熊ノ平に到着です。
明治期のアプト式の線路跡はここで、昭和期に建設された新線跡と合流します。ここは単線時代、列車が行き違いするためにつくられた駅で、スイッチバック用の線路もありました。ホームやレールがまだ残されています。

ここ熊ノ平まで、アプトの道の起点からは5.9kmを歩いたことに…。アプト式の時代、列車は横川駅からここまで約27分を要していました。ハイキングコースとして整備されているのはここまで。ここから軽井沢駅までは、国道18号線の旧道のつづら折りを、さらに約8.5km歩くことになります。廃線跡は歩けませんので、ご注意を…。

観光シーズン中は期間限定で1日1往復だけ、横川・軽井沢間のJRバスが国道18号線の旧道を経由し、めがね橋や熊ノ平に停車します。熊ノ平バス停の時刻は、軽井沢行きが11:33、横川行きが13:12。運行日・時刻など最新の情報はJRバス関東のウェブページで確認してください。

帰りは旧中山道の面影も見ていこう…

帰りは旧中山道の面影も見ていこう…

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帰り道、トンネル内は6時消灯なので、遅くならないように気をつけて…。行きとはちょっとコースを変えて、「峠の湯」のあたりから国道18号線の旧道に出て、江戸時代の宿場町「坂本」を歩くのも風情があります。昔の家屋もところどころに…、中山道の宿場町の面影が残っています。

帰りは旧中山道の面影も見ていこう…

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横川駅付近には、関所の跡も残っています。ここまできたら、駅まではあと500mほど。もうすぐゴールです。

ハイキングのまとめ

幻の駅弁と鉄道遺産を味わいながらのハイキングはいかがでしたか?碓氷峠「アプトの道」、もとは線路が敷かれていた跡だけあって、人が歩く勾配としてはとても緩やかで、広くて歩きやすい道です。

鉄道関係にあまり関心がないとしても、小さな子の山歩きデビューの練習に、あるいは駅伝やトレイルランニングの安全な練習コースとしても最適かも…。皆さん、思い思いに「アプトの道」を楽しんでください。
(料金・時刻などのデータは2017年5月の時点のものです。)

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/07 訪問

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