ノスタルジートレインでゆく岡山県「津山まなびの鉄道館」

ノスタルジートレインでゆく岡山県「津山まなびの鉄道館」

更新日:2017/06/27 13:15

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
JR西日本には2つの鉄道博物館があります。ひとつは2016年4月29日に開館した国内最大級の「京都鉄道博物館」。そしてもうひとつが同じ2016年の4月2日に開館した「津山まなびの鉄道館」です。1955年〜1965年代にかけて気動車の一般車両で使われていた懐かしいカラーリングを施した「ノスタルジートレイン」に乗って経産省の近代化産業遺産にも選定された「津山まなびの鉄道館」に行ってみませんか?

ノスタルジートレインに乗って岡山県北部エリアの懐かしいまちへ

ノスタルジートレインに乗って岡山県北部エリアの懐かしいまちへ

写真:モノホシ ダン

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ノスタルジートレインが走るJR津山線は、岡山駅〜津山駅を結ぶ全長58.7kmの非電化のローカル線です。沿線にはのどかな里山風景が展開します。

ノスタルジートレインに使用される車両は国鉄時代の「キハ47形気動車」で外装はクリームと朱色のツートンカラーです。運転日は2017年9月末までの毎週土曜日で、津山線を走る定期列車の「快速ことぶき」でおもに運転されます。岡山から津山までの所要時間は約1時間です。

ちなみに列車名の「ことぶき」とは、津山線におめでたい駅名が多いことから名づけられました。「快速ことぶき」は1日に上下3本が運転されています。詳しい運転時刻は関連MEMOをご覧下さい。

ノスタルジートレインに乗って岡山県北部エリアの懐かしいまちへ

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ノスタルジートレインの車内もノスタルジックに改造されました。座席のシート生地は国鉄時代に採用されていた青色のモケットで、特別に張り替えられたものです。窓向きの展望席も新たに設置されました。

ノスタルジートレインに乗って岡山県北部エリアの懐かしいまちへ

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さらに窓際にはビンジュースの栓を抜く「センヌキ」が再現されました。センヌキは備品として車庫に保管してあったものです。こういう細部までのこだわりが嬉しいですね。

日本で2番目の規模を誇る「扇形機関車庫」

日本で2番目の規模を誇る「扇形機関車庫」

写真:モノホシ ダン

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岡山県北部の中核都市「津山市」は人口約10万人の城下町です。JR津山駅は津山線のほかに姫新線・因美線が乗り入れる鉄道の一大ターミナルになっています。

「津山まなびの鉄道館」はJR津山駅に隣接する「旧津山扇形機関車庫」をリニューアルオープンさせた鉄道博物館です。旧津山扇形機関車庫は、1936年に建造され、奥行き22m、機関車収容線数17は、京都鉄道博物館(旧梅小路蒸気機関車館)の扇形機関車庫についで全国2番目の大きさです。

建物の背面が広いガラス窓に覆われているのは、黒色の蒸気機関車と煤煙によって暗くなる庫内に自然光を取り入れるためのものです。入館料金は大人300円ですが、JAF会員優待施設になっていますので、窓口で会員証を提示すると2割引きの240円になります。

日本で2番目の規模を誇る「扇形機関車庫」

写真:モノホシ ダン

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津山まなびの鉄道館に収蔵されている車両数は全部で13両です。気動車とディーゼル機関車を合わせたいわゆる「内燃動車」収蔵数では日本一です。オープンして約半年後の2016年9月で入館者が5万人を突破しました。

ちなみに規模や知名度が全然違いますので比較になりませんが、同時期にオープンした京都鉄道博物館は2016年11月で入館者100万人を達成しています。

日本で2番目の規模を誇る「扇形機関車庫」

写真:モノホシ ダン

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反対側から見た扇形機関車庫です。弧を描くラインが美しいです。なお、ここの収蔵車両はすべて自力走行のできない静態保存です。

巨大な蒸気機関車の動輪の前で記念撮影をしよう

巨大な蒸気機関車の動輪の前で記念撮影をしよう

写真:モノホシ ダン

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記念撮影用に最適な「蒸気機関車C57形68号」の動輪です。直径1m75cm、重量3480kgのサイズで、国内では旅客用蒸気機関車に装備された中で最大の動輪です。C57形の最高速度100kmでは1秒間に5回転もします。

巨大な蒸気機関車の動輪の前で記念撮影をしよう

写真:モノホシ ダン

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扇形機関車庫に必須の「転車台」は、機関車庫が建設される6年前の1930年に設置されました。これで運転台が片方しかない蒸気機関車の進行方向を変えるわけです。

巨大な蒸気機関車の動輪の前で記念撮影をしよう

写真:モノホシ ダン

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津山まなびの鉄道館の収蔵車両の中に1台だけ蒸気機関車があります。2014年に閉館した大阪市港区にあった「交通科学博物館」からはるばるやってきた「D51形2号」です。ほかに交通科学博物館からやってきた収蔵車両には「DD13形ディーゼル機関車」と「DF50形ディーゼル機関車」があります。

ほかの車両たちは京都鉄道博物館に移されました。2つの鉄道博物館でそれぞれ車両を分け合った感じですね。

非電化区間のエースとして活躍した収蔵車両たち

非電化区間のエースとして活躍した収蔵車両たち

写真:モノホシ ダン

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国鉄時代に非電化区間で活躍した急行用の気動車は、座席が向かい合わせの4人掛けのボックス席でした。背もたれは垂直に固定されたタイプのものでリクライニング式ではありません。これでも急行用車両としては当時の水準を満たす普通のシートでしたが、現在の同じクラスの車両と比較すると非常に居住性が悪いものでした。

写真は一見まちがいさがしのようですが、日本全国の非電化区間で急行用車両として活躍した「キハ58形気動車」(左)と「キハ28形気動車」(右)です。大きな違いはキハ58形のほうが180馬力のエンジンを2基搭載した大出力の気動車だったということです。

非電化区間のエースとして活躍した収蔵車両たち

写真:モノホシ ダン

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「非電化区間の女王」として特急用車両で最後まで活躍したのが写真の「キハ181形気動車」(右)です。500馬力のエンジンを搭載した大出力車で、2010年11月まで大阪と山陰方面を結ぶ特急「はまかぜ」として使用されていました。

非電化区間のエースとして活躍した収蔵車両たち

写真:モノホシ ダン

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津山まなびの鉄道館では、日本にたった1台しかないディーゼル機関車があります。それが写真の「DE50形ディーゼル機関車」です。日本最大の2000馬力の機関を搭載したプロトタイプで、非電化区間の次世代主力機関車として開発されたものの、急速な電化により活躍の場がなくなり量産化されることなく終わったものです。

「見て、さわって、楽しく」学べる屋内施設も

「見て、さわって、楽しく」学べる屋内施設も

写真:モノホシ ダン

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津山まなびの鉄道館のイベントとしては「旅立ちの汽笛」があります。開館日の毎日12時と15時の2回鳴らされるもので、D51形2号の傍らに設置された「D51形755号」の汽笛を約5秒間鳴らすものです。あっという間に終わってしまうイベントですが、蒸気機関車特有の甲高い汽笛を体験することができます。

「見て、さわって、楽しく」学べる屋内施設も

写真:モノホシ ダン

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ほかに屋内施設としては、岡山の鉄道の歴史を知る「あゆみルーム」、鉄道の構造が理解できる「しくみルーム」、津山のまちなみをジオラマで再現した「まちなみルーム」があります。

「見て、さわって、楽しく」学べる屋内施設も

写真:モノホシ ダン

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まちなみルームにある津山のまちなみを再現した「ジオラマ」です。転車台が動いて機関車が方向転換するというなかなか凝った作りになっています。

津山まなびの鉄道館でノスタルジーを満喫しよう

いかがでしたか。津山まなびの鉄道館は、同じJR西日本の京都鉄道博物館のような華やかさはないものの、日本の近代化に貢献した非電化区間で活躍した鉄道車両たちの歴史をじっくりと学べるところです。

津山にはほかに「城東界隈」という古来の城下町の風情を色濃く残す重要伝統的建造物群保存地区があります。旧出雲街道沿いの保存地区でそぞろ歩きを楽しむのもおすすめです。津山駅前の観光案内所ではレンタサイクルもあります。

午前中は津山まなびの鉄道館を見学し、午後からは城東界隈の隠れた魅力に触れるレトロな旅をしてみませんか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/04−2017/04/09 訪問

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