写真:潮 佳澄
地図を見る名護市庁舎は沖縄本島の北部、美ら海水族館から車で30分の場所に位置する名護市の海沿いにあります。
1978年、名護市の顔となる市庁舎の建設にあたって大規模なデザインコンペが行われました。308組ものデザイン案の中からTeam Zoo(象設計集団+アトリエ・モビル)によって手がけられたのが現在の名護市庁舎です。沖縄の建物で多く使われる2色のコンクリートブロックが印象的なストライプをつくりだし、周りには植物が生い茂っています。手入れは行き届いているのに、自然に覆われた古代遺跡を思わせるような雰囲気が不思議と感じられます。
写真:潮 佳澄
地図を見る名護市庁舎を眺めていると人々の息遣いや生活が感じられる遺跡を見ているような気持ちになります。遺跡のように見えるのは、この建築に込められた”想い”が感じられるからかもしれません。
市庁舎の建設にあたっては、敷地の立地・気象条件を生かし、地場材料・地元の施工技術を使いこなすこと、施設を利用する人への配慮を行うことなど、市からの要求のもと「市民の市庁舎」となることが目指されました。建設を求める側と作る側が沖縄の風土を理解し、土地に生きる人を想う”想い”が取り入れられた建築と言えます。
写真:潮 佳澄
地図を見る屋上では広場を挟んで広がる住宅地が見え、心地よい風が流れてきます。町中を行く車や人の流れをぼんやりと眺める、ゆっくりとした時間を過ごしたくなります。
建物の内部は市役所なので業務を行っているカウンターなどがあります。土日祝日は建物内部に入れないというデメリットがありますが、ゆっくりと見学ができます。
「そうは言っても市役所なんだしそんなに見るところないんじゃない?」と思ったら、大間違い! なぜなら建物から大きく張り出したロングスロープから屋上へ上がることができますし、あちこちに探検心をくすぐる階段があります。うっかり仕事をしている事務室のテラスに出てしまうこともありますが、中をぐるぐると回ってみたくなる構造をしています。
写真:潮 佳澄
地図を見る建築全体が雨の日でも湿気の少ない涼しい空気が流れてくる構造になっています。建設時に光と風と太陽と緑が意識され、沖縄の建造物でよく使われる花ブロックと呼ばれる透かしのあるコンクリートブロックが多く使われているおかげで風通しが良く、日差しも遮られる造りになっているためです。
なかでも爽やかな風を感じられるのが、市民の憩いの場となる願いが込められた「アサギテラス」。アサギとは神様が降りてくる場として沖縄の集落につくられるもので壁はなく、柱で支えられた屋根が架けられたものです。軒が深く、風を取り入れ強い日差しから守る沖縄の建築様式の原点とも言うことができ、人々が集まる広場となるように、という願いから名護市役所にも設けられました。
写真:潮 佳澄
地図を見る市庁舎の南側には建物から大きく飛び出したロングスロープがあり、外壁から全体までじっくり眺められます。
かつて南側の壁面にはそれぞれに個性的な顔を持つ56頭のシーサーが設置されていまいたが、2019年にすべて撤去され、今は台座のみが残されています。また、これだけ個性的で沖縄の特徴が取り入れられた名建築ですが、老朽化のために建て替えが検討されています。(2022年時点)現在の名護市役所の姿を見学できるのは限られた期間となるかもしれません。
沖縄北部エリアを訪れるときには、沖縄の風土を体で感じることができる名建築に足を運んでみてはどうでしょう。人々の息遣いや土地に込められた想い、涼やかに抜ける風を感じる時間は、他では体感できない旅の時間を過ごせるはずです。
住所:沖縄県名護市港一丁目1番1号
アクセス:車では那覇空港から那覇インターチェンジへ入り高速道路を北上して約1時間30分
電話番号:0980-53-1212(代表)
2022年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2023/11/30更新)
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