三江線廃止前に!時速30キロの日本一贅沢な鈍行の旅へ

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三江線廃止前に!時速30キロの日本一贅沢な鈍行の旅へ

三江線廃止前に!時速30キロの日本一贅沢な鈍行の旅へ

更新日:2017/07/11 15:03

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、東海道完歩ブロガー、青春18きっぷ伝道師

広島の三次と島根の江津を結ぶJR三江線。そのほぼ全区間が江の川の雄大な流れに寄り沿うローカル線ですが、周辺人口の減少により、残念ながら2018年4月1日で廃止が予定されています。

実はこの三江線、約108キロを最速で所要3時間半という、鈍行中の鈍行路線なのですが、見方を変えれば時速30キロで江の川の美しい絶景をたっぷり楽しめる超贅沢な路線。
乗り納めするなら今!そんな三江線の見どころガイドです。

広島県の三次と島根県の江津を結ぶローカル線「三江線」

広島県の三次と島根県の江津を結ぶローカル線「三江線」

写真:風祭 哲哉

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三江線とはその名の通り広島県の「三」次駅と島根県の「江」津駅の間を走るJR西日本のローカル線。中国山地の真ん中にある盆地、三次市と山陰の日本海に面した江津市とを結んでいます。
途中に大きな町もなく、沿線は過疎化が進んでいるため、乗客は減少の一途で、大変残念なことに2018年の4月1日で全線の廃止が決まってしまいました。

現在、この三江線の一部列車はカラフルなラッピング車両「三江線神楽号」で運行されていますが、その理由はかつて神楽が島根から江の川に沿って広島へと伝播した歴史があり、それが現在の三江線の走るルートそのものだった、ということが由来となっています。

広島県の三次と島根県の江津を結ぶローカル線「三江線」

写真:風祭 哲哉

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そうした歴史から、三江線沿線には大元神楽や阿須那系石見神楽、高宮系神楽や備後系神楽などの多様な神楽が伝わっているため、沿線の全駅には神楽の愛称がつけられていて、その神楽の様子が描かれた駅名板があります。
ちなみに写真の「猿丸太夫駅」とは三江線のほぼ真ん中にある「沢谷駅」の愛称名となっています。

広島県の三次と島根県の江津を結ぶローカル線「三江線」

写真:風祭 哲哉

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いきなり絶景!江の川の雄大な流れとともに旅する三江線

いきなり絶景!江の川の雄大な流れとともに旅する三江線

写真:風祭 哲哉

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この三江線、広島県側の三次から乗っても、島根県側の江津から乗っても発車していきなり現れるのが江の川の絶景!
普通はしばらく町の中や田園地帯を走って、絶景に備えて多少の心構えをするくらいの余裕はあるものですが、ちょっと早すぎるだろー、というくらいいきなり絶景なのです。

三江線は、ほぼ全線が江の川と並行して走っているため、別名「江の川鉄道」とも呼ばれ、まさに江の川とともに旅をする鉄道路線、と言っても過言ではありません。
そのため三江線に乗るときにぜひ気にかけておきたいのが、座席のポジショニング。江の川の車窓をよりたくさん楽しめるのは江津から三次に向かう列車だと左側、反対に三次から江津に向かう列車だと右側となります。途中、何回か江の川を渡って反対側に行くこともありますが、ほぼ8割方は上記の方向に江の川が流れています。

いきなり絶景!江の川の雄大な流れとともに旅する三江線

写真:風祭 哲哉

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ちなみに沿線で最も美しい車窓区間は、というとひとつに絞るのがなかなか難しいのですが、天気がよければ江の川の風景とともに「出雲国風土記」にも登場する名山、三瓶山を望むことのできる石見梁瀬駅と明塚駅の間をおススメします。

いきなり絶景!江の川の雄大な流れとともに旅する三江線

写真:風祭 哲哉

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三江線の魅力は、時速30キロの優雅な絶景車窓の旅!

三江線の魅力は、時速30キロの優雅な絶景車窓の旅!

写真:風祭 哲哉

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三江線の魅力は、正真正銘の時速30キロというそのスピード。
三江線は三次と江津の間、約108キロの距離を最速でも所要3時間半で結ぶため、その表定速度は約30キロなのですが、通常表定速度というのは駅での停車時間も含めて計算されるため、実際の走行スピードはもっとずっと速いのです。
しかしこの三江線は本当に時速30キロで走る区間が非常に多いのが特徴です。

動画:風祭 哲哉

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その理由は、この三江線の線路の敷かれている場所にあります。
江の川の流れとともに狭い谷間を走る三江線の線路は、すぐ左(右)に江の川、そしてすぐ右(左)には落石の危険のある崖という場所に敷かれていることが多く、カーブも連続するため、制限速度が30キロという区間がたくさんあるのです。

今にも江の川の流れに落っこちてしまいそうな場所を、時速30キロでそろりそろりと走る三江線ですが、それは見方を変えれば江の川の絶景をたっぷり楽しめるということなのです。
もしかするとこの時速30キロの鈍行中の鈍行列車の旅は、日本で一番優雅で贅沢な列車の旅なのかもしれません。

天空の駅「宇都井駅」も三江線のハイライト

天空の駅「宇都井駅」も三江線のハイライト

写真:風祭 哲哉

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時速30キロの区間がたびたび続く三江線ですが、途中の浜原駅から口羽駅まで間は、急激にスピードがアップします。

この両駅間は三江線の中で最後に開通した区間のため、それ以前に建設された区間にくらべトンネルや鉄橋の敷設技術が発展し、この浜原駅と口羽駅間だけが急カーブや崖上の線路も少なく、旧区間とはくらべものにならないほどスピードアップが可能となっているのです。

そんな中、生まれたのが「天空の駅」と呼ばれる「宇都井(うづい)駅」。

天空の駅「宇都井駅」も三江線のハイライト

写真:風祭 哲哉

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この宇都井駅が天空の駅と呼ばれるゆえんは、そのホームや待合室が地上20mのところにあり、地上からの高さとしては日本一の場所にあるため。

この駅のすぐ両側には山があり、地中高いところに掘られたトンネルとトンネルの間にこの駅があるため、地上に線路を敷設することができず、その高さのまま高架駅にするしかなかったからだと言われています。

山間のローカル線に突然現れる近代的な超高架駅なのですが、エレベーターもエスカレーターもなく、ホームに行くには116段の階段を上り下りしなければならない、という特異な構造から、テレビ番組でもたびたび取り上げられているB級スポットでもあるのです。

天空の駅「宇都井駅」も三江線のハイライト

写真:風祭 哲哉

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高さ20mのホームから見下ろす美しい里山風景も圧巻ですが、なんといっても遠くから見た、この宇都井駅の姿かたちがクールで、今も知る人ぞ知る人気のスポットとなっています。

一見すると、日本の原風景のような里山には不釣り合いな無骨な建築物のようにも思えますが、しばらく眺めていると、次第にこの風景にすっかり溶け込んでいるように見えてくるから不思議です。そう、それはまるで質のいい現代アートをみているような感じでしょうか。
この宇都井駅も三江線とともに消え去ってしまうのか、と考えると残念でなりません。

1日4往復、容易に攻略できないのも三江線の魅力

1日4往復、容易に攻略できないのも三江線の魅力

写真:風祭 哲哉

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三江線の列車本数は江津から浜原間と三次から口羽間が1日5往復、真ん中の浜原から口羽間は1日4往復で、そのうち全線を通貫する列車は2往復。
特に途中で下車してどこかに立ち寄ろうとすると、場合によっては次の列車まで10時間も間が空く時間帯などもあり、攻略は簡単ではありません。また沿線に大きなホテルや温泉街があるわけでもなく、途中での宿泊もそう簡単ではありません。

けれどもそんな中、頭を悩ませて行程を組み合わせるのもまた楽しく贅沢な悩み。なんといってもそれができるチャンスも、もうそう長くはないのですから。
ここは思い切って1日、2日まるまる使って楽しんでもいいかもしれません。三江線は、それだけの魅力が詰まった鉄道路線でもあります。

不便だから、と車で行って、列車にも乗らずに写真だけ撮って帰ってきてしまっては本当の三江線の魅力を知らないことと同じです。ぜひ実際に「乗り納め」をしてみてください。

1日4往復、容易に攻略できないのも三江線の魅力

写真:風祭 哲哉

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三江線廃止まであとわずか。混雑はますますピークへ

2018年4月1日で三江線が廃止。
皮肉なことに、このニュースが流れて以来、休日ともなると三江線には別れを惜しむ数多くのファンが押しかけ、日に日にその数は増え続けています。特にこのあとの青春18きっぷのシーズンとなる夏休み、冬休み、そして最後の春休みには大変な混雑も予想されます。

とはいえ、休日や青春18きっぷの適用期間を除けば、まだまだ以前と同様、のんびりとした三江線の旅を楽しむことが可能です。

日本一贅沢な鈍行列車の旅を楽しめる時間もあとわずか。
ぜひ乗り逃しのないように、そしてせっかくなので三江線らしくゆっくりと優雅に楽しんでいただくために、なるべく早めに、ピーク時を少し外して乗り納めにチャレンジいただくことをおススメします!

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/05/05−2017/05/06 訪問

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